内村航平の超美技に感動

昨夜は男子体操世界選手権のテレビ放映を楽しんだ。ライブなだけにどきどきするが、絶対王者内村航平は、圧倒的な正確さと美しさ、かつ高度な技で(なんでもそうだが、上手な人ほど、高度な技でも難しそうには見えない)、危なげなく、世界選手権ついに5連覇! 過去に2連覇はいるが、後にも先にも内村を超える人は出ないと思われる。

他の選手ももちろん世界の一流なのだが、内村は別格だ。手先、足先までも神経が行き届き、乱れなどまったくない。とくに着地が決まり、究極の美しい体操だ。彼に限って、決して落下することはないだろう、緊張してのミスもないだろう、と思わせてくれる。案の定、全種目に15点をクリアする高得点で、91点を超えた。2位に入ったイギリスの若いホープに1.5点もの大差である(ちなみに3位に入った田中佑典との差はわずかに0.025点だ)。

内村の凄さは「今」に安住することなく、常に高度な技を磨き、進化を続けていることである。外にライバルは不在なのに、彼の中にはさらに高い自分があり、それに向かってひたすら邁進しているのであろう。今25才。

それにしても、体操こそが日本のお家芸ではないだろうか。かつての加藤、監物、塚原といった逸材ぞろいの黄金期の後、いったん低迷していた時期もあったが、2009年以降内村が世界選手権連覇を果たしている。11年以降は日本選手が2位ないし3位に入り、メダル2個の獲得が今回で3回連続となる。かつ嬉しいことには、21才の加藤凌平・野々村笙吾もすでに世界のトップであり、今回そうした一軍を除いたいわば二軍選手ですらアジア大会堂々の金メダルであったことを思うと、層の厚さは半端ではない。

体操は、サッカーなどの球技や相撲などの格闘技とは異なり、体が小さくても支障はない(というか、小さいほうが得なくらいである)。器用で几帳面で勤勉で、細かい所にまで神経が行き届いて美しさを追及するというのは、日本料理や工芸品、はては電機製品に至るまで、日本の特長であることを思えば、まさにこれこそが日本の形であるといえるのだろう。そんなことを思わされる。

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