149 閉会後 決算委員会 2000/9/20   [ BACK ]
○佐々木知子君

 おはようございます。自民党の佐々木知子でございます。
 早いもので、二十一世紀まで残すところ三カ月余となりました。日本のキーワードは少子高齢化と、そういうことをいつも言われておりますけれども、平成十二年版厚生白書の概要によりますと、一九七〇年には六十五歳以上の人口は七百三十九万人で、総人口に占める割合、いわゆる高齢化率は七・一%だったのが、二〇〇〇年には六十五歳以上が二千百八十七万人、高齢化率は一七・二%、要するにおおむね人口の六人に一人となりまして、この三十年間に急速に高齢化が進行してきておるのが明らかでございます。
 一方で少子化も非常に進んでおりまして、既に六十五歳人口は、ゼロ歳から十四歳の年少人口、これは二〇〇〇年は一千八百六十万人ですが、それを上回っておるという状況でございます。
 ちなみに、私は日韓フォーラムという会議から戻ってきたばかりなのですが、韓国ではまだ高齢化率というのは日本の一九六〇年代のレベルということで、若年労働者がかなりまだいるのでまだまだ大丈夫だということを言っておりました。日本の高齢化というのは世界にも例を見ないほどのスピードで進んでいる、こういうのは事実として受けとめなければならないと思います。
 さて、高齢化ということになりますと、刑務所人口、いわゆる犯罪を犯す人たちの年齢層も高齢化という現象を免れないということになろうかと思うのですけれども、実際問題、その高齢者、ただ矯正統計年報によりますと何十歳代という分け方をいたしますので、六十五歳以上という分け方ではなくて六十歳以上という形で認定しているというふうに承知しておりますけれども、この高齢の受刑者がふえているのかどうか、どのようなふえ方をしているのか、現在の数、そういうものについて雑駁なところをお述べいただきたいと思います。

○政府参考人
 (鶴田六郎君)
 お答えいたします。
 ただいま委員の方からお話がありましたように、矯正当局では六十歳以上を高齢者というような取り扱いをしておりますけれども、そういったことでお話しいたしますと、平成十一年末の行刑施設における六十歳以上の高齢受刑者は四千百五十四名で、全受刑者に占める比率は約九・二%となっております。十年前の平成二年、このときは人員にして千九百九十名、全体の約五%でありましたが、それと比較いたしますと約二・一倍の増加となっております。このうち六十歳から六十九歳までの者が平成十一年末で三千四百九十五名、七十歳以上の者となりますと六百五十九名ということになっております。以上です。
○佐々木知子君  日本の矯正は分類処遇というのがこれまで世界に例を見ないほど進んでおりまして、例えばJ級、これは少年ということでございますが、Y級二十六歳未満と。ただ、高齢者ということでのE級なりO級というのはございません。
 ただ、高齢者だからということで恐らくは特別な処遇というのがなされておるのではないかというふうに思うわけですけれども、例えば高齢者だけを入れる刑務所というのはあるのかどうか、そういう分類処遇というのがなされているのかどうか。それで、どういうふうな形での処遇の特徴があるのか、そういう点について述べていただきたいと思います。
 ついでに、もし罪名的な特徴、こういう人が高齢者でよく刑務所に入っているんだよというような特徴があれば、それについても述べていただきたいと存じます。
○政府参考人
  (鶴田六郎君)
 お尋ねは高齢受刑者の処遇の現状と、また犯罪傾向だと思いますので、まず後者の方から御説明させていただきたいと思います。
 現在、収容しております高齢受刑者の犯罪の傾向を罪名別に多い順で見てまいりますと、やはり窃盗が四一・七%ということで一番多いわけであります。そのあとは詐欺一三%、それから覚せい剤取締法違反が一〇%、あとは道路交通法違反といったような順になっておりまして、犯罪傾向としてはやはり窃盗、詐欺……(「聞こえない」と呼ぶ者あり)
○委員長
  (鎌田要人君)
 ちょっと発言者、マイクに近づいてください。聞こえないという声が大きいから。
○政府参考人
  (鶴田六郎君)
