これほどの大勝を予想した人は、誰もいまい。たぶん、当の小泉さん自身も含めて。
当選者295名(公示前212名)、公明党を併せた与党325名。3分の2を超え、以後参院は不要も同然、たとえ否決しても衆院で再可決され、成立する。
自民党に風が吹いていたことはたしかである。
期間中、電話をくれた親しい代議士いわく、「こんなに手応えのいい選挙は(この数回で)初めて。民主党にダブルスコアで勝つ見込み」。マスコミ情報より何より、現場での生の声ほどたしかなものはない。
自民党公認で小選挙区出馬した290名中、比例復活も含めて当選者実に267名(当選率92%)。その余波を受け、各ブロック毎の、通常であれば名前だけを連ねるにすぎない下位候補者までもが軒並み当選した(東京ブロックでは名簿候補が1人足りず、社民党が議席を獲得するという珍事出来)。私の知人女性も思わぬ当選となり、喜ぶよりむしろ戸惑っている。
自民党の看板さえ背負っていれば、勝つ。そんな選挙であった。
ちなみに私が応援に入った7人は、1人以外すべて当選(この1人は、真紀子さんの選挙区だ)、選挙翌日3人がじきじき礼の電話をくれて、嬉しかった。
ただ、勝ったのは自民党ではなく、小泉さんである。
キーワードは、「単純化」ないし「分かりやすさ」。大衆に訴える広報戦略の最も大事なポイントである。
郵政解散。殺されてもいい。ガリレオ・ガリレイ(「それでも地球は動いている」は少数派であれ真理であるということだが、対する?郵政民営化は政策でしかなく、また少なくとも解散をかける首相は少数派ではない)、改革を止めるな、etc.
加えて、その実行力。郵政民営化を改革の本丸と位置づけ、矢のごとくにすべての郵政反対派選挙区に対抗馬を立てた姿勢を決断力あり、指導力あり、と評価した人は多い。
とくに女性たちに小泉ファンが多いのは事実である。
対して、岡田ファンには、残念ながらただの1人も会ったことがない。真面目で頭はいいのだろうが、面白くなさそう、オーラがない、セックスアピールがない……。小泉さんがいいとは思わないけれど、でも岡田さんはもっといや、と言う人も多い。二大政党は、つまりは党首を首相に選ぶということだからだ。
民主党は惨敗。当選者113名(公示前177名)。支持母体の連合をバックに郵政民営化に反対、とはいえ対案はまったく出さず、選挙に入ってようやく郵貯限度額を500万円にと言い出す体たらくでは、とうてい政権は任せられないと感じる人が多かった。日本をよくするためには、民主党にこそ是非頑張ってもらいたいものである。
小泉改革。郵政民営化の後は何なのだろう。郵政民営化も、民営化自体が目的になっている感がある。そして、新しい自民党。新人83人。これからどうなっていくのか、興味深くも怖くもある。