初場所終わる…

コロナ感染者がいくつもの相撲部屋に出て、休場者が多数に上ったが、場所は敢行された。途中で大きな集団感染でも起きたら中止にせざるをえなかったもしれないが、昨日無事に終わり、安堵した。16日(土)、向正面枡席1枚を頂いて行ったら、ちょうど行事のすぐ後ろの真ん中で、テレビに必ずうつるというのに、正座をし続けるのははなから無理で、本当に困ってしまった。十両が最初から見られる2時半に行くので、正味3時間半である。

いごいごしながら、ふと周りを見たら、右の前方に(向正面の左前方になる)、姿勢良くすくっと、微動だにせずに座っているワンピース姿の、若い女性がおられるではないか。すごいなあと我が身と比べ、感嘆していたら、その方がなんとネットで「溜席の妖精」として、物議を醸している。なんでも先場所からフルに30日間、午後2時半から3時間半、ずっと同じ席に、同じように姿勢良く座っておられるらしい。正座用の補助椅子を使っていたが、それでもよほどの忍耐心がなければ、出来ることではない。清楚なワンピースは日替わり(たぶん)、脇に置いたハンドバッグは着る物に合わせて変わり、どれも高級品…。まず、その席は普通の人では手に入らず、特別のコネがあるのは間違いない。毎日その時間帯フルに来れるということは(よほど相撲好きであることはもちろんとして)普通の勤め人ではないことは確かだ。どこのご令嬢なのか、関心が高まるのは当然である。これもテレビ故、何よりネット社会故である。知らない者同士が即座に話題を共有できてしまうのだ。ご本人はきっと迷惑に違いない。来場所は大阪だから、まさか来てはおられまい。

昨日、私は1年近くぶりに歌舞伎を観劇した。国立劇場での菊五郎一座による、演目は「通し狂言四天王御江戸鏑(かぶらや)」であった。正午から(途中30分、15分の休憩を挟んで)午後3時までの公演は、コロナの影響でいつもより短くしたものである。最前列は空席で、2列目以降、1つずつ空席にしているので、満杯でも半分の入りでしかない。とはいえ、もっとずっと少なく、例年この時期に観劇しているのとは比較にならない。飲食業界や旅行業界はもちろん、こうした所にもコロナの影響は多々及んでいる。

続く新年会中に(テーブルには隣席との間に感染防止の間仕切りがすべてしつらえてあって、びっくりした)千秋楽だったから、時々スマホをチェックして、大栄翔の優勝を知った。ほっとした。3役力士7人に全勝し、13勝2敗。完璧な突き押し相撲だ。突き押しといえば貴景勝だったが、とうてい敵わないのではないか。16日に間近に見たが、あまりに太りすぎたのに、びっくりした。歩くのもやっとのような感じさえ受ける。これで相撲が取れるのか、と思うほどだったが、やはり結局負けが込んで休場、来場所は3度目のカド番だ。立ち合いすぐの突き押しに、先場所とは違い、圧力を全く感じなかった。速攻で決められず、もたもたしているうちに、やられてしまう。稽古も体調管理も、日々精進してこそである。照ノ富士が来場所大関取りを果たし、5月場所再度大関に昇進するだろう。

横綱はおらずとも、三役(貴景勝を除く)はみな勝ち越したし、平幕筆頭の大栄翔の大活躍があって、見応えのある場所であった。鶴竜は給料泥棒の感がますます強まり、来場所もおそらく出られないだろうから引退になるのであろう。白鵬は、今の水準では出てくればまだまだ優勝できそうな感じはするが、今場所が清々しかったのは、白鵬が必ずやるエルボーや張り手といった、プロレスまがいの、神事である大相撲には相応しくない取り口がなかったことが大きいと思うのだ。来場所もできたらもう白鵬もなしでやってくれればと思うくらいである。

小錦が提案していて、私も同感だが、相撲部屋が多すぎる。新入者は一時期の年2000人の、今や3分の1になっているというのに、部屋は40以上ある。中には2?3人しかいない部屋もある。大栄翔の追手風部屋や、佐渡ケ獄部屋、伊勢ヶ浜部屋など関取が何人もいる部屋では、コロナで出稽古禁止でも同じ部屋内で稽古を積めるが、朝乃山や御嶽海の部屋では関取はそれぞれ彼ら1人しかいない。ものすごいハンディだ。国技である相撲が衰退しないように、力士がそれぞれ実力と技を鍛えることができるように、相撲協会も既得権に大なたを振るうべきではないのか。

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