 はい、わかりました。
 そういう順になっております。それから、処遇の現状ですけれども、今、委員の方からお話がありましたように、高齢受刑者ということで分類処遇上、特別の収容分類級なり処遇分類級はありません。
 そういった意味で、特に六十歳以上の者を特定の施設に集めて特別の処遇を行っているわけではありませんで、結局、刑名とか刑期、あるいは犯罪傾向の深度、心身疾患あるいは障害の有無とか、あるいは人格の特性、そういった個々の高齢受刑者の持つ問題性に応じまして、それに適した処遇を行っているというのが原則ですけれども、一般的な傾向として申し上げれば、やはり高齢受刑者の場合、身体疾患、障害があったり運動機能等の全般的な低下によりまして歩行等の日常動作や意思の疎通が困難であるといったことが少なくありませんし、一般受刑者と一緒に集団で処遇するということもなかなか難しいので、個別に処遇や介助が必要とされる、そういった問題を抱えている受刑者が多いわけです。
 それでは、そういう問題を抱えている受刑者に対してどういうふうな処遇をやっているかということですが、やはり身体機能の維持、老化防止のために自立心を持たせるように一方で配慮しなければなりません。ただ他方で、個々の受刑者の心身の状況に応じまして、歩行等の介助をしたり、あるいは建物に手すり等を設置する区画を設けたり、また食事はおかゆといったような軟食とか減塩食といったものを給与したり、冬になりますと衣類や寝具等の貸与数をふやしたり、また作業ですと軽作業をしたりする、そういった配慮を 行っていると。そういったのが処遇の実情でございます。
○佐々木知子君  私は実は尾道刑務所に見学に行ったことがあるんですけれども、そこは高齢者だけを収容している施設でございました。皆が六十歳以上で、八十歳になられた方もおられました。中では非常に皆さん規律正しいというか、当たり前かもわかりませんけれども黙々と作業に従事しておられまして、この方たちがまじめに生きていれば今ごろは孫に囲まれて幸せな生活を送っていたのかもしれないなと思うと、私自身は非常に胸に迫るものがあったのですけれども。
 今お答えになったように、確かに窃盗事犯が非常に多い。累犯者、もう何度も何度も窃盗を繰り返して来る。今、詐欺と言われましたけれども、そんな高級な知能犯ではございません。大抵は無銭飲食を繰り返しているというような詐欺犯でございます。それが一三%というようなお答えがございましたけれども、あと覚せい剤事犯と。私は、やくざがいるんじゃないかと思ったんですが、やくざは節制をしていないので、本当に好きなものを食べて好きな暮らしをしているので、なかなか長生きはできないので余りこういうところには来ないんですというふうに言われまして、ああそうかなと思ったんですけれども。
 彼らは基本的に受け取る家庭がないというか、あるかもしれないんですけれども、帰ってきてもらっても迷惑だというような家庭がもうほとんどでございます。ですから、懲役三年なり四年なりで無事に出所できたといたしましても、その後帰る場所がない。
 あと更生保護施設というようなのもございますけれども、そこに行って居心地がいいのかどうかわかりません。居心地がいいのが多分刑務所の中なんだろうと思うわけなんです。朝昼晩とちゃんと御飯が出ますし、医療も完備されております。何も心配することはありませんで、週刊誌も随分積んでありました。私も本が好きなものですから、本さえ読めるんだったらこういう生活もいいかなとかいうのを思ったりもしないわけではないわけなんですけれども。
 そういうふうにして戻ってきたいというのでは、これは刑務所の刑務所たる役割が本当は果たせていないわけで、刑務所というのは、あくまでもその後ちゃんと普通の社会に帰って普通の生活ができるように処遇していくというのが本来の目的だろうと思うわけですが、なかなか難しいところもあるだろうというふうには察しております。
 保護局長の方にお伺いしたいんですが、更生保護施設というのはどのようになっておりますでしょうか。
○政府参考人
  (馬場義宣君)
 お答え申し上げます。
 更生保護施設は全国に約百、定員で申しますと約二千二百ほどということでございます。
