頭に来ることは世の中、ちょくちょくあるが、昨日来た銀行員の対応ほど、頭に来たことはない。これを上回る出来事は、この後起こらないだろうと思えるほどに。非常識の極みである。
私は21年前(平成16年7月)今の事務所で弁護士を開業し、以後ずっと同じ所で仕事をしている。ドイツテレコムが引き払ったこの場所に一目惚れし、即決で契約したのは、その2ヶ月前の5月だった。その時点での勤務先はもちろん参議院である。事務所用の口座を開設しなければならないが、事務所に近い所の大手では他にみずほもあるものの、みずほには30年以上前から口座を持ち、収入も支出もほぼこちらで賄っているため(定期もある)、三菱東京UFJにしただけのことである(その後銀行名から東京が抜けた)。弁護士法人ではなく個人の事務所なので、口座開設の届出はもちろん、個人の自宅である。それは港区にあり、以来こちらも同じだし、電話番号も変わらない。とにかく個人情報としては超シンプルなのである。ただし、自宅(特に電話番号)はほぼ開示していないし、それは携帯も同じである(携帯番号は国会議員になる少し前に作って以来26年変わらない)。
以来この銀行・支店では純然事務所用の口座と、余剰金を移す個人口座と、その後に弁護士会の要求で作った弁護士の預かり金口座と、3つの口座がある。本意ではないが、少なくとも事務所関係ではどれだけお金があるか把握されているため、いつの頃からか、投資その他の勧誘に担当者と称するものが来訪するようになった。もちろんその前に事務所に電話があってアポを入れるのである。3年ほど前だったか、新しく担当になったという女性Kが「ご挨拶に伺いたい」と言ってきたのだが、それがなんと自宅の留守電であった(こんなことは初めてだ!)。自宅はもちろん日中不在だし、留守電は無機質の声である(事務所留守電は知人の女性に応答を入れてもらっている)。それが何度か繰り返されて頭に来てしまい、銀行に電話をしてその旨伝えた。あ、すみません…。元銀行員の友人にこの呆れた話をすると、「それは相当出来が悪い。かといえ、なかなか銀行も首には出来ないからなあ。担当を変えてもらうようにしたら」と言われたが、それも面倒なので、ついそのままになっていた。それからは事務所に電話があり来訪する際にはモルガンスタンレーの担当者も同行している。これで済んだはずだったのに、先月末、再び自宅への留守電である! ご丁寧にも「木曜は大学で不在だと分かっているのに電話をしてしまいました。また掛けます」。いい加減にしてよね。また連日の留守電があるのだろうと恐る恐る帰宅したら、数日後には事務所のほうに電話があった。自宅に留守電があったよ、と言うと、あれっ、間違えました…(自宅に掛けたという認識もない)。しれっとしている。まあそうだろう。それが大変なことだと分かる人であれば、そんなことはしない。
結局担当者を変えてもらうことになり、昨日、新しい担当者を連れて上司とやらが事務所に挨拶に来た。ここからが本題である。上司(支店の課長)も新担当者も女性だ。もちろんまずは謝罪をするはずなのに(それ以外に何の用がある?!)徹頭徹尾謝罪などなく、頭を下げることも全くなかった。いわく「銀行には自宅でのご登録を頂いています」。当たり前だ。会社ではないのだし、自宅での登録以外何があるというのだ。「で、この事務所は3番目です」「はあ。どこが2番目なんですか?携帯は知らせてませんよ」「携帯ではありません」「はあ、じゃあどこですか? 私の連絡先は2カ所しかないですよ」。そうしたら「調べます」とどこかに電話をしている。新担当者の若い女性が、私にその書面をそっと見せてくるので見たら、2番目の連絡先はどことも書いていない。「これ、どこ?…ああ、この電話番号は参議院ね。呆れた。参議院は辞めて弁護士を開業しているのだから、これは連絡先として存在しないじゃない。じゃ自宅が留守だったら、ここに電話をしていたわけ? これまでの担当者はすべて事務所にしか電話してきていませんよ」。この書面は、察するところ、最初登録するときに勤務先連絡先も書くから当初は参院だったので、それを入れた。そしてそれはなくなり、新たな勤務先は今の事務所なのに(21年)、何の考えもなく順番に登録をしたうえ、「登録先の変更届が出ていないのですから、自宅に掛けることになります」と宣ったのだ! 「うちの顧客には自宅しかない方もたくさんいますから」だって!?
