執筆「まもなく始まる裁判員制度 よく尋ねられる質問は……」

 裁判員制について尋ねられることが増えた。
 市民の刑事裁判参加は、陪審制や参審制など、先進諸国ではすでにお馴染みだ。日本では4年前、法曹人口の増員、日本版ロースクールの設置など、司法制度改革の一環として、導入が決まった。5年の周知期間を経て、来年5月に始動する。裁判官3人と裁判員6人が合議し、事実認定はもちろん、量刑も決めるのだ。死刑判決もある。
 よく受ける質問からいくつか。
1. 誰が選ばれるの?
 20歳以上の選挙民から無作為抽出。法曹など一定の職業は除外され、70歳以上や学生、介護や育児に多忙などの理由がある場合には辞退が認められます。
2. 出頭しない場合の制裁は? 10万円以下の過料(刑事罰ではなく行政罰)がありえます。
3. どんな事件を審理するの? 死刑・無期刑の定めがあるか、故意の犯罪で被害者を死亡させた事件、つまり殺人や危険運転致死など一定の重大犯罪のみ。年約3000件、刑事事件全体の3%程度です。
4. 審理の拘束期間は?
 法曹3者が事前の話し合いで争点・証拠を絞り込み、3日を目処にしますが、難しい事件ではもっとかかるでしょう。
5. マスコミの取材や
 お礼参りは大丈夫ですか?
 暴力団関係事件などは裁判官だけで審理しますし、マスコミも取材自粛を申し合わせています。日当は1万円限度、など。
 とはいえ、実際どうなるか、始まってみないと分からないことも多い。
 民衆が民主主義を「血と汗で勝ち取った」歴史を持つ欧米では、裁判参加は民衆の「権利」である。日本では「お上」への信頼が厚く、こうした制度は不要だと私は猛反対したし、未だに持論は変わらないが、ここに至れば、うまく機能してほしいと祈る気持ちである。

自由民主党月刊女性誌
『りぶる』

カテゴリー: 執筆 パーマリンク