 この更生保護施設におきましても、近年、高齢入所者がふえております。このような状況に対応するため、高齢の入所者の安定的な働き先、就労先の確保や施設につきましてバリアフリー化を図るというふうなことを進めているほか、必要に応じていわゆる福祉施設に移行できるよう福祉機関との緊密な連携に努めているところでございます。
 また、本年七月には愛知県豊田市に特別養護老人ホームを併設し、高齢者を専門に受け入れる更生保護施設が開設されるなど、高齢者の積極的な受け入れということに努めているところでございます。
○佐々木知子君  更生保護施設というのは非常によくやっていると思うわけですけれども、実は本当に笑い事ではなく、高齢受刑者のその後というのが非常に問題になるわけなんですね。若いときに年金とかを積んでこなかったから、きっちりとした老後が保障されないという面もございます。本当に体が悪くなってしまえば医療保護なりそういう生活保護も受けられますけれども、体自体はそう悪くはないと、そういうことになると福祉になかなか乗らない。
 そして、私は、高齢者の公判というのも実際よく立ち会いましたし、高齢者もよく調べましたけれども、その後どうするのかといいますと、ちゃんと働きますというふうには一応は皆さん答えるんですが、実は弁護士ですらそういう事情は非常にほとんど難しいということをわかっているというのがこれは現実なんですね。一般の人ですら最近はもうリストラで職を見つけるのが難しいのに、いわんや高齢者、手に職はない、おまけに前科、前歴はあるというようなことで、職を見つけること自体非常にこれはもうはっきり言って不可能に近いということで、これは法務省だけの問題ではなく、厚生省なり労働省なりいろんなところとの連携というのが必要だろうというふうに思っております。
 これについて産経新聞がこの八月二十一日に、受刑者の六十歳以上が急増している、生きがい探しを支援、大半が常連組というような、こういうヘッドラインで記事を出しておりましたけれども、日本全体を、こういうことも高齢化社会を背景に考えていかなければならないということで問題を提起させていただきました。
 次に、外国人犯罪の問題に移らせていただきたいんですけれども、石原都知事の発言に見るまでもなく、外国人犯罪がふえていると。それも凶悪犯罪がふえているんではないかというのが一般の方々が持っているイメージでございます。
 外国人といっても定義はいろいろございまして、犯罪統計で使う場合の外国人というのはいわゆる来日外国人、永住資格を持つ者とか、それからアメリカ軍の関係者を除いた者を来日外国人と定義して、彼らの犯罪という形でまとめているわけですけれども、その来日外国人犯罪というものが実際にイメージだけでふえているのか、本当にふえているのか。ふえているとして、現在の数値、それからどういうふうな罪名が多いのか、それから国籍としてはどういうふうな傾向があるのか、そういうようなことについてお答え願いたいと思います。
○政府参考人
  (鶴田六郎君)
 お答えいたします。
 いわゆる先ほど申し上げました在日外国人がほとんどを占めます韓国・朝鮮籍を除いた者につきまして状況を説明させていただきたいと思いますが、平成十一年末の行刑施設におけるそういった外国人受刑者は全部で千六百八十三名ということになっております。
 国籍の内訳は、多い順に申し上げますと、中国が一番多いわけで六百五十一人、イランが三百二名、その後はフィリピンの百九名、ベトナムが九十四名、ブラジルが八十三名と、そういった順になっております。
 また、犯罪の傾向を罪名別に多い順に見ますと、やはり窃盗が一番多いわけでありまして、全体の約二七%くらいを占めております。その後は覚せい剤取締法違反が約二二%くらいを占めており、その後は出入国管理及び難民認定法違反、それから強盗致傷、強盗といったような順になっております。
○政府参考人
 (島田尚武君)
 来日外国人とは、いわゆる商用、留学、旅行等で我が国に滞在する外国人から永住者、特別永住者、在日米軍関係者等を除いた者をいうこととしております。
