無事5月である。いろいろあったが先週中になんとか済み、今日はわりとのんびりしている。明日も事務所に出てきて、3日朝から尾道帰省である。天気が良いので嬉しい…。先ほど久しぶりに事務所から外に出たら、いつの間にか新しいコンビニが出来ている(初めて聞く名前だがイオン系だそうだ)。コンビニは同じ通りにすでに2つあるし、通りを挟んでも1つあるし(スーパーもある)、これで経営は大丈夫かと他人事ながら心配になる。自宅周りもコンビニはありすぎるほどあるうえ、大型スーパーも3つもあるのだ(まもなくもう1つ出来る)。
用事が溜まっていたので先週末29日(土)、新橋から銀座中央通りに出たら、交差点角のビルが壊されていて、前に何があったかとんと思い出せない(そういうことはしょっちゅうある)。5丁目のニューメルサがイグジットメルサに変わっていて(銀座1丁目のメルサは閉店になった)、ざっとビル内を探検した。そのあと有楽町まで歩く。JRに乗って東京駅に出たらいつもと違う所に出たらしく、見慣れない構内である。出口になかなかたどり着けず、かなりの運動になった。東京に一応は慣れた私でこれだから、地方から来る人などはきっと迷ってうろうろすることだろう。とにかく東京は歩くことが多い。
もうだいぶ前だったような気がするが、大型選挙の後半戦は先月23日(日)だった。区議選が行われ、私は前回までとは違う、知人に頼まれていた区議に投票した(どちらも当選)。いつも思うのだが、区議が我々選挙民の前に出てくるのは4年毎の選挙の時だけである。区長は見たことがない。4年の間に何をしているのか、さっぱり分からない。それはマスコミが関心をもって報道しないからだと言う人がいるが(地方ではもっと報道されているはずだ)、私はかねて、地方議員にそんなにやることがあるだろうかと懐疑的である。国会は法律を作るが、地方では作って条例で、その数たるや圧倒的に少ない。予算をどう使うかで議会は開くが(委員会もあるはずだが)、一体年にどれほどの期間開かれているのだろうか。どんな審議がなされているのかも分からない。
地方議員の数はその自治体の条例で定まっている。人口6万6000人しかない千代田区の議員定数は25人。獲得投票の一番少ない議員はなんと500票台である!一方、人口25万人の港区の議員定数は34人。こちらは1200票程度は必要である(もちろん世田谷区など人口の多い区ではもっと必要になる)。そして、議員年収は、大体1000万円と言われている。フルタイムで働いても高収入なのに、それほど働くべきことはないはずで、副業を持っている議員も多い。そして4年毎に必死に選挙運動をすればあと4年は安泰とくれば、なかなか良い話ではないだろうか。
もちろん、票数が少なくて済むのは、投票率が低いことと無縁ではない。大体40%程度である。行っても行かなくても変わりはしない…頼まれているから、知った人だから、選挙に行く、という人は多いと思われる。なにせ地方選挙である。誰が代表になったからといって暮らしがそう変わるとは思えない。
国政補選は全国で5つ。衆院が千葉、山口2区・4区、和歌山の4つ、参院が大分県選挙区。うち和歌山と大分は野党現職だったから、岸田政権としては現状維持の3つ取れればよく、結果としては僅差で大分も取れたから勝利である。広島でのサミットが今月開かれ、その成功を手土産に、岸田さんは今国会中の解散総選挙に踏み切ると言われているが、果たしてどうだろうか。いずれにしても前回の総選挙は一昨年10月だったから2年も満たず、あまりに早すぎると思われる。任期は本来4年なのに、平均して2年半?2年10ヶ月程度である。選挙はそれ自体で大変金がかかるし、世襲など選挙に強い候補は別として、みな選挙区を向いて政治をやることになり、本末転倒ではないかと、かねがね思っているところである。
そう、世襲の問題も今回大きくクローズアップされた。山口の新人候補は、巨大な政治家ファミリーの出である。伯父(元総理)は昨年選挙戦の際凶弾に倒れ、父は体調不良により現職を早く引退して息子に譲った。「息子に跡を譲りたい」と軽く口にしたことで叩かれたが、それほど彼らにとっては当然のことなのだ。中小企業や家内工業はよく世襲で継がれるが、大企業ではよほど個人として優秀で、他から見ても納得できる人事である必要がある。とにかく能力の伴わない放漫経営では競争に勝ち残れず、潰れてしまうのは当たり前のことである。
国会議員の場合、経営者とは違い、議員は数の一人に過ぎない。優秀でなければ党内でも政権内でも良いポストは与えられないにしろ、選挙にさえ当選すれば、失職はしない。「その他大勢」でいる分には、選挙にさえ通ればよいのである。中選挙区の時には、自民党候補が複数立候補するから選挙民は優秀なのを選び、でないのを落とせばよかったのだが、小選挙区ではそうはいかない。自民党候補がどうしようもなければ野党候補にするか、とはならないし、そういう場合は棄権をすることになる。その結果が投票率の大幅な低下である。およそ6割が選挙に行かないとなると、残り4割のうちの過半数、例えば全体有権者の4分の1の得票でその選挙区を取ることができるのである。これは選挙民を代表している数字とはとても思えない。
そもそも小選挙区制はイギリスに倣ったものだが、イギリスは世襲は認めない。子弟が選挙に出ることは出来るが、別の選挙区からであり、それは党が決める。そしてまた比例区はなく、すべて小選挙区である。日本のように、落としたはずの候補がまた受かっているというようなことはありえないのだ。日本は制度を変えるのに、まさにいいとこ取りをしたわけだ。これでは新陳代謝が図られない、もとの中選挙区制に戻すべきだとはよく言われるが、市会議員や区議会議員より狭いような選挙区で戦える現行選挙制度は、お金がかからない。事務所もスタッフも少なくて済むからである。中選挙区の時の5分の1位で済むそうだから、国家議員自身が元に戻そうとすることなどおよそ考えられないのである。
『世襲』(中川右介著)を一読した。政治、企業、歌舞伎の世襲をよく調べて書かれてあった。かつて自民党総裁・総理は世襲ではなく東大卒官僚出身が普通だったが、世襲になってから東大卒はなくなり私大卒ばかりだとのこと。中には職歴もない人までいるそうである。