人間関係において最も大切なことは「信頼」

国籍・年代を問わず、いわゆる知の巨人を尊敬している。佐藤優さんもその一人。古代から現代に至るあらゆるご本を読み、歴史・宗教・哲学を中心にして、広範な知識を自家薬籠中の物とされているのには敬服する。

最近読んだ雑誌の対談にも感心した。「信頼」について、ドイツの社会学者であるニコラス・ルーマンの『信頼』という著書が参考になるという(例によって私は、そんな人も著書も知らない‥)。いわく「信頼というものは、一度確立すると、そう簡単に崩れることはない。たとえ信頼を裏切られたとしても、人はなかなかそれを認めようとはしない。裏切られたことを認めてしまえば、そんな人間を信じてしまった自分が惨めになるからです。しかし、裏切りが何度も続くと、ある時点で信頼の閾値を超えることになります。そうなると今度は、いくら説得しても、どれほど客観的な成果をあげても、信頼は二度と戻りません。」読んでみようかと思ったが、著書はなかなか難しそうである。だが言っていることはその通りだと思う。

「民信なくば立たず」。これは孔子が弟子の子貢から政治にとって大切なものは何かと問われ、答えた言葉だという。孔子が考える政治にとって大切なことの3つは、「食を充たすこと」「軍備を整えること」「民衆から信頼されること」。止むなく省くとしてまずは軍備、次は食、信頼が最後に残るものであり、信がなければ政治は成り立たない。つまり、政治家が民に信頼されなくなっては、終わりだということである。

事はもちろん政治に限らない。商品を買うのも使うのも食べるのも、それを作った会社や人を信用・信頼しているからである。友情が続くのも尊敬の念を抱くのも、その基盤には信頼がある。最初は良かったけれど、いつの間にか終わってしまっている人間関係を考えてみると、やはり信頼が喪失されたということが大きいと思われる。もちろん、信頼以前に、話が面白くないとか(自分の関心事項、例えば家族のことしか話さない人など、男性でも結構いるのである)、それとも絡むのだが向上心がなくて生き方が尊敬できない人とも続かないとは、来し方を振り返って、思っていることではあるのだけれど。

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