 我が国の国際化の進展に伴いまして、御質問にありましたように、近年、来日外国人による犯罪が深刻化しており、平成十一年中の警察による全検挙件数、人員は三万四千三百九十八件、一万三千四百三十六人で、過去十年間、平成元年から十一年までで見ますと、検挙件数では六倍、検挙人員では二・九倍に急増し、特に検挙件数は過去最高を記録しております。
 刑法犯に限って見ましても、平成十一年中の検挙人員は、件数、人員で二万五千百三十五件、五千九百六十三人で、過去十年間で検挙件数では七倍、検挙人員では二倍に急増し、件数は過去最高を記録しております。
 罪種別では、凶悪化の傾向が見られ、平成十一年中の凶悪犯検挙は二百六十七件、三百四十七人と、前年比でそれぞれ一七・一%、三八・二%増加をしております。そのうち、中国人の割合が多いわけでありますけれども、平成十一年中の検挙状況を見ますと、中国人が検挙件数で一万五千四百五十八件、人員で五千三百五十二人となっており、構成比で見ますとそれぞれ四四・九%、三九・八%と約四割を占めております。平成十二年上半期では、全検挙で七千四百二十七件、二千四百二十二人と、昨年同期比でそれぞれ一二・三%増、六・六%減という形になっております。
 態様別、罪種別に見ますと、平成十一年中における窃盗犯二万二千四百四件、三千四百四人のうち、一万一千二百八件、構成比五〇%、それから千六百四十人、構成比四八・二%を中国人が占めており、近年中国人による組織的な窃盗事犯が目立っているという状況にあります。以上であります。
○佐々木知子君  かつてイラン人だったのがもうとっくの昔に中国人にメジャーは取ってかわられたというのが事実なんですけれども、中国人が蛇頭グループなどの関与によって密航者が非常に多いと、日本の暴力団がもちろん絡んでいるわけですけれども。それから、中国人の組織的なすりグループというのも非常に問題になっております。だから、組織的なすりによる悪質な窃盗事犯というのが非常にふえているというふうに私も認識しているものでございます。
 来日外国人の中で、適法に滞在している者、ちゃんと外国人登録をして適法に滞在している者もいれば、不法滞在、要するに今申しましたように密入国をしている者、そしてちゃんとした、一応ビザなりパスポートで入ってはきているんだけれども、認められた滞在日数を超えて、最初から超える意図がある者が大部分ですけれども、超えていわゆるオーバーステイイングをしている者とか、そういうふうにまとめて不法滞在ということになりますけれども、その割合についてはどのようなものでございましょうか。
○政府参考人
 (島田尚武君)
 平成十一年中の来日外国人全検挙人員のうち、不法滞在者は一万三千四百三十六人中七千八百三十七人ということで、五八・三%を占め、また、刑法犯の検挙人員五千九百六十三人中では千五百二十九人と二五・六%を占めております。また、凶悪犯の検挙人員について見ますと、三百四十七人中百八十六人と五三・六%を占めております。また、薬物事犯検挙人員について見ますと、七百五十四人中三百五十一人で、四六・六%に上っております。以上であります。
○佐々木知子君  というぐあいに不法滞在者の割合が非常に多いということで、来日外国人の犯罪を取り締まるためには、やはりその予防というんですか、密入国をさせないようにきっちりするという、その水際作戦というのが非常に大事であることと、それからオーバーステイもさせないと。
 オーバーステイイングにつきましては、入ってきているという数が把握されているわけですから、出ていった数を換算すれば現在どれぐらいの数が不法滞在しているかというのはもうおのずから計算で出てくるわけですけれども、平成五年に三十万人近くに最高値を記録したわけですが、現在少し減っていると言われていて、二十五万人。それでも二十五万人の不法滞在者が常にいるということでございます。
 警察の方々に言わせれば、こういう方を入管行政によってもうそのまま帰してもらうなりなんかしてもらえればかなりの部分の外国人犯罪というのが防げるはずだというので、私も実際そうだというふうに思うわけですけれども、入国管理行政というもの自体を根本的にいろいろ考えないといけないんではないかというふうに思う次第でございます。
