前回のアップから早くも1ヶ月が経過している。この間もコンスタントに毎日一定数のアクセスがあることに、感謝しています。
最近びっくりしたこと、その1。イギリスのEU離脱について高等法院が今月、「国会の承認を経なければならない(でないと憲法違反である)」旨の判決を下したというニュースに接したこと。原告は、憲法違反だから許されないと主張する一般知識人だが、私も7月11日付け本ブログで同じ指摘をしていた。この判決は、理論的に正しいのである。だから驚いたことは、判決内容ではもちろんなく、事ここに至るまでメイ首相、ひとり僅差の国民投票結果を錦の御旗にし、猪突猛進してきたことである。司法は邪魔をするな、離脱通告の日程は変えない、最高裁に上訴すると息巻く首相は、せっかくお洒落でスタイルも良いのに、ずいぶん見苦しい顔つきでがっかりした(いついかなる時もエレガントだったサッチャーと、どうしても比較してしまう)。もちろん、司法の判断は変わらない(はずだ)。そうしたら一体、その次はどうするのだろうか。最高裁にいくら文句を言っても、司法の優越は、近代民主主義の基本である。メイ議員がキャメロン首相の跡を受けて念願の首相になれたのは、国民投票の結果がまさかの「離脱」だったからであり、おそらくはそれ故「離脱」しか心にはなかったのであろうが、そのことと法的手続きをきちんと踏むべきことは、もちろん別問題である。ストップをかけるブレインはいなかったのだろうか。それとも忠告があっても無視をしたのだろうか。法治国家ではありえないことであり、恥ずべきことというほかはない。
びっくりしたこと、その2。ヒラリーの例の私用メール問題を再捜査する旨を、FBI長官自らが(古巣の司法省の反対を押し切ったらしい。)あえて発表したことである。10月26日。時期が時期なだけに、明らかな選挙妨害となる。事実その後、ヒラリーの支持率は一気に凋落してトランプと肉薄したが、今月6日、長官は(7月の時と同様)訴追を求めない旨を表明した。つまりは、もともと大した容疑もなかったのに(少なくとも事実関係や証拠を十分に確かめることなく)再捜査を表明したということである。公の高官にしては、その行動はあまりに軽率過ぎはしないか。その結果、一時ヒラリーの当選が危ぶまれたが、結果としてはどうやら何とかセーフではあるらしい。ヒラリーに好感を抱いているわけではないが、トランプが大統領になればきっと世界中が混乱に陥る。
驚いたこと、その3は、朴大統領のスキャンダルである。両親を暗殺され、誰も信用せず、直接の応対よりメールの対応を好むと言われていた。弟や妹との関係すら断ち、孤独に耐え、結婚もせず国家と結婚をしたのだと思われていた。ところが、それが根こそぎ揺らいだ。怪しい宗教家(?)に心を許し、国会機密も渡し、不正な大金や不正な大学入学といった不法な便宜を図っていたという。国民に向けて頭を下げ、「孤独だった。大変な時に助けてもらった」と訴える姿は、国のトップというより、寛刑を願って裁判所で頭を下げている被告人のように思えた。韓国は歴代大統領が悲惨な最期を遂げるのが習わしだが、朴氏もこれまで以上の高い確率でそうなると思われる。本人は自業自得だが、国民は気の毒である。