政治家の感覚は世間の常識とずれていると感じることがよくある。
最近では小沢さん。1年生は次期選挙を勝つことだ,全員地元に張り付け,仕事はしなくてよいと,仙石行革大臣担当の事業仕分け作業から全員を外させた。だが言うまでもなく,国民は彼らの次期選挙を盤石にさせるために彼らを選んだのではない。高額な歳費を払っているのはもちろん仕事をしてもらうためである。一体どこの世界に,研修が君の仕事だと言って給料を払う会社があるだろう。若い時から政治の世界に入ると,金銭感覚はじめ様々な常識がずれてくる好例である。その意味でも基本的に世襲議員は好ましくないのだ。
そんなことを書こうと思っていたのだが,このところ異様な犯罪が続き,目は社会面に向かっている。千葉では女子学生が殺されてアパートを放火され,島根ではやはり女子学生が強姦されて殺されたうえ,ばらばらの死体が広島の山中で発見された。およそ犯罪などとは無縁そうな田舎のことだけに社会への影響は大きい。両事件の犯人が男であることは間違いないが,まだ見つかってはいない。そういう残忍な男たちが街中を平気でうろうろしているのだと,思うだけで怖い。
片や,女が犯人の事件が2つ。結婚詐欺・睡眠薬殺しだ。こちらも対照的に,東京と鳥取。東京34歳,鳥取35歳。まさか2つも同じような事件が起こるとは思わず,へえ東京じゃなく鳥取だったんだ,34歳の女が誕生日が来て35歳になったんだと思いこんでいたら,別件だと知って,本当にびっくり。一体いつからこうした手口が出回るようになったのだ!?
加えて,リンゼーさん殺しの市橋容疑者。死体が見つからないので生きているとは思っていたが,本当に2年以上も逃走を続けていたのだ。その生命力たるや,まさに脱帽である。全精力が逃げることにある,見つからないことにある,という人生は想像を超える。よほどの強い意志がなければとうの昔に自殺なり出頭なりをしていたはずである。事件自体,強姦がどうだったのか分からないが少なくとも計画的な殺人ではなかったのだろうし,強盗殺人でも保険金殺人でも身代金目的殺人でもなく,もともとが有期懲役で済んだはずだ。だが逃走を続けた分情状は当然重くなり,この間に裁判員制裁判が施行されて全体に判決は重くなった。そもそも殺人の公訴時効は平成16年の法改正で25年に延び(従前は15年)逃げ切るのは至難の業だ。それよりかはずっと,法の裁きを受けてできるだけ早く仮出所し,更生の人生を歩むほうが得策に決まっている。
一日も早く捕まってもらい,事件の真相及びその後の逃亡生活の実態を知りたい。真相究明は刑事訴訟法の究極の目的でもある。まさに事実は小説より奇なり,である。
犯罪は社会を映す鏡である。殺伐とした犯罪が連続的に起きる背景には殺伐とした社会がある。私が最も憂えているのは,職がないことだ。高校新卒者の就職内定率が3割程度。大学新卒者も4割程度。こう不景気では既職者もいつ首になるか分からない。冬のボーナスは軒並み大幅カット。消費は冷え込む。どの業界も軒並み不景気で,回復のめどは立たない。この悪循環は決して,子ども手当や高速道路無料化では止まらない。