 外国人犯罪がふえていると。いろんな国からも来ているということで、これは当然また通訳の確保というのが非常に捜査上も公判の維持上も問題になってくるわけです。それゆえ、言うならば受刑者処遇の上でも問題になってくるわけですけれども。通訳ですけれども、一体今何カ国ぐらいの確保をして、どれぐらいの数の通訳がいるのかどうか、そのようなことについて、まず警察の方からお答え願えますか。
○政府参考人
 (島田尚武君)
 警察では、全国で約八千七百人、部内が三千四百、部外五千三百の通訳人を確保しており、約七十言語に対応しているところであります。
 各都道府県警察におきましては、通訳人の登録、派遣手続等を定めた通訳人運用要綱の制定、通訳人を統一的に管理運用する通訳センターの設置等を行っているほか、集団密航事件等、都道府県警察単独では通訳人を確保できない事案に備え、各管区警察局に通訳人の応援派遣を円滑に行うための管区通訳センターを設置するなどしているところであります。また、各都道府県警察では、大学、国際交流団体等の関係機関と緊密に連絡をとり、緊急時における通訳人の確保に努めているところであります。
 被疑者の国籍等が多様化する中で、通訳人の確保が困難な場合も少なくないところでありますけれども、被疑者の人権に配慮した適正な捜査を推進するため、今後とも高度の語学力を有する民間通訳の方の確保等、通訳派遣体制の整備等に最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。以上であります。
○佐々木知子君  捜査段階では時給七千円で通訳を確保しているというようなことを聞いておりますけれども、実際捜査に携わっておりますと、その方が学生だったりすると、試験があるのでその時間はちょっと行きにくいとか、いろいろもう確保に難航した記憶が随分あるんですけれども、かなり現場は大変だろうというふうに推察しております。
 ちなみに裁判所ででも、私がもう十七年ぐらい前に某地方都市におりましたときには、外国人、これはアメリカ人だったんですけれども、捕まってきたときには、裁判所始まって以来の通訳つきの裁判だということで地方紙に大きく載ったぐらいの、そういうようなことだったんですが、東京地裁などでも外国人担当部というのがあった、とてもじゃないけれどももう間に合わなくなりまして、各部ともどももう外国人がかなりの割合を占めているというような実情になってきておりまして、私も最後出るときに東京地検の公判部というところで東京地裁の一カ部を持っておりましたけれども、五分の一かそれぐらいは外国人だったのではないかというような記憶がございます。
 非常に裁判所の方でもいろいろこれ苦労されておるだろうと思いますけれども、通訳の確保状況とか、もし予算だとかいろいろなことがありましたらお述べいただきたいと存じます。
○最高裁判所長官代理者
 (白木勇君)
 お答え申し上げます。
 裁判所では、外国人事件の急増に伴いまして、大使館、大学、語学学校等の協力を得、また広報による公募などを通じまして通訳人の確保に努めてまいりました。その結果、平成二年には通訳人の候補者が二十七言語、延べ四百十四人でありましたものが、平成十二年には四十二言語、二千七百三人にまで増加いたしております。ただ、それで十分かと申しますとそうではございませんで、今申し上げました二千七百三人のうち二十言語につきましては通訳人候補者が一けたでございます。また、そのうち十一言語は候補者が一名にすぎないという状況でございます。
 裁判所といたしましては、引き続き通訳候補者の量的確保に努めるとともに、その研修に力を入れてまいりたいと考えております。
 それから、通訳の予算というお話でございましたが、予算の額は、突然のお尋ねでございますので総合計で申し上げますと、通訳謝金に限りませんで、外国人事件一般のための予算でございますが、平成元年には四千百万でございましたが、平成十二年には六億一千万余となっております。以上でございます。
