中川財務相醜態,政治の空転つづく……

 今朝も中川財務相の醜態がニュースを騒がせている。
 今日,参院で問責決議案が提出されるという。それを受けてか,本人は辞任の意向を示した。もっとも予算案通過までは留まるとのこと。その後,野党ばかりか与党内の抗議を受けて直ちに辞任となった。麻生内閣崩壊は秒読みである。

 ローマでこの14日開かれた先進7か国財務相・中央銀行総裁会議。その後の記者会見で中川氏は泥酔状態,答弁も支離滅裂だったのが世界中で報道された。一見するだけで普通ではない人が国の財政を握っている日本。国辱ものである。
 中川氏はアル中だと言う人が結構いる。ブッシュ前大統領もアル中で断酒をしたそうだが,アル中の治療には断酒しかないそうだ。中川氏も一時期そうしていたらしいが,いつのまにやら元の木阿弥。先般の本会議答弁で,歳出を歳入,その他26か所も読み間違え,指摘されて居直ったことは記憶に新しい。
 そもそも自らをさえ律することさえできない者に指導的立場につく資格はない。もちろん国の代表である国会議員になる資格もない。

 なぜそんな人が歴代内閣で重用され続けているのか,常々不思議に思っていた。閣僚歴はこの前に農林・経済産業とある。安倍氏・麻生氏のいずれも3代目は,敵も論客も抱え込まない,典型的なお友達内閣を作った。
 麻生氏自ら,消費税,給付金,最も新しくは「郵政解散に賛成ではなかった」。いずれも適当に発言しては謝罪・撤回,発言がぶれる,の繰り返しで,国民は首相の言葉の軽さ,責任感のなさに呆れ反発し,当然ながら支持率は低迷の一途を辿っている。すでに13%。これでは解散は打てない。10%を割り込んだら,森内閣のように総辞職するしかないが,それも本人次第である。その点は結構しぶとそうだ。なぜ人気が高かったのか,今となっては首を傾げるが,アキバや漫画といったものにこれまでと違う新鮮さを感じたからなのであろう。

 先日,外務省の米国通の話を聞く機会があった。
 オバマ大統領は偏差知的頭脳が極めて高い。ハーバードロースクールに進み,それも最も難関の憲法ゼミに所属。ハーバードローレビュー(法律雑誌)の編集長に就任(黒人初)。将来の最高裁判事のコースだそうだが,思うところあってシカゴに戻り,貧民救済に関わった。政治家オバマの原点だ。
 加えてオバマ氏は,コミュニケーション能力が高いのだという。
 イラク戦争は間違いだったというのが彼の持論だが,選挙期間中,聴衆の1人が「では私の息子は犬死にだったのか」と叫んだそうだ。シナリオのない展開。オバマ氏がどう答えるか,皆がしーんとなって見守るところ,すっと壇上から降りてその女性の所に行って抱きしめ,「あなたの息子を誇りに思う」と囁いたという。わっと泣き崩れる女性。一同の感激。これは教養,人格のなせる業でしかない。
そういう指導者を日本も欲しているはずだ。GDP2桁落ちという未曾有の危機に日本はまたも「失われた10年」を繰り返すのか。これといった処方箋がないのが悔しい。

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