執筆「区切りの年を迎え,思い巡らす 弁護士という仕事に就いて」

  この7月末、国会議員を辞めて弁護士になって、ちょうど5年が来る。
  5年は大きな区切りである。以前この稿に、弁護士で難しいことは、お金の取り方と依頼者との距離の取り方と書いたが、そのコツも大方掴めて、楽になった。
 弁護士としての信条は、一つ一つの案件を、その大小にかかわらず、確実に、丁寧にこなすことである。縁あって私に持ち込まれた以上、他のどの弁護士に頼むよりも良い結果にならなければ、紹介者・依頼者に申し訳ない。というよりそれは自身の矜持の問題であると、最近気がついた。こうしておけばもっと良い結果になったかもしれないと、たとえ僅かでも悔いが残るのが嫌なのだ。
 精一杯努力した結果、一般には勝てないと思われる訴訟に勝ったときの嬉しさ、起訴当然の事件を起訴猶予に持ち込めたときの喜び、これらは何ものにも替えがたい。お金を貰って、感謝してもらえて、いい職業だなと思う。忙しくて連日休みなしになってもちっとも辛くはないのは、仕事が趣味に近いからであろう。
  傍ら週1日、3コマ教えている大学も、今春5年目を迎えてようやく、自分のスタイルを確立した感がある。昨年から家裁調停委員、今年から弁護士会の綱紀委員も加わる。弁護士に対する懲戒申し立てを審理する部署である。
 公私にかかわらず、人から誘われ頼まれることは、ありがたいことである。前半生をだいぶ我が儘にやってきた分、後半生はできるだけ人のために生きようと決めている。
 実は5周年記念にピアノ演奏会を開きたかったのだが、残念ながら余裕がなく、ただ皆さまに心からの感謝を捧げたいと思います。続く5年がさらに充実したものとなりますように!

自由民主党女性誌 『りぶる』

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