選挙年齢引下げと少年事件について

選挙年齢が18才に引き下げられることになった。とても唐突な感じもするが、既定路線だったようだ。国会議員時代、この件を討議していて、関係法令がたくさんありすぎ、中でも大きなところでは民法と刑法の問題がある。前者は成年を20才としているし、後者は20才未満を少年法の適用対象としている。それらを放っておいて選挙年齢だけを引き下げるわけにはいかないと見送った経緯がある。

実は世界各国の選挙年齢の趨勢は1970年代頃から18才である。189か国・地域のうち18才までに(16、17才を含む。)選挙権を付与しているのは170か国・地域あり、実に90%に上る(国立国会図書館調査及び立法考査局2008年資料)。となると、当然ながら成人年齢(民法の行為能力)は選挙年齢と同様18才となり、少年法の適用も同様となる。後者については、例えばドイツのように、18才から21才(旧選挙年齢)までを若年成人として、個別のケースによっては少年法を適用することもできるようにしている国がある。

少年法の適用年齢を選挙年齢と同様18才未満に引き下げれば、以後18才で成人同様に扱われることになる。今マスコミを騒がせている例の川崎事件の主犯少年も、家裁送致もなければ匿名扱いもないということになる。刑事責任年齢を何才と定めるか(日本では14才)、また少年法適用年齢を何才と定めるかは、多分に立法政策の問題なので、そうと決めるのであればそれでよい。というか、権利である選挙年齢を18才と定めておいて、義務だけは免除してほしい(少年として寛大に扱ってほしい)というのはまるで筋が通らない話なのだ。

それにしても、川崎の事件は悲惨であった。万引きを拒否した被害少年は、子供の多い母子家庭で母親を心配させないようヘルプも出していなかった。加害少年たちもそれぞれに家庭に問題を抱えていた(問題がなくて非行や犯罪に走る者はいない)。そして、周りの大人たちの誰一人も、学校も警察も、助けることができなかったのである。この事件はかなり特殊だとしても、今社会のあちこちで、ヘルプを発したくても発せられない子供たち、発していても受け止める大人がいなくて絶望に浸っている子供たち、そういう子供たちが大勢いることを、私たち大人は真剣に考えなければならないのだろうと思う。

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