何をどうやっているわけでもないのに、日にちはどんどん過ぎていく。気がついたらもうあと今年も2ヶ月。ブログも更新しないとなあと思いつつ、つい延ばしていると、次の事件が起こる。
海外でのトップニュースは、トルコ総領事館でのカショギ氏殺害事件であろう。カショギ氏(59歳)はサウジアラビアの名家の生まれで、かのビン・ラディンに複数回インタビューするなど、アラブ世界で最も著名なジャーナリストの1人であった。王族とも懇意の立ち位置だったのだが、現サルマン国王が(伝統的には順次弟に王位が譲られていた)、亡くなった兄の息子が皇太子だったのを廃して自分の息子ムハンマドを擁立したのが昨年6月。それ以降権力が集中され、事態は大きく変わっていく。皇太子はサウジの脱石油化を目指すとして矢継ぎ早に改革を押し進め、女性の運転免許を認めるなど海外受けを狙ったようだが、その活動家らは弾圧されたとも聞く。
独裁者が考えることはみな同じ、自らの権力の維持であり、民衆のことなぞ頭にはない。敵対者は弾圧、抹殺あるのみ。トルコのエルドワン大統領も近年独裁色をどんどん強めているが、サウジアラビアに至っては、国名がサウジ家のアラビアであり、憲法もなければ議会もない(20年以上前、検事時代に一度リヤドに行ったことがある)。皇太子は昨年秋、政敵である王族や経済関係者を汚職容疑でホテルに一斉拘束し(多額の金員を払わせて、後に釈放)、政府批判をする穏健な活動家やジャーナリストを締め付けていく。カタールに一方的な断交をつきつけ、サウジを訪問したレバノンの首相を長期にわたり拘束…まさにやりたい放題なのだ。危ないなあ、この先どうなるのだろうと憂えていたら、この大事件である。
カショギ氏は昨秋アメリカに亡命、ワシントンポスト紙に現政権を批判する記事を投稿していた。そのカショギ氏がトルコ女性との再婚のために離婚証明を取るべく、トルコのサウジ総領事館を訪問したのが9月末、書類に不備があるから10月2日に再訪してくれと言われ、逮捕されると危惧する声には、トルコ国内で変なことはできないと楽観視していたらしい。総領事館の外で、婚約者に荷物を預けて中に入る。まさかの時にはエルドアン大統領側に連絡を取るようにと。ずっと外で待つ婚約者…。彼は総領事館を出ましたよ、なんていう嘘が通るはずもない。
案の定トルコ政府が騒いだことにより、国際世論も高まり、サウジアラビアは追い詰められていく。どうせばれるのに、なんでこんなつまらないことをやったのかと思うが、同じ独裁者同士、サウジ人の命くらいでトルコが騒ぐことはないと軽く考えていたかもしれない。たしかにトルコが西欧諸国のように、表現の自由やらジャーナリストの保護などを重んじるはずもないが、サウジとの取引や国際社会でのプレゼンス向上には使える。その結果、サウジは20日にはようやく領事館内での死亡を認め、当初過失を主張していたのを後に計画的な殺人に改める。だが肝心の死体は…行方知れずのままである。
実はトルコはずいぶんと入念に「捜査」をしていたのである。2日早朝、サウジから15人のヒットマン(皇太子のボディガードや法医学の権威を含む!)が空路で来たことも把握済みだし、現場の録音もあるという。総領事館や大使館は現地人を雇うので、スパイがその中にいたと考えるのは至って容易である。それによると、カショギ氏は薬物を投与され、生きたまま体を切断され、7分後に絶命した! 総領事が「ここでやるのはやめろ。俺は大変なことになる」と叫んだことまで暴露済みである。遅まきながら実行行為者らは逮捕され(1名は交通事故?で死亡済み)、皇太子は自らの関与を否定し、トカゲの尻尾切りで済ませる腹が見え見えだ。もちろんそんな嘘に欺される者はいないのだが、サウジへの武器輸出を続けたいトランプその他、それぞれの思惑があって、サウジを徹底的に叩くことまではしないようである。
国内では、新女性大臣のスキャンダル!! 詳細は未だに分からないが、その口利きは悪くすると、あっせん利得収賄処罰法違反じゃないですか。それを「不正確」だと(事実無根ではない)直ちに訴訟に持ち込み、弁護士に喋るなと言われているから喋らないって!? あなたは国会議員ですよ! 国民に説明責任があるでしょう。もし別の議員が同じことをしたら、糾弾の限りを尽くしているはず。それが自分のことになるととたんに逃げて平気な人が多く、困ったものだと思っている。責任ある立場の人ほどきちんと責任を取るべきなのだが。
さて、金足農業躍進のお陰で、初めて熱を入れて見たドラフト会議も、先週終わった。ドラフト1位で華々しく入っても故障その他で、一軍に上がらないまま去っていく選手は35人もいるという。二軍と行ったり来たりで、ぱっとしない選手はもっと多いだろう。かと思うとドラフト下位や育成で入ってトップまで上り詰める人もいる。努力や運もさることながら、大器晩成型もいれば早熟型で高校や大学時代がピークだった人もいるだろう。プロスポーツは実に厳しい世界である。年俸やランキングを見れば評価は一目瞭然だからだ。これが弁護士や医者だったら、貧しい人のために、無罪を勝ち得るために、金など要らないと頑張る弁護士もいるし、僻地医療や発展途上国医療に心血を傾ける医者もいる。少なくとも、高収入イコール立派な医者・弁護士ではない(そう思っている本人がいることは否定しないが)。趣味を楽しみたいから平日も執務は午後4時まで、そんな働き方でも構わないのは自由業故だ。今夜は日本シリーズ第3戦。相手本拠地でのカープ躍進を祈っている。