木原誠二官房副長官スキャンダルに思うこと

コロナ発症して今日でちょうど4週間…倦怠感・疲労感(咳・痰は少し)の後遺症は依然続いている。風邪程度で済んだ人も多い一方、2ヶ月かかった、7ヶ月かかった!(脱毛まであったそうだ)という人もいて、医者に言わせると「治ればよいです。治らない人もいますから…!」。コワい。とにかく二度と感染しないことだ。マスクはどんなに猛暑でももはや必携である。

そんな中で、私の頭がホットな状態なのが、冒頭のスキャンダルである。私が参院を辞めたのが2004年、この方がいわゆる郵政解散総選挙で(財務省を辞めて)衆院当選したのが2005年、なので直接の接点はない。東大→財務省→35歳で代議士、2008年に落選したがそれ以降は当選を重ねて5回当選(今53歳)。岸田首相の懐刀と言われている「切れ者」だそうだ。実兄はみずほフィナンシャルグループ社長、親なども相当の地位にあった人であることも知っている。

この方がマスコミを賑わせたのは昨年来、愛人と隠し子が発覚したことによる。昨年は親子で七五三、今年は親子でディズニーランドと、ずいぶん堂々と振る舞っていることにびっくり。誰に出会うかも分からないのだから、一般のサラリーマンでも家族以外とはそんな所に行かないが、フランスの政治家同様、プライベートは関係ないでしょ、というスタンスなのだろうかと思っていた。愛人が元ホステス、そして妻も元ホステス(互いに面識がある)で、家族は前夫の連れ子2人と、自分の子ども2人の計5人ということも、そのときに知った。

今月、いわゆる文春砲が炸裂したのは、それとは完全に別件である。木原氏の妻の前夫は2006年4月10日、自宅で死去したのだが(享年28歳。妻は26歳で、子どもは3歳と1歳だったと思われる)、不審死なのに、自殺で処理されている。包丁か何かの凶器で喉元から刺した傷が肺にまで達しての失血死など、自殺の方法としてはそもそも希有すぎる。そのうえ凶器を自ら抜いて近くに置いておく…そんなことができるだろうか? まさか。もし自分で刺したのならば、そのままの状態で事切れているだろう。死体解剖がなされたようだが、その際致死量の覚せい剤が検出されて、過度の覚せい剤使用によって狂乱状態となり、自殺をした…と片付けられたようなのだ。

しかしいろいろな疑問が湧いてくる。?そもそも自殺する動機があったのか。男(Yという)の所に子ども2人を連れて逃げていた妻(X子という)を取り返すべく、その前日自宅に連れ帰って(ハイエースという大きな車を、前もって実父から借りていた)離婚の話し合いをしていたというのである。もちろん遺書はない。?覚せい剤使用は重罪である。高価なもので、それが致死量となるとかなりの量・金額になるし、一体誰からいつどうやって入手したのか、どうやって自分の体に接種したのか(飲んだのか注射したのか)、きちんと捜査をする必要があるはずだが、なされた形跡がない。?妻は当時隣の部屋で子どもらと寝ていて気がつかなかったというが、それだけのことがすぐ隣の部屋で起こっていて、全く気がつかないなどありえるか。つまり、他殺であろうと容易に推察できると思われる事件を、あえて自殺で処理したことについては、妻の実父が警察官だということが影響したのではないかと思えてくる。自分の身内が殺人容疑で逮捕されたりしたら、おそらく父親は職を辞することになるからだ。

X子はこの後、銀座のホステスになり、2008年、客で来た若手有望政治家の木原氏と出会う。独身でハンサムな木原氏に、彼女はぞっこん惚れこみ、そのあと落選した3年余の間(民主党政権の時である)も経済的援助を惜しまなかったという(もちろん木原氏自身も有能な人なのでちゃんと働いてお金は貰っていたようである)。政治家が40歳を過ぎていつまでも独身というのも格好がつかないので、見合いも組まれ、有名な料亭の娘さんとの結婚式も予定されていたのに、結局木原氏はその結婚式をキャンセルし、X子は妊娠して、2014年結婚に至る(10月出産)。この間愛人との交際も併行していて、愛人の娘は2015年3月に産まれる(これだけを見ても、なんだか節操がなさすぎる)。妻との間には2018年第二子も産まれる。

