衆院総選挙は昨日公示、来る14日投票だが、一向に盛り上がらない。大方の国民は、自民党を信任しているわけではなく、ことに安倍政権の独裁的手法に違和感を覚えていると思われる。が、そうはいっても受け皿にしたい、力のある野党がいない!! 5年前「ザチェンジ」とばかりに勢いよく誕生させた民主党政権のお粗末ぶりが脳裏に焼き付き、怖くてもう任せられない。つまり、棄権がずいぶん増えるのではなかろうか。そして、自民党が得票数を減らしても(小選挙区制のマジックも手伝って)議員数で圧勝する公算が高いように思われる。さて結果はどうなるだろうか。
2年前、自民党はいわば敵失で勝利したのだが、負けた反省も総括もしていない。その後は知るとおり。公約にもない特定秘密法案や集団的自衛権の閣議決定などを断行し、これらについては今回の公約にも載せていない。「憲法は国家権力を縛るものである」との基本的な理解を欠くらしく、司法がすでに何度も「違憲状態」と指摘する一票の格差については是正措置がなされないままの今回の総選挙である。違憲立法審査権ないしは司法権の優越は近代民主主義のイロハなのであるが。
さて公示前、某元衆院議員令夫人の「偲ぶ会」に参列した。喪主67歳、奥様享年65歳。若くして恋愛結婚したご夫婦で、子供はないが、とても仲が良かった。衆参議員らが押しなべて来られない状況下ですら150人位もの多数の参列者があったのは、ご夫妻のお人柄故であったろう。冒頭、丁寧に編纂されたフィルムが回され、奥様の生い立ち、結婚の経緯、その後の二人の生活ぶりが参列者一同に示された。最後に「ありがとう」の文字がクローズアップ。その通り、きっと感謝の思いに満ちて、あの世に旅立たれたのであろう。会場には、奥様が好きだった物などが展示され、実に良い偲ぶ会であった。
ただ奥様はただ一つ、遺していく夫が案じられて仕方がなかったことであろう。年を取って妻に亡くなられた夫ほど辛いものはないと思う。家事はできないし、男は孤独に弱い生き物である。最近の事件で最も世間を騒がせている、60代女性による、高齢者を狙った結婚詐欺・殺人事件。一人暮らし・身寄りがない・持家がある資産家・病気がち、そういう高齢者が続々と狙われた。結婚してすぐの公正証書遺言書作成、中には結婚前に全財産を譲るという公正証書を作成させられた後に不審死を遂げた男性もいた。背後にいると思われる知恵者、また青酸化合物の入手経路など、この事件の成り行きには関心が高い。しかし、男性高齢者の孤独抜きにはこの種事件は成り立たないし、おそらくは形を変えてもこうした事件は増えていくのではと思わされる。