執筆「目標達成の秘訣は、自らを知ること。 そして実現可能な目標を立てること。」

 あっという間にまた年賀状の季節である。どんどん短くなる一年だが、今年は私には特筆すべき年となった。
 年頭に立てた目標は、2つ。それを早、夏には達成しえたのだ。
 目標その1は、「ピアノが上達すること」。上達したのには訳がある。
 2月、東京で弁護士をしている高校の大先輩から、弁護士会の某会合に出るよう頼まれた。欠席予定だったが、仕方なく出たら、そこで大クラシック好きの弁護士と知り合った。CDを1000枚は所有とのことで、うちピアノの名盤を50枚、選んで貸してくれた。聞いているうち、ずっと敬遠していたベートーベンが弾きたくなった。そこで、某代議士の御縁で知り合った、ベートーベン弾きで有名なピアニストに教わるようになったのが、5月。そうしたら8月の発表会に出てほしいとのこと。やむなく必死で練習したお陰で、本番でもつまらず、なんとか弾き切れた。自信がついてあちこちで披露するようになり、プロみたいと言われて調子づいている。この因果の元を辿れば、声をかけてくれた先輩弁護士及び某代議士のお陰だから、人生、やはり人と運である。
 さて、目標その2は、「法律に詳しくなって、弁護士会の法律相談に行けるようになること」であった。
 弁護士会の法律相談は、知人や顧問先の相談とは違い、相談者も案件も選べない。あとで調べて答えますとも言いにくい。だからこそ勉強になるのだが、自信がつくのを待っていたら、いつになるか分からない。よし、まずは実行だと春に申し込んだら、8月の案内が来た。迫るにつれ、緊張が高まる。仕事である分、発表会よりさらに緊張したほどだ。
 ところが、いざ行ってみると、お盆前とかで、相談者がずいぶん少ない。待って、ようやく一人。人の良さそうなおじいさん。借地の案件だ。手持ちの訴訟案件と似ていて、答えは簡単だった。
 その後交渉はうまくいったかなと思っていたら、2ヶ月後、弁護士会から電話があり、私にまた相談したいとのことだが構わないかと言う。快諾して、今度は私の事務所で応対し、相手方の地主に内容証明を送った。すぐにお礼の電話があり、振り込みも即日だった。
 誰かのお役に確実に立てるのは、人としていちばん嬉しいことである。もちろんそれが弁護士の醍醐味でもある。
 しかし、この快挙を別の面から見ると……自らの分を知るにつれ、夢が、大きなものから、頑張れば実現可能なものに変わった故かもしれない。来年も同じような目標しか立てないだろうが、それはそれでよしとしよう。

自由民主党月刊女性誌
『りぶる』

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