総選挙が終わり、いろいろ思うこと

 もうずいぶん前のことのように感じるが、まだ1週間余である。先月27日総選挙の結果、自民党は惨敗した。選挙前勢力247議席から191議席に(小選挙区132+比例区59)。公明党も32議席から24議席に(新代表まで埼玉の小選挙区で落選した)。自公合計215議席は、選挙前目標の自公で過半数(=233議席)を大きく割り込んでいる。片や立憲民主は98議席から148議席に大躍進、同様に国民民主も7議席の4倍、28議席となりキャスティングボートを握る立ち位置となった。

 自民党惨敗については、非公認議員の政党支部口座宛に自民党本部から2000万円が振り込まれたという、選挙終盤報道が大きく影響したと思われる(赤旗へのリークらしい)。立憲の枝野さんいわく、それを境に空気が変わったと。たぶんこれがなければ、ぎりぎり自公で過半数はクリアしたのではないか。この原資は政党助成金で、各支部口座宛に年に何度か振り込まれており、支部=現議員ではないし、選挙の際の公認非公認とは別物であるが、こんな時期に振り込まれれば誰だって、非公認にしたのは選挙向けの体裁だけで実際は違うんだよね、インチキだと思うはずだ(変な話、選挙後に振り込まれれば少なくとも選挙に影響することはなかった)。総選挙は、国政をどう進めるかが争点になるはずなのに、立憲の野田さんは金の問題に絞ることにし、結局はそれが効を奏したことになるが、そもそも野党共闘の姿勢はほぼ示されず、政権奪還の意図もないことが明らかだったので、今回議席が増えたことは敵失による消極的勝利ということになるだろう。

 新総理が掲げた目標が達成出来なかった以上、普通の組織と同様、彼は総理を辞めるのだろうと思っていた。となると、総裁選をまた実施しなければならないが、今度は9月のような大がかりなものではなく、両院協議会を開いて進めればよいのである。しかし、そんな動きはまったくなかったし、11日召集の特別国会(首班指名)もすぐである。つまり、このまま自民党(公明党も)は一致団結して石破さんを指名することになる(心情的に嫌な人も多いだろうが)。一つには、この政治資金不記載問題は岸田さんの時に起こったものであり、石破さんの責任ではないということ(岸田さんが総裁に再選され、解散を打った場合、これ以上負けていたかもしれないのである)。また一つには、今総裁を引き受ける者がいないということだ。先の総裁選で次点だった高市さんの同志は安倍派が多く、今回その多くが落選したし、また他の誰もこんな時期のいわば泥船には乗りたくない。悪くすると、総理どころか、野党の党首になるかもしれないのである(そういう自民党党首もいた)。

 報道によると、自公と国民民主との政策協議が始まっている。党首の玉木さんはもともと自民党寄りであり、自公と連立を組んで主要大臣ポストが欲しいかもしれないが、党自体一枚岩ではなく立憲同様の連合寄り議員も半数いるので、そんなことをすると党が割れるおそれもある。来年は参院選でもあり、今のところは急いで連立を組むことなく様子見をするのが得策であろう。よって、首班指名の最初の投票で過半数を占める者はおらず、上位2人(石破・野田)の決選投票に持ち込まれることになる。野党が全員示し合わせれば野田総理が誕生しそうなものだが、そんな気配はまるでなく、決選投票でも各党それぞれの党首の名前を書くそうである。つまり当然のようにそれらは無効票になるので、母数が小さくなる結果、石破さんが首班に指名されるらしい。おそらく、来年通常国会での予算審議・成立と引き替えに石破さんは辞めることになるのではないか。来春には都議選があり、また7月には参院選がある。各党ここは党勢拡大の正念場なのである。

 落選議員は、議員会館事務所を10月末日限り退所せねばならなかった(議員宿舎も同様であろう)。なので、30日に親しい議員方を挨拶に回ったら、フロアに大量の段ボールが積まれ、どこも大騒動であった。こんなに一気にメンバーが替わったことはこれまでなかった。いわゆる実力者まで落選し、肩で風を切る姿ももはや見られない。秘書も一瞬にして失職し、落選議員が多いのだからよその秘書ポストも空かないし、次の就職先を見つけるのも容易ではない。議員自身、この際議員を辞める決心がつくのであれば、いろいろなことを整理し、今後の自身の身の振り方を考えていけばよいが、捲土重来を期す場合はそうはいかない。東京事務所は議員会館が使えないのでどこかに見つけることになるだろうし、秘書もある程度は残しておかないといけない。何よりも自らの議員報酬も公設秘書給与も、政党助成金や文書交通費も一切なくなるのである。寄付だって、現職の時ほど集まるはずもない。無料のJRパスもない。

 とにかく定額収入がなくなるのだから、これほどの大打撃もない。次の選挙はいつなのか。衆参同日選挙になるのであれば1年弱だが、万一解散を打てなかった場合、4年近い長丁場になる。その間の厖大なお金はどうするのか。次回は絶対に当選するかといえば、選挙は風の影響も多々受けるので、その保障などありはしない。落選はまさに地獄なのである。外に出るのも嫌になる、人に会えなくなるとも聞く。とにかく健康に気をつけて、それぞれにとって最善の道を選ばれ、進まれることを切に願っている。

 

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