衆院選は12日しかないので(参院選は17日)、あっという間に後半戦に突入している。情勢調査によると、自民党が圧倒的に勝つらしい。前回と今回、自民党のどこが変わったかといえば、ぶっちゃけた話、首相が石破さんから高市さんに変わっただけである。2人はリベラルと保守で立ち位置が明確に違うが、そういう政策や思想の違いではなく、何を言っているのか分からない陰気な石破さんに比べて、分かりやすい言葉で明瞭に述べる高市さんが好感されているというシンプルな理由であるらしい。特に若い層にサナエファンが非常に多いというが、私などはよく分からず周りに聞くと、ネット民にしか分からないという。自民党が233議席を獲得できれば単独過半数を超えるが、それ以上の議席数にもなるとの読みがあり(しかし、そうした無党派層は実際に投票に行くのだろうか…)、維新と併せて300議席すらありえるという。もちろんまだ分からないが、もしそうなれば、高市さんのいわばギャンブル勝ちで、結局は勝った者勝ちなのである。
公明党は高市さんを嫌って与党を離脱したが、選挙前、突然のように立憲民主党と合流して新党を結成した。その名も「中道改革連合(=中革連)」。過激派華やかなりし頃に検事であった私としては、中核とか革マルとかのイメージに繋がり、古いし、なんとセンスが悪いのだろうと素直に思う。そもそも立憲は安全保障法案と原発に反対していたのに、公明党の組織票欲しさに、長らく与党であった公明党の立場に迎合してどちらも賛成にしてしまった。これで多くの議員が離脱すると思っていたが、原口さんなどごく一部の議員以外は新党に加わったので、かえってびっくりした。思想信条ないし政策は議員の命であると思うが、議席を得るためには良心を捨ててなんら恥じないらしい。もちろん議席なくして政党政治はありえないが、本来野党たるもの、既存の組織票に頼るのではなく、無党派層・浮動票をターゲットにして支持者・票を増やすべき立場であろう。その層が与党自民党に流れているのでは落ち目は当然である。
この新党は今回の総選挙用のものにすぎず、参院では元の党のままだし、地方ではもちろんそうである。かつて希望の党や新進党といった新党で大失敗した記憶はまだ鮮やかであり、彼らは俄の新党がうまくいかないことも考慮に入れて、戻れる党を残したのであろう。新党の名前は未だ浸透していない。公明党という歴史ある党名があり、26年間も自民党との連立を組んで与党の立場にいたのに、高市さんが嫌いだからと与党を離脱したうえ、長く敵だった立憲とくっついたことについて、納得している学会員はどれほどいるだろうか。長く公明党と書いていた人が俄に中道と書くのは、ことに高齢者には難しいはずである。選挙区は個人名なので党名は関係ないかもしれないが、そもそも長く自民党を応援していた学会員が、急に立憲議員に投票し、その当選のために運動するだろうか。自民党から学会票が減る分中道が増えるといった単純な計算式から自民党大負けと試算していた人たちがいて、それは計算上はたしかにそうだろうと思うが、いくら宗教政党で上からの指示が絶対とはいえ、池田大作氏はもういないし、自らの素直な感情ではやはり立憲の応援には動きたくないであろう。
比例区では無効票が続出するだろうと思う。「立憲」や「公明」は無効である。もし「民主党」と書けば、国民民主党に行くらしい(自民党は自由民主党なので、按分比例で自民党に行ってもよいようなものだが(笑))。公明党は現有4つの小選挙区からすべて撤退し、比例区11ブロックのすべて上位につけたので万全であり、28名は当選確実であるらしい。片や旧立憲議員は比例区順位が後位なので、小選挙区で当選しないかぎり、比例復活はまず望めない。このマジックは公明党に救ってもらう立場としての立憲が、おそらく野田・安住・馬淵といった執行部だけで飲んだものであり、ほとんどの議員は公示で知らされて唖然したのだろうと思う。今は恨みつらみも言ってはおれないが、多数の議席を失った選挙後爆発するはずだ。旧立憲議員は解散前150議席もあったのに(反石破の受け皿となったために、信じられないほど多かった)今回は50名も当選しないだろうとも言われている。野田さんはさすがに選挙に強いが、安住・枝野・岡田などの重鎮も危ないとすら言われているのだ。
8日午後8時には大勢は判明する。野田さんは即刻代表を辞任すると思われるが、とすれば新党の代表は誰になるのだろうか。今は暫定的に両党の代表が共同代表という立場を取っているだけで、代表を選ぶ手続きも決められていないのである。特別国会での首班指名はどうするのだろうか。国民民主党は50議席を狙っていたが、現有の30議席程度であるらしく、立憲の残党と組んでの野党新党を立ち上げるにしても弱小すぎる。こんなことなら高市さんの呼びかけに応じて与党連立に加わっておけばよかったと後悔しているのではないかと思うが、今更悔やんでももう遅い。大量議席を得た以上、与党からもう当てにされることはない。とにかく優柔不断で決断が遅すぎるのだ。その点、公明党が離脱した後すぐに維新と組み、麻生さんや幹事長にも内密にしたまま一見無謀と思える解散に打って出た高市さんは、とにかく凄い勝負師である。



