元金は100万円余(訴額140万円未満は,管轄は地裁ではなく簡裁である)。
御本人は負けても大した額ではない(むしろ弁護士報酬が高くかかる)と思っていた節がある。ところがどっこい,これに金利年29.2%がついた。3年以上余,金利は計100万円を優に越え,元金以上になっていたのである。払うべき額,220万円!!
3年前に内容証明郵便で催促がきた際,言い分がある(たしかにその通りであった)とクレームをつけたらその後放っておかれ,もう済んだと思っていた頃になって訴訟を提起された。こんなことなら3年前になぜ提起してくれなかったのか……尤もな言い分だ。預金金利が年1%にも達しないこの時代,黙って寝ていても入ってくる金利30%はまさに暴利である。
この案件,結論から言えば,控訴前に原告側の相手方弁護士と交渉し,解決金80万円で合意した。相手方にも弱みがあり,一審で和解に持ち込めばもっと安く済ませられたであろうと思う私はいたって残念だが,いったん220万円を覚悟した御本人はとても喜んでくれた。弁護士冥利である。
金利といえば,29.2%が実に多い。
出資法(正しくは「出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律」)の上限金利が年29.2%なのだ。これを越えると刑罰の対象になるため,まともな金融業者はこれ以下で抑えている。
一方,民事上有効な上限金利を定めた利息制限法は,元金100万円を越えた場合の金利上限を年15%(元金が低くなれば年20%)としている。2つの法律の上限金利の間の利率をグレーゾーンという。本来これが遊離していることこそが問題だと私など常々思っている。
だが,今これをなくそうとする政官の動きに,金融業界がこぞって反対をしているのである。いわく,そんなことをすると審査も厳しくなり,借りられない者が増えて,結局彼らは闇金に流れるのだと。
だが,本当にそうだろうか。増え続ける多重債務者・その結果としての自己破産には,安易に貸す,借りる実態がある。もともと返せない金に高い金利がつけばいよいよ返せない。そのために次にまた借りる。だんだん追いつめられ,ついには闇金に手を出す。大手消費者金融会社がコマーシャルで繰り返し流すように,笑顔で借り,笑顔で貸す(その後の返済,取り立てを忘れている!)業態ではそもそもないのである。
各々が身の丈にあった生活でなければならないし,また誰もが最低限の生活を送れるようにすることが政治の役割であろう。二極化,勝ち組負け組を作る政治は間違っていると思うのだ。
ウチは消費者金融が専門,過払い金(利息制限法を越えた金利を払い続け元金完済後も払っていた場合に戻ってくる金)が昨年5000万円あった,その24%が報酬になる,だからグレーゾーンが廃止されると困る……そんなことを言う弁護士もいる。