国会の暑い夏

  話題の郵政民営化法案――。
  衆院で5票差で採決、来月上旬には参院での採決が予定される。参院で法案を修正して再度衆院に送っていては、8月13日の会期末に間に合わない。継続審議は首相が呑まないだろう。このまま採決になれば、どうやら否決の公算が極めて大きいらしい。
  となると、首相は躊躇なく解散に打って出るだろう。私の周りでもすでに選挙態勢に入った議員が多い。地元での会合やポスター作り……。いったん解散風が吹き出すと資金がいつまでもは続かず、早く選挙をしてくれ、という声になる。私の在籍当時にもそういう事態があった。党の各種部会から多くの衆院議員の姿が消え、外交など継続的なものは解散のない参院が中心となってやらねばとの声が現実的に思えたものだ。

「衆院の解散」について、再度憲法を調べてみた。
  69条「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない」。もっとも7条で、天皇の国事行為の一つとして「衆議院を解散すること」が挙げられ、実際の運用も内閣の裁量で行われている。
  あるいは、郵政法案が参院で可決されてもなお解散に打って出るかもしれないのだ。
  しかしながら、解散の本来の意義からして、その濫用は許されないはずだ。もともと4年の任期がなぜ毎回解散によって(解散がなかったのは1回だけ。解散する力のない総理と評価されるらしい)実質平均2年8か月になるのだろうか。今回秋に選挙があったとして、ようやく2年。国家予算が800億円使われるという。
             
もともと郵政民営化が改革の本丸とは思えないし、まして解散・総選挙によって国民の信を問わねばならないことだとはとうてい思えない。とは誰もが言うことだが、思い起こせば、首相が政治家として当初から言明していた政策は、これだけであった。
  加えて、総裁選挙中に、「靖国神社8月15日参拝」、そして「自民党をぶっ壊す」。ちゃんと首相は公約を実行している、と言った議員がいる。問題は、これほどになってもまだ「ポスト小泉」が見えてこないことにあるのではないか。

 幹事長から党政治倫理審査会に、反対、棄権・欠席した51人の衆院議員の調査が委嘱された。ここには衆参の議員以外に有識者4名、党員2名の委員がいて、私はこの度やはり元女性検事・弁護士の後任として、新たに委員の委嘱を受けた。
  対象議員がもっと少なければ党紀委員会に直ちにかけるところだろうが、多すぎるので、まずはその前段階の政治倫理審査会でということなのだろう。私にも多々人間関係があって難しいところだが、有識者として考えることは、自民党がまずもって公的な組織だということだ。総務会で党議拘束がかかった以上遵守しなければならないし(総務会は党規約上多数決。慣例として、反対者は退席したり総務会長一任として全会一致の形をとってきた。党議拘束を外したのは臓器移植法案のみ)、規律違反に然るべき対応をしなければ組織とはいえない。
  国民のためにも、自民党にはもっとしっかりしてほしいと切に願うのだ。

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