「国連の役割の見直し」

 国連(The United Nations)は1945年、連合国(The United Nations)主体で創設され、加盟国は発足当初51か国だったのが現在ではその3倍以上、世界のほぼすべてといえる191か国に上っており、その60年近くの歴史においてそれなりの役割を果たしてきたのは幸いである。
 
 だが国連憲章を見ると、戦後処理体制を反映した敵国条項は未だに残ったままだし、安保理常任理事国5大国のうち、中華民国は中華人民共和国に、ソヴィエト連邦は崩壊してロシアに変わったにもかかわらず、依然として拒否権を持つ常任理事国であり続けている。安保理は1965年、非常任理事国数が当初の6か国から10か国に増えて以後変わらず、国際社会における政治的・経済的な勢力地図が大きく変化している現実を十分に反映したものにはなっていない。

 ことに日本は国連予算の分担率は2003年で約19.5%と、米国の22%に次いで多額の拠出金を負担しているにもかかわらず、国連事務局における職員数は2002年でわずかに111人であり、分担率や人口などを基にした望ましい職員数が257〜348人であることを考えれば適切な数とはとうてい言えない。加えて、常任理事国はおろか非常任理事国ですらなく、国連での意思決定の過程において蚊帳の外に置かれている。

 日本は安保理の実効性と正統性を向上するため議席数を「24」に増やすなどの改革案を提示し、改革実現の際には常任理事国として一層の責任を果たしたいとの意向を表明し、大多数の国から支持を受けているが、にもかかわらず国連改革が一向に進捗を見ていないことは極めて残念である。

 しかしながら、翻って、そもそも国連はその役割を果たしているのか。
 その役割不全を世界に突きつけたのが今回の対イラク武力行使を巡る国連決議であった。小泉首相は日米同盟を重視し、いち早く米国支持を打ち出したが、国内では野党はじめ多くの意見が、これは国連中心主義を捨て米国に追従するものだと反対した。米英両国は、仏露中を始めとする安保理メンバーとの意見対立が解消されないまま、イラク攻撃に踏み切り、結果としては早くに成功裡に終わったことで、むしろ支持率は上がり、批判は聞かれなくなったが、その代わり、国連の機能不全を指摘する声が高くなっている。今後イラク復興に関しても米国などの戦勝国が主導権を握ったままで事が進められ、国連が十分なイニシアティブを果たせないでいるままであればよけいにその感が強くなる。
 
 国連も抜本的に変わる時が来たのだと思われる。そのためには諸国の協力が必要不可欠であり、ことにEUの皆様方の協力が必要だと考えている。

 

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