トランプ就任1か月…

もう1ヶ月か、まだ1ヶ月か…とにかくこの1ヶ月は、トランプ、トランプで過ぎていった感じである。これだけ外国のニュースに釘付けになった記憶も、ない。最近夜型から朝型になり、早朝は外国放送があることも知った。同時通訳なので、便利この上ない。

問題の大統領令は、高裁も差止めを維持(3対0)、最高裁に上訴するのかと思っていたら、敗色が濃いと観念したのだろう、それはなかった。もともと差止めは仮の処分に過ぎず、大統領令が憲法違反だとの実質的な判断がされたわけではない。トランプは明日辺り、もっと内容を精査した別の大統領令を出すという。とはいえ、7か国の対象そのものは維持しつつ、グリーンカード(永住ビザ)所持者を外すだけかもしれない。それ以外のビザを持っていても入国を許可しないとなれば(ビザなしを入国させないのは当たり前)、規模は前より小さいにしろやはり騒動は起こるだろう。そもそもこの7か国対象者がアメリカでテロを惹起するとの確証なり、少なくとも蓋然性を示す証拠は何も出ていないのだから、問題の根は変わらない。やはり裁判になって差止めが出て…また新たな大統領令を出すのを繰り返すのだろうか。

この大統領令もさることながら、トランプ政権がロシアに深く関わっているとの疑惑こそより深刻であるかもしれない。ロシアがトランプを当選させるべく民主党選挙陣営にハッキングをしかけていたことは明らかとなっていて、オバマ大統領は選挙後、対ロシア制裁に踏み切った。それを解除するという話を、フリン大統領補佐官(国家安全保障担当)は就任前から駐米ロシア大使に持ちかけていたのである! 電話が盗聴されていることは元米軍情報将校である同氏が知らないはずもないが、その明らかな事実を知らされてもなおトランプはフリン解任になかなか踏み切らなかった。つまるところ、この政権は親ロシア政権なのである! 一体ロシアとどのような取引をしたのだろうか、それこそが是非解明されなければならないことである。

トランプはとにかくひどい。娘のブランドとの取引を某百貨店が断ったことを公になじり、およそ立場を弁えず、教養も品格も欠くことを改めて露呈した。それでもなお、彼はアメリカの大統領であり、よほどのことがない限り、今後もその地位にあるだろう。実際、半数とは言わずともそれに近いアメリカ国民が彼を支持しているのは現実なのである。この影響下で、フランスも極右の国民戦線ルペン党首が首相になりそうだ。彼女は移民受け入れ反対、EU離脱の国民投票を公約している。イギリスに続いてフランスも抜けれるとなると、EUの崩壊も時間の問題であろう。作るときには難航しても、解体は一瞬である。もともとは米ソ冷戦時代、ソ連に対抗するためのヨーロッパ共同体であったことを思うと、あるいはその歴史的な意義は失せているのかもしれない。新たな統合の理念をどこに置くのか。羅針盤のない時代に、我々は突入していると感じる。

カテゴリー: 最近思うこと パーマリンク