きなくさい世の中になってきました‥

4月になって、早や10日。先週入学式に出(武道館はちょうど桜が見頃だった)、今週からまた大学が始まる。

ぶっ飛んだニュース、「アメリカ、シリアの軍基地にミサイル攻撃」。トランプ大統領がこれを命じたのは、習近平国家主席との会食前。会食が終わって事を知らされた主席は、腸が煮えくり返る思いだっただろう。全世界に恥をかかされた‥この落とし前は必ずつけてやる。そう心に固く誓ったとして不思議ではない。

シリアは、アサド政権(シーア派)と反体制派(スンニ派)、これにテロ集団とされるISが互いに抗争を続けている複雑な地域である。政権を支持するロシア、中国、それにイラン(シーア派の大国)対、反体制派を支持するアメリカ、ヨーロッパ、イスラエル、サウジアラビア(スンニ派の大国)。しかし、政権側も反体制側も共にISとは敵対関係にあり、諸外国もアンチISでは一致している。政権側が化学兵器を使用したとの懸念は以前からあったようだが、オバマ大統領は口では脅しながら、実際の攻撃はしていない。トランプ大統領が今回突如として攻撃を命じたのは、政権側が化学兵器(サリン)を使用したことで、赤ちゃんまでが殺されている映像を見たからだと、国民に対して説明をしている。

だが、それは本当に、本当のことなのだろうか。イラクは化学兵器を持っている‥ブッシュ大統領発の偽情報に、日本を含む諸外国がどれほど踊らされ、苦杯を舐めたことか。アサド政権はなぜ今の時点で、反体制側に対して、明らかな条約違反である化学兵器を使用する必要があっただろうか。映像など、どうとでも作ることが出来る。本当にその赤ちゃんは、アサド政権側によるサリン使用で殺された反体制側の被害者なのか。加えて、第二次世界大戦を経て今、国家に許されている戦争は、自衛戦争又は国連決議による戦争だけである。政権が本当にサリンを使用した場合、国際法違反ではあるが、アメリカによるシリア攻撃もまた国際法違反である。アメリカの体制側への肩入れにより、シリア情勢は落ち着くどころか、更なる混沌に陥る可能性も高い。難民が溢れ上がり、ただでさえ増え続ける移民に苦しむヨーロッパの国々で、右派政権が誕生する可能性も極めて高くなってくる。世界は今、かつてないほどそれぞれに連動しているように見える。

戦争は往々にして、内なる非難を外に向けさせるために、為政者によって敢行されるものである。2度にわたる入国制限大統領令はいずれも、裁判所によって無効とされた。同様に選挙公約だったオバマケア廃止も議会で通らず、自ら取り下げた。失策続きで、100日のハネムーン期間だというのに、支持率が40%を割り込むほどの大統領にとっては、これは起死回生のヒットだったのではないか。実際、アメリカの世論は大きく支持しているという。と同時に、暴発する北朝鮮に対して、かつ北朝鮮への働きかけに弱腰の中国に対して、シリアと同じようになるよという、明らかな威嚇にもなる。

強いアメリカ、高い支持を受ける強い自分、それはどれほどか昂揚感をもたらすであろうか。味を占めた大統領は、今後第二第三のシリア攻撃はもちろん、中国の頭上を飛び越え、単独で北朝鮮攻撃に踏み切るおそれもある。米中が決定的に対立することになれば、第三次世界大戦に突入するかもしれない。それは究極のところ、恐ろしい核戦争を意味する。核のボタンはそれぞれ独裁者に握られているのだ。世界は終わってしまうのではないか。当たり前のように平和を享受してきたが、俄かに怖い現実が見えてきた。

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