あまりに呆れてしまって、対応の言葉も出てこないくらいである。登録先の変更届って、自宅は変わっていないのだから、一体何を出すのだ? 日中は不在ですから、一番は勤め先に電話をして下さい、などという当たり前のことを、いちいち届を出さないとやらないというのか。この銀行以外、どこもそんなバカなことを言った所はない。それにこれまで一度もそんなことを言わずにおいて、自分たちが失敗を重ねた挙げ句に急にそんなバカな弁解を出してきたのである。実際K以外は事務所に電話をしていたし、誰も自宅になど来た人はいない。本人が捕まらないとどうしようもないのだ。「お宅ら、役所以上にお役所的なことを言ってるんですよね」と苦笑してやったが、全く通じない。とにかく変更届を出さないアンタが悪いんで、自分たちには何も非がないというスタンスを、決め込んで来訪してきたようだ。そう言えば、当初、30分欲しいと言っていたなあ。まさかあ、時間給で生活している弁護士が、そんなつまらないことにそんなまとまった時間を使うはずないでしょ。5分だって、勿体ない。
この課長は、とにかく自分は正しくて相手が間違っているとのスタンスだ。根っからそういう性格なのだろうね。自分の立場も分かっていないし、仕事では使えない、私的であれば付き合いたくない人間の筆頭である。K以外の担当者は誰も自宅に電話をしていないということのほうが不思議なくらいであるらしい。じゃあ、引継ぎでやっていたということかしら…?と呟いていたが、そんなイロハ情報を引き継がずに何を引き継ぐというのだ? 口座には弁護士の預かり金口座まであり、弁護士業であることは誰にでも一目瞭然である。それを自宅に電話をして当たり前、なのか? ちなみにその問題の書面には自宅の住所もきっちり書いてあるのだが、Kはこれまで一度だってそんな所に行ったことはないのに、昨年末にもまた電話をして、あれっとも思わなかったのだ。銀行員とか社会人としてというレベルではなく、普通の人間ではありえないレベルである。
そんなレベルはKだけかと思っていたら、なんとその上司までそうなのだから、これは組織自体の問題である。上記の元銀行員の友人に「頭にくるから支店長に言ってやろうかしら。もっと上の人も知っているから、そうしようか」と言うと、「ううん、それは時間の無駄じゃない。それらも同じような発想のはずだよ。小さい所だったら、そんなことをしていたら潰れてしまうが、大きな所なのでふんぞり返ってるんだよ」。本当に、こんなにエラそうな人は見たことがない。なんのために、なんの得があって、そんなにエラそうにしてるの? 偉い人はたくさん知っているが、エラそうな人は一人たりともいない。
サービス業というのは、相手が悪くて自分たちに非がなくても謝らないといけない職種である。今回の一連の経緯で、客である私には全く非がないのに、余計な時間まで取らせて、一片の謝罪もなく、登録変更届?を出さない客が悪いのだというスタンスなのだ。これはいちばんやってはいけないことだろう(と友人も呆れていた)。このうえは、投資してしまった金額を損をしないように回収し、それ以外は一切この銀行とは付き合わないと決めた。連絡も勧誘も不要です。弁護士業についてはこの銀行口座を変えるわけにはいかないが、それだけの付き合いだ。こんな不快なことになると分かっていれば、最初からみずほにしたのだが(支店は違うので)。
三菱UFJ銀行といえば、なんといっても貸金庫事件である。容疑者はこの度来た課長と同年代だろうか。貸金庫から行員が数十億円分?を盗み、それが何年もばれないなど、ありえないことである。貸金庫の信用ががた落ちし、他の銀行は怒っていることだろう。金融庁の厳しい処分が必須である。とにかくこの銀行は組織のガバナンス(などという大それたレベルではないにしろ)がなっていない。どなたかこの銀行の上の方、きちんと事態を把握し、謝罪をして下さい。一事が万事。他の顧客も相当怒っている方々がいるはずである。