出でよ、40代リーダーたち

都知事選挙はまもなく実施される。7月7日。こんなに楽しみな選挙はかつてなかった。都知事選は圧倒的に現職が有利らしいのだが、そこに石丸伸二という全くの新人が登場し、話題だけかと思っていたら、今や2位につける勢いなのだという。現職有利は揺らがないだろうが、世襲でもない彼がぽっと出てきて、一体どこまでの人を巻き込んで、やってくれるのか。

彼は41歳。広島の西北、安芸高田に生まれて地元の高校を卒業後、一浪して京都大学に入学して経済学部を卒業。三菱UFJ銀行に就職後、4年半ニューヨークに派遣されて広いアメリカ大陸の経済アナリストをやっていたという。経済を知っている、それが自身の売りだという。政治が良くなければ経済も良くならないことを実感し、4年前、地元の市長選に立候補するために銀行を退職し、1期弱市長を務めた。この間議会での様子をユーチューブにアップして名前を売ったようである。都知事選に立候補することはニュースで知ったが、たくさんいる候補の一人くらいに思っていた。

注目したのは、候補者4人による公開討論会の様子をたまたまネットで見たことによる。理知的な喋り方、冷静な佇まい。いわゆる地頭が良いのであろう。失礼ながら、永田町で実際ないしテレビで接する方々とは質的に違うと感じたのである(接する機会がなくて、その頭及び人柄の素晴らしさを知らないままの方ももちろんおられるであろうが)。ネットは大変便利である。討論会に行かなくても演説会場に行かなくても、本人に接することができる。話を聞き、人柄を察することができる。先般は、応援弁士としてはるばる富山・高岡からやって来られたという角田市長41歳の応援演説を聴いて、いたく感激した。もちろん紙など見ることはなく、心の籠もった熱弁を、同級生(年が同じで、地方政治に携わった者同士という意味)である石丸さんのためにとうとうと述べておられた。こんなに素晴らしい応援演説は初めてである。心から石丸さんを尊敬し、応援しているのだということが伝わってくる。

いろいろ言われているが、日本でも若い有望な人が続々育っているのである。自分を振り返っても、40代こそが知力に満ち、体力もあり、何でも前向きに取り組める年代ではなかったか。都知事選の後にくる自民党総裁選は9月。候補者がいろいろ取りざたされているが、昔の名前で出ています、ではない新鮮な方を切に望む。願わくば若い方を。できれば40代を。頭と人柄と、ビジョンに優れた方を。加えて、ルックスも良い方を。日本の代表として世界に出ていかれる方なのだから。G7その他で端っこに目立たなくいるのではなく、故中曽根総理のように、堂々と真ん中に立てる方を。日本の代表として、恥ずかしくないのは当然として、限りなく誇れる方を切に望んでいる。

11月にアメリカ大統領選は行われるが、バイデン現大統領はすでに81歳。以前から認知機能の衰えを度々指摘されていたが、先般の討論会では如実にその弱みがさらされて、選挙戦からの撤退まで声高に叫ばれていた。対するトランプは78歳。まさに高齢者同士の戦いである。刑事事件を抱えるトランプか高齢のバイデンか。消去法の選択になる。アメリカはかつてケネディ、クリントン、オバマと、いずれも40代の大統領を送り出した国である。どの方もセクシーであり、奥様もまたそれぞれに魅力的で、アメリカの理想的なカップルを描き出していた。それがなぜ、いつからか、どういう理由で、若い候補者が出なくなったのであろうか。

話を都知事選に戻す。世襲ではなく、政党も組織票もなく、マスコミによる知名度もなく、ユーチューブという新しい手段により、短期間に人に知られ、それを投票行動に繋げることが出来るのである。5000人とも言われるボランティアの数、2億円と言われる献金額、そしてすでに有名選挙プランナーや多くの支援者がつき、一大ムーブメントを巻き起こすことが実際にできるのである。要はそれだけのやる気を持ち、力強く人に訴え、言葉と行動で人を味方につけることができるかどうか。石丸さんの本心が実のところは都知事ではなく、知名度を上げて国政選挙に出たいのかも、あるいは他の何かにあるのかも、それは分からない。しかしながら、彼が今回行動してくれたことにより、ただ諦めるのではなく、それぞれ行動を起こすべきだと教えてくれたことは、それにより政治を変えていけるかもしれないと思わせてくれたことは、本当に有り難いことだと思う。7日夜が待ち遠しい。

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