つまり、前夫の不審死事件と木原氏との間には何の接点もない。木原氏との接点が出来るのはその後である。この事件はコールドケース(未解決事件)として残っていたらしく(殺人事件に時効はない)、所轄大塚警察署の女性刑事が2018年初め、おかしいと気がつき、捜査態勢が組まれることになる。その際、Yが当日X子方に車で向かっていたとの裏付けが取れ(しかし、Nシステム解析でそこまで分かるだろうか?)、覚せい剤事犯で収監中の宮崎刑務所を頻繁に訪れてようやく、Yが当日、X子から電話を貰い、「夫婦喧嘩の弾みで夫を殺してしまった」と告げられて、家に向かったとの言質を取ったそうである(180センチもある夫を女一人で刺し殺すのは、就寝中か意識不明中でもない限りおよそ無理なので、Yは最初からその場にいて、覚せい剤使用といい殺害といい、主位的に関わったのではないかと私は感じているが)。それを受けて、X子の実家(名古屋らしい)及び木原宅が捜索されたのが2018年10月。事件現場(一軒家と思われる)はX子父のものだったようで、すでに取り壊されているらしい。

12年も経って、再捜査をすると言われて被害者父は喜び期待したが、なぜだかその後捜査は頓挫してしまう。もし警察が、月日もずいぶん経っているし、今更の立件は難しいと自分たちで再度判断をして止めたとしたら格別、もしここに、木原氏が自民党の有力議員である(捜索に入られた当時、自民党情報調査室長など有力ポストに就いていたという)が故に、警察が何らかの忖度をしたか、さらには権力側からのなんらかの働きかけがあったとすれば、それがまさしく木原氏自身に絡む問題となる。

もし何も働きかけなどしていないと断言できるのであれば、堂々と記者会見をすればよいと思う。政治家であるからには身の潔白は自らが説明責任を果たす以外にない。妻の事件については自らはたしかに預かり知らぬことなので、妻を信じていますと言い切ればよいのではないか(あるいはきちんと取調べに応じさせます、そして真実を明らかにさせますといえば、なお良い)。しかしながら自らはだんまりを決め込み、普通の市民のように弁護士を使い、「事実無根・人権侵害」「刑事告訴する」旨の書面を送ったので、まずいのではないかと思ったが、やはり未だに刑事告訴などなされてはいない。公職にある者に対する名誉毀損については、マスコミ報道は刑法230条の2で言論の自由(国民の知る権利に奉仕する)が高度に守られているし、そもそも政府トップにある者が法務省や検察庁といった自らの下部機関に指示する形になるのは妥当ではない。やるのであれば職を辞すのが先なので、そんなつもりがさらさらないのならば、これは単に脅しになってしまう。

被害者の父親が顔を出して司法記者クラブでの会見に応じている。とにかく真相を明らかにしてほしいと。遺族はもちろん、関係のない一般国民もそう願う。父親は息子と連絡が取れず、心配になって当日午前3時頃、息子方に行き(車を返してもらうのであれば、車で行っていないのだろうか。それが分からない)、変わり果てた息子を2階で発見している。強盗にやられたと思ったそうだ。110番をする際、住所が分からず外に出て電柱表示を確かめた際、荷物を抱えた怪しい男を見たのだという。これがYだとすると、彼はすでに家にいて、真夜中に人が入ってきたのでしばらく息を潜めていて(X子同様、父親が来たとはゆめにも思わなかっただろう)、いなくなった際に慌てて外に出たのかもしれない。その際返り血を浴びたであろう衣服なども一緒に持ち出したとすれば辻褄が合うのではないかと想像してしまう。

X子とYとの通話状況なども警察は押さえているはずである。凶器はじめ現場の指紋などは採取していないのだろうか。もしかしてYと前夫は以前より知り合いで、覚せい剤仲間であったり(反社系になる)、X子のこととは別に金銭問題などで揉めていたことはなかったのか。例えば前夫に保険金が掛けられていたなんてことはないのだろうか。X子は妻でありながら遺体の引き取りに応じず、葬儀に来て線香を上げてくれという義父の電話を切り、以後何の音沙汰もないそうだ。もちろん孫にも会わせてもらっていない…。事実はまさに小説よりも奇なり。ただただ本当のことが知りたいと、しばらくぶりに思わせてくれる事件である。

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