猛暑到来、読書の夏にします

あっという間に6月が終わり、と共に、なんと梅雨が明けていた! 道理で雨が降らないまま、やたら暑い日が続いていたはずだ。今から熱帯夜となり、あと最低2か月はこんな状態が続くのだろうか‥。考えても仕方がないが、気は重い。

このところよく読書をしている。とくに、午後8時以降寝るまでの間(といっても最近は就寝が早いので、せいぜい2時間程度である)。読書にはその折々の傾向があって、少し前は能楽だった。知り合いの弁護士が趣味で能をやっていて、国立能楽堂で本人がシテ弁慶を演じる『橋弁慶』を観に行ったのがきっかけだ。本を集中して4冊読んで、いっぱしに知っているつもりになった(笑)。能は室町時代に観阿弥と息子の世阿弥が完成したが、考えてみればシェークスピアより200年も古い。また、独自の筋書の型を完成させた点で世界に誇れるものである。武家や貴族の後援を得た能楽に対し、歌舞伎は江戸時代、庶民の娯楽として発展してきた演舞劇である。三味線もこれに同伴する。歌舞伎は結構見に行くが、能も今後是非鑑賞したいと思っている。

今はすっかりイギリスとフランスの王朝ものに嵌っている。この手のものはもともと好きで、世界の王室のウォッチャーであるのだが、歴史についてもちょっとマニアックになっている。イギリスは、ノルマン朝→プランタジネット朝→(ヨーク・ランカスター朝)を経たチューダー朝はなんたって、ヘンリー8世とその娘エリザベス1世という大役者が揃い、映画にもよくなっている。だが、その後のスチュアート朝(名誉革命が起こる)→ハノーヴァー朝(なんたってビクトリア女王だ!→現在のウィンザー朝に続く)の知識が欠けていた。ビクトリア女王に血友病(血液が凝固しないので死亡しやすい)因子があり、4男5女の結婚を通してその因子が世界中に広がり、ロシア王室崩壊の一因になったことはよく知られるが、そもそもは父親が高齢(51歳)での誕生故の突然変異だったらしい。

スペインのアルフォンソ13世(現フェリペ6世の曽祖父)は、自ら英国に赴き、ビクトリア女王の孫娘を見初めて求婚、その子孫に血友病が発症する危険はすでによく知られていたが、その分子供をたくさん産めばいいと言い、花嫁をイギリス国教からカソリックに改宗までさせて異国の地に連れてきたのに、いざ産まれた王太子に血友病が発症すると激怒し、そのことで妻を決して許さなかったという。あまつさえ浮気のし放題で、宮廷に手つかずの女性はいないとまで言われたそうである。日露戦争に勝利した日本に対して黄禍論を唱えたプロイセンのヴィルヘルム2世もビクトリア女王の孫だったとは知らなかった(実母が女王の長女)。母親と非常に仲が悪かったそうだ。

フランスの王朝については私の好きなブルボン朝(名君アンリ4世に始まり、なんたって太陽王ルイ14世だ!最後のルイ16世は処刑される)には詳しかったのだが、その前のヴァロワ朝、さらにその前のカペー朝までをざっと見てみた。イギリスとフランスは、海を挟んでいるが互いに婚姻関係その他を通して、百年戦争その他、切っても切れない深い関係にある。縦だけで見ていた歴史が横に繋がったとき、理解が立体的になるというのか、それぞれに濃い人間関係が分かって、本当に嬉しくなってしまう。このあとはドイツないし神聖ローマ帝国に知識を広げたい。

ただやみくもに記憶するのではすぐに忘れてしまうが(受験もないのだし)、登場人物がそれぞれ血肉を持った人間として動き出せば、しめたものだ。何百年前だろうが、どういう立場だろうが社会状況だろうが、宗教が何だろうが、人間の本質はまったく変わらないなと思う。共感の出来る人が現れると、まるで今その人が近くに生きているかのように、その喜怒哀楽、歓喜、悲哀を感じることができる。昔は今と違って自由度が遥かに低く、職業も結婚も住居も宗教も自分で選べなかったが、健康であればそれだけで恵まれているし、たまたま良い人間関係に生まれ、良い伴侶に当たれば、幸せだった。世の東西、今昔、貴賤を問わず、人間の真実は変わらないのだと思う。

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