猪瀬問題について(続)

猪瀬知事が昨日,記者会見を開いて借用証を示した。あとで作ったのだとすぐに分かる,押印も印紙もない冴えない借用証である。本当にあるなら最初から出している。今この期になって出てきたのからしてそもそも怪しい話なのである。相手が借用証を返してきたというのは書留であろうか。そんな大事なものを普通郵便で送ってくることもないだろうから。であれば郵便記録に残る。しかし,そんなのを返すくらいなら,きちんと領収証を出すだろう。

そう,本来は領収証を提出すべきなのである。だが,それは出せない。なぜなら領収証は相手の名義であり,その署名は作れないし,勝手に作ったとなれば私文書偽造罪(記者に見せているから併せて同行使罪)になるからだ。借用証ならば自分名義。偽造罪にはならないし,また証拠隠滅罪は「他人の刑事事件」に関する証拠に限るので,同罪にもあたらない。なのでこの度知恵を授けたであろう弁護士(?)もそれほど怖くはなかったはずだ。この簡単すぎる,どこのパソコンでも作れる借用証は知事周辺で作られたのであろう。であればたとえ文書自体は削除をしてもパソコン本体に証拠は残る。今時その復元など警察はじめ手もないことである。

今回の領収証で分かることは,猪瀬さんが個人の借用であれば問題がないと思っているらしいことである。なんと笑止千万,浅はかなことだろう。一体,どこの誰が,5000万円もの大金を無利息無担保で借りることができ,また貸す人がいるというのだろう。これは地位利用以外の何ものでもない。知事だから用立てた。一昨日書いたように,まさしくその実態は収賄なのである。おそらく両者を介在したのは前知事ではなかろうか。東京都に関連の病院があるとは知らなかったなどぬけぬけと弁明をするなんて,副知事もやってきて恥ずかしいことこのうえない。ただポストにしがみつきたい欲だけが見えて,見ているほうまで恥ずかしい。そんな人に知事をやってもらいたいと思うような都民は,私を含め,まずはいないだろう。せめてやったことは素直に認め,謝罪してさっと退かなければ。子供たちの教育上もどれほどよくないことだろう。

さて,これほどの反対があり,公聴会で自民党推薦の有識者ですら反対をしている特定秘密保護法案が拙速に通過する。国民の知る権利を奪い,また刑事司法も危うくするこの法案がいとも簡単に通ってしまうことに,国としての危うさを感じずにはいられない。太平洋戦争時のように,思い返してあのときがターニングポイントだったという風にならなければよいのだが。

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