■年齢引き下げには刑法改正が必要                    web現代 2003.7.16

「まずは家庭や社会のあり方を考え直すべき」  元東京地検室長検事の佐々木知子参院議員は、刑事責任年齢の更なる引き下げには懐疑的だ。

 「これは少年法の問題以前に、その基本法である刑法の問題です。刑事責任年齢は刑法で14歳以上と定められています。一般によく誤解されているようですが、森山真弓法務大臣の答弁も、そこのところの正しい理解を欠いていましたね。なぜ刑法が14歳と定めているかと言うと、明治40年に作られた刑法はドイツに倣(なら)い、ドイツが14歳だからです。ちなみにフランスは13歳。イギリスはもともと7歳だったのを順次引き上げて10歳です。人の物を盗んではいけない、殺してはいけないなどということは本当はもっと幼くても知っているでしょうが、でも何歳以上に刑罰を科すべきかは国の刑事政策なのです。つまり、どれほど手厚く少年として保護するかということです。

 12歳の凶悪事件が起こったことで皆が驚愕し、ある意味ヒステリックな反応になっていますが、もっと社会全体が冷静に対処しなければならないと思います。全体に少年事件が凶悪化・低年齢化している原因は何なのか。少年は勝手には育ちません。そんな少年に育てたのは親であり家庭であり、社会全体の秩序の乱れ、連帯感の稀薄化といった要因なのです。被害者や遺族がどれほどお気の毒であるかはよくわかります。だからといってすぐに刑法を改正して刑事責任年齢を下げ、彼らにも刑事処分を科すべきかと言えば、そうは思えません。そうしたとしても根本的な問題は何も解消しないからです。あるいは、想像したくもないことですが、これからどんどん低年齢の少年による凶悪事件が多発し、世論が高まりを見せれば、刑法も改正しないといけなくなるかもしれませんが、そういう最悪の事態にならないように、どうにかこの国を立て直したいものだと思っています」



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