〜外国人の地方選挙参政権問題〜
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1.問題の経緯
永住外国人に地方参政権を認めようとする法案は公明党などから提出されましたが、自民党内では慎重意見が圧倒的です。ただ、これが公明党との連立合意事項の一つであったため、執行部は2000年通常国会で採決する意向でしたが、自民党議員を期別に意見聴取した結果、反対意見が大部分を占めたために見送り、継続審議となりました。 その事実を無視し、2001年12月、ソウルで開かれた日韓議員連盟総会決議において、通常国会における法案化への努力を謳ったのは軽率であり、議員連盟において厳重に遺憾の意を伝えました。以後、この法案の再度審議の動きはないようです。 2.反対の理由 (1) そもそも参政権は国民にのみ与えられるものである。 帰化をしないで参政権を得た場合、母国の参政権もあれば兵役の義務もついてきます。両国間の利益が不幸にも齟齬した場合、どちらと運命を共にするのでしょうか。極端な例としては、母国の国会議員になっている永住者さえいるのです(北朝鮮数名)。 (2) 納税は参政権の対価ではない。 国会に来て初めて認識させられたのですが、戦後採用された普通選挙制度はそもそも各成人に等しく1票、つまり税金の支払いの有無とは関係なしに選挙権を与える制度なのです。どの国でも参政権のない外国人にも等しく税金を課します。税金はつまり、行政サービスの対価なのです。 (3) 憲法で認められていない。 賛成派はまた、地方は国とは違うと言いますが、いわゆる周辺事態法によって(有事法制ができればもっと)地方が担う役割は大きくなっており、地方だからいいというわけにはいきません。 (4) 永住外国人の間でも意見は分かれている。 対する一般永住者は、難しい条件が課される帰化にほぼ近い様々な条件(素行、独立の生計など)を満たした者にだけ認められるもので、その数は約18万人。一番多いのが中国約6万人、以下朝鮮半島出身者約3万人、フィリピン、ブラジル、ペルーと続きます。そういう人たちに未だ帰化しない段階で地方参政権を与えるか否かは、国際化を増す日本において、抜本的な国家政策に関わる問題です。 また、同じ朝鮮半島出身者の中でも推進派は韓国(民団)だけで、北朝鮮(総連)は明確に反対していることに留意すべきです。民団は参政権を戦争謝罪に結びつけようとしますが、この二つは別次元の問題です。原点に戻って、なぜ帰化せずに参政権だけがほしいのか。彼らは「私たちの祖国を奪わないでほしい」と言っています。自分たちの勢力を弱めないために帰化を推奨しないのだとも言われます。少なくとも帰化すれば幹部にはなれないのです。 (5) そもそも帰化しないまま参政権がほしいのはおかしい。 台湾出身の金美齢さんいわく、「参政権は謝罪として恩恵的に与えられるものではない」。「私たち夫婦は台湾国籍です。日本で生まれ育った2人の子どもは、成人になってそれぞれ自らの意思で日本国籍を選びました。それでも私たちは互いに信頼し合った家族です。ですが、万が一不幸にも両国が戦うことになれば、私たち親は台湾のために、あなた方は日本のために戦うのだという覚悟はできています。国籍というのはそれだけの重大な意味があるのです」と。非常に胸を打たれました。反面、私たちにはなんと国籍、つまり国民意識がないのか、愕然とさせられました。 −TOPへ− |
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