「文藝春秋8月号(7/10発売)掲載の対談記事について」

 佐々淳行さんとの対談内容は、一読していただけば分かるように、大きな反響を呼んだ今年3月8日の予算委員会質疑に沿ったものであり、来日中国人による凶悪犯罪の深刻な現状及びその対策を論じたものだ。

 ところが、タイトルはなんと「在日中国人極悪犯罪事情」!!! 

 これを知らされたのは7月2日。まさかのことに驚き、変えてくれるよう申し入れたが、印刷に出してもう間に合わない、申し訳ないがクレームがきたら編集部がやった旨弁明してほしいとのこと、不本意ながら諦めざるをえなかった。

 たしかにタイトルは(単行本などすべて)編集側の専権事項である。これまでもいつもお任せできたし、今回も対談の内容からしてまさかこんなタイトルになるとは予想もしていなかった。

 すなわち、
(1) 「在日」中国人については私たちはまったく触れていない。
  だからもちろんこれは「日本で中国人が犯す」の意味で使ったはずである。私たち司法関係者が使い馴ている「来
  日」では一般に理解されにくいとも考えたのだろう。ちなみに「来日外国人」とは、我が国にいる外国人のうち、いわ
  ゆる定着居住者(永住権を有する者等)、在日米軍関係者及び在留資格不明の者以外の者と定義されている。
  「在日中国人」という言い方はあまり聞かないが、日本に来るのではなく日本にいる、つまり正規に居住している中
  国人の意になると思われる。定着居住者をはじめとする外国人登録者数は年々増え117万人を超え、日本の総人
  口の1.4%を占める(平成13年末現在)。うち中国人は38万人余(21.4%)。私たちが主に問題としている中国からの
  不法入国者・不法残留者よりはるかに多い人たちが日本で普通に生活しているのである。

 この人たちはむしろそうした不埒な中国人によって被害を受けかねない、そして現実に名誉を害されている被害者ともいえる。
  
 加えて、「在日」はそれだけで「在日韓国・朝鮮人」を意味し、日韓の複雑な歴史経緯をも浮かび上がらせる言葉であるだけに慎重な取扱いが欲しかったところである。

(2) 「極悪犯罪」は凶悪犯罪とは違う。
  凶悪犯罪は殺人、強盗、放火、強姦の4罪名を指し、うち極悪犯罪と世上呼ばれるのはそのごく一部にすぎない。
  メディアの過激表現はままあるが、正当なジャーナリズムには馴染まない。

 不快の念を受けたであろう方々にこの場を借りて心からお詫びをしたい。このことによって対談内容の信憑性・価値が少しでも減じられることのないよう祈りたい思いである。

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