○佐々木知子君  刑務所の中での外国人受刑者の数というのも非常にふえていると私は認識しておりま す。かつて府中刑務所だけが外国人を入れるところだったんですけれども、とても間に合わなくて大阪刑務所の方に入れておりますし、またある程度日本語がしゃべれて日本になじんでいる人は、F級と外国人の級という形で認定をせずに普通の日本人として普通の扱いで刑務所に入れているというふうに承知しているわけですけれども、外国人受刑者の数というのは今現在どういうふうになっているのかというようなことについて、お答え願いたいと存じます。
○政府参考人
 (鶴田六郎君)
 お答えいたします。
 現在、行刑施設における外国人収容者、先ほどもお答えしましたように、約千六百八十三名おるわけですけれども、今、委員がお述べになりましたように、F級という日本人と異なる処遇をするという分類級に分けまして、主に府中それから大阪の各刑務所で処遇しておりましたけれども、数がだんだんふえてきましたので、その後これらに加えまして横浜とか神戸、名古屋というようなところにおいても収容を開始しておりまして、現在、約十五の施設において外国人受刑者を取り扱っているということでございます。
 それから、処遇に当たってはやはり言葉の問題あるいは食事の問題とかいろいろありますので、そういった面で、例えば習慣の違い、宗教上の理由によりまして豚肉や牛肉は食べられないという外国人受刑者もおりますので鶏肉等を用いた食事を与えるとか、また宗教の面でも各自の信仰する宗教の方式にのっとった礼拝とか、あるいは経典、数珠などの礼拝用用具も使用を認めまして、そういった形で、原則は日本人受刑者と同じように扱うという中で外国人の特性等々に応じた配慮を行っているというのが処遇の実情でございます。
○佐々木知子君  日本の刑務所は非常に待遇がよろしいということで、外国人の犯罪者を調べていても、捕まっても余り怖くないと、そういうことを言われるんですね。
 前科があって入った者についてはもちろんそういうことを言われますし、三度三度の食事が出て大体そこの宗教も考えてくれて、自分は肉食だからということでお肉も日本人とは違うのを出してくれて、おまけに作業賞与金を外国人とは別に、外国人は日本人とは別だというふうな扱いもできませんから大体月四千円程度の作業賞与金ももらえて、それから四、五年して、四、五年という刑期は日本では非常に長いですけれども、帰るときにはある程度の額を持って帰れると。日本では大した額ではなくても彼らの国でかえるとかなりの額になって、それでうちを建てたというような話もあるわけです。日本に出て、捕まらなくて密輸ができると大もうけだし、捕まってもまた人道的処遇を受けてお金も持って帰れると、どちらにしてもいいことずくめだということも私は直接聞いております。
 ペルーの大使が日本の府中刑務所に行きまして、ペルーの受刑者と一緒に話をしていたら、いやここの待遇はいいですね、ペルーだったら五つ星ホテル並みですよ、私はもう出たくない、ペルーに帰りたくないと言っていましたということをお話しになりましたけれども。これでも人道的処遇ができていないだのどうのこうのとか言っている人権団体があって、私はとんでもないことだと思っておりますけれども、これでは本当は犯罪に対する抑止効果というのはどうもないのではないか。これをまともに聞くと普通の日本国民は怒るだろうというふうに私は思うわけです。
 本当は私は、彼らは日本の国内でまともな社会人となる人たちではないのですから、刑務所で処遇をして教育をしてやるという必要ははっきり言ってない。本来であれば、彼らはちゃんと自国の、いわゆる本国に帰ってもらって本国でちゃんと受刑をしてもらうべきではないかと常々考えているんですが、これは条約というものが必要である。
 受刑者の移送条約というのをバイ、お互い両国同士交わしている国というのも結構あります。日本もそういうことを考えないといけないのではないかと前から思っているわけですけれども、これについては現在どのような段階に来ておりますでしょうか。お答えできればお答えしてください。
○政務次官
 (上田勇君)
