三重の15歳刺殺事件で18歳を逮捕

まずは三重県警を褒めてやりたい(25年前津地検で勤務していたご縁があり、よけいに嬉しい)。携帯電話に指紋が残り、防犯カメラに画像が残っていたとされ、昨今防犯カメラが犯人割り出しに著しい効果を上げていることは間違いがないが、捜査は人が行うもの。被害者・遺族に涙し憤り、犯人を絶対に検挙してやるとの意気込みが成功を導く。犯人の迅速確実な検挙こそが再犯を防ぎ、また潜在的な犯罪を防いで治安を維持するにいちばんの方策なのである。時間が経てば経つほど証拠は散逸し、付近住民の恐怖心も消えない。

逮捕を受け、遺族は少年であれ厳罰を望むとのコメントを出した。当然である。18歳だし強盗殺人でもあるので少年院送致ではなく成人同様起訴されて刑事処分になるだろうと思われるが、もともと成人であっても死刑になるような事案ではないし、少年であり当然ながら初犯なので無期懲役もおそらく避けると思われる。有期懲役は少年には軽くて、最高で5年以上10年以下の不定期刑にしかならない(批判を受け、改正されてもっと重くなる予定である)。

報道によると、少年は7人家族で、普通の少年であったという。地方だし、この一家はたぶんこのままここで平穏には暮らしていけないのではないだろうか。なんでこんな子に育ったのかと、教育を論議してみてもたぶん始まらない。おそらくは少年はなんらかの精神障害があると思われるからだ。普通の人間はこんなことで人は殺せない。もし誤って殺してしまったらとうてい平静ではおられない。この少年も精神鑑定にはかけられるだろうけれど、統合失調症などと違って、責任能力に関係がないとの判断になるのではないだろうか。

振り返って少年事件はたくさん起こるけれど、中で神戸の児童連続殺傷事件があった。14歳はなんの恨みもない児童を殺してその死体を自宅風呂場で切り刻み、頭部をハロウィーンのカボチャのように刻んで校門の上に置いた。その以前、神奈川の15歳による高校の同級生首切り殺人事件が起こっている。両少年ともに医療少年院に入った後(年齢が低いことに加え精神障害故であろう)、釈放されて社会にいる。後者などは有名大学を2つ出て、なんと弁護士になっていたという。精神障害と知能は直ちには関係しないし、少年院送致は前科にはならないので、弁護士にも公務員にもなれる。それを暴露した本が売れ、元少年はテレビにも出て(もちろん顔も声も隠して)「なんで謝罪や賠償をしなければいけない。自分に前科はない。能力と努力でこうなった」てなことを喋って反感を買い(当然である!)、ネットでもずいぶん騒がれて今は弁護士を廃業しているという。

今回の少年のやったことは猟奇的殺人ではないけれど、かけがえのない命を奪ったという点で決して許されることはない。だが居直ることなく、自らやったことに真摯に向き合い反省をし、遺族には心よりの謝罪をしてほしいと願っている。それができるようになるからこその更生であり、更生の可能性がある故に人を殺しても死刑とはならずに済むのである。ただ、必要以上にその家族が責められるようなことはあってならないような気がしている。

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