前回から1ヶ月経過。この間,嫡出子推定の離婚後300日を改正する件が流れたり(もちろん私は改正に賛成の立場である),国民投票法案国会通過があり,その度に書こうと思いながら(更新を楽しみにしていると言う人が結構いてくださる),雑事に取り紛れて今日まで来てしまった。だが,ついに腹立ちが治まらない事件が勃発。
愛知銃撃事件である。もちろん犯人には腹が立つ。暴力を振るった挙げ句に妻と別れ,さらには復縁をしつこく迫って,銃を持ち出す。男女間で未練がましいのは圧倒的に男だし,事件になるのも圧倒的に男。そんな男だから愛想を尽かされるのだと誰かが言ってやればいいのだが,そんな人間には友人もいないのが常である。
先月来続く銃器事件であることにも腹が立つ。今回も銃さえなければ,単なる男女間のトラブルに留まり,優秀な若い警察官の命が奪われることもなかった。ご両親,奥様と赤ちゃんには慰めの言葉もない。
しかし何よりも腹立たしいのは,警察の弱腰である。警察は国家権力の象徴だから,国家の弱腰と言い換えてもいい。それを支えているのはマスコミである。
当初,息子から110番通報があって現場に向かうとき,銃を持ち出して云々と言われたのに,なぜ発砲に備えた準備をしなかったのか。仮にも警察官が撃たれるようなことがあってはならないのだ。なぜならそれはとりもなおさず法秩序に対する反抗になるからである。英米など,警察官の殺害を一般民衆の殺害より遙かに重罪とする法制の国は多い。
それほどの緊急事態が起こったのに,なぜその時点ですぐさま警察は踏み込まなかったのか。この期に及んで犯人の人権(命)や動機の解明などと言っている場合ではない。人質といっても元妻。無関係の第三者とは立場が大いに違う。
それを,5時間半も放置した! 警察官の人権(命)や法秩序の価値はどうなるのか。すぐに救助されていれば重態にならなかったかもしれないのだ。ご家族の気持ちを考えてもやりきれない。そして果ては(弾が装具の1センチの差を貫通したことによる偶然の死亡だとしても)SATの優秀な人材を失う体たらくだ。
この期に及んでも,警察は強硬突破をしなかった。執拗なまでに自発的な投降を願い,あろうことか,「出てきてくれてありがとう」! それほどまでして犯人を生きたまま検挙しないと国民が非難するというのか。いや,そうではなくマスコミであろう。犯人は自分は撃っておきながら,自分が撃たれることに極力怯えていた。捕縛されて幸い,死刑にも無期懲役にもなりはしないのである。
さて,フランスではこの度新大統領当選に暴発した学生らを鎮圧するため,警察は容赦なく催涙ガスを放射した。犯人は容赦なく撃つ,逃げる場合は人質とももろともというのが外国の常識だ。そうやって法秩序を保つ。国民も支持する。なぜならば大多数の国民は被害者になるだけなのだから。これでまた日本は非常識な国であると国際社会に認知されたことだろう。それなのに他の事件と同様,お決まりの犯人の「動機」云々報道だ。この国はいよいよバランスを失してきた感がある。