 今、受刑者移送の条約についての法務省内での検討状況についての御質問でございましたけれども、佐々木委員も御指摘のとおり、我が国の行刑施設における外国人受刑者の数というのは非常にふえております。また一方で、外国の行刑施設におきましても、受刑している日本人の数、相当数に及んでいることから、こうした傾向というのは今後とも続くものではないかというふうに予想されているところであります。
 こうしたことを踏まえまして、諸外国からも受刑者移送制度の導入について打診を受けたことを契機といたしまして、現在、法務省としては、外国人受刑者及び外国で受刑中の日本人受刑者の改善、更生並びに社会復帰等の観点から、一定の要件を満たしている場合には、条約に基づいてこれらの受刑者をその母国に移送して刑の執行を行うために必要な国内手続を定めるための法律案について鋭意検討を行っているところでございます。
○佐々木知子君  次に、少年非行対策について移らせていただきたいと思います。
 十三年度の青少年対策関係予算を見ますと、警察庁関係で少年サポートセンターを中心とした補導活動、そして少年被害対策、それから少年を非行から守るパイロット地区活動の実施という項目が載っておりますけれども、少年の非行対策というのは、もちろん非行を犯した少年に対しての処遇というのも非常に問題でございますけれども、少年にその非行を犯させる前にストップするという予防も非常に大事でございますので、こういうようなことはどのようなことを意図されておられて、実際、今どのような活動をされておられ るのかについて、お答え願いたいと存じます。
○政府参考人
 (黒澤正和君)
 お答えいたします。
 最近の少年非行でございますが、御案内のとおり、社会を震撼させる特異、重大な事件が相次いで発生するなど、極めて憂慮すべき状況にあると認識をいたしております。また、御指摘の少年の犯罪被害につきましても、凶悪犯、性犯罪の被害件数が増加しておる状況にございまして、少年非行等の情勢は非行と被害の両面において依然として厳しい局面が続いているところでございます。
 このような少年非行問題につきましては、例えば飲酒でありますとか喫煙でありますとか深夜徘回、こういったことを初めとする非行の前兆となり得る問題行動の段階からの的確な対応が不可欠と考えておるところでございます。また、心身の発達段階にある少年が犯罪等の被害に遭った場合には大変大きな精神的ダメージを受ける場合が少なくありませんで、その後の非行でありますとか問題行動の原因となるケースもございますことから、被害少年対策は少年の健全育成を図る上で極めて重要なことだと認識をいたしております。
 このような観点から、警察におきましては、全国に設置してございますが、少年補導職員を初めとする少年問題に関する専門職員等により構成された少年サポートセンターがございまして、ここが中心となりまして学校や児童相談所、保健医療機関等の関係機関、団体等との連携強化によるネットワークの構築、そしてまた、非行の前兆段階での的確な対応に向けた街頭補導活動でありますとか、少年やその保護者等に対する継続的な指導の強化、そしてまた、被害少年が受けた精神的なダメージからの早期回復に向けまして、部外の専門家や民間ボランティアなどとの協力によりますカウンセリング等の継続的支援活動の強化、こういった取り組みを積極的に推進をいたしておるところでございます。
 また、特に少年非行が多発しておる地区につきましては、少年を非行から守るパイロット地区に指定をいたしまして、広報啓発活動、非行防止教室等の開催等の各種の非行防止活動を重点的に実施することなどによりまして、地域社会が一体となりまして総合的な非行の防止の対策を実施しているところでございます。
 今後とも、関係機関等との連携のもと、少年の非行の防止と保護の両面にわたる総合的な対策の推進に全力を注いでまいりたいと考えております。
○佐々木知子君  今出ましたように、最近本当に世間を震撼させるような少年による重大事犯が相次いでおります。ただ、そういう少年がどういう問題点を持っているのか、その少年の資質なりそれから家庭環境はどうだったのか、家庭環境に限らず、どういうことが要因になってそういう非行というか犯罪が起きたのかということについて、実は少年はかなりプライバシーにおいて守られていて、一般の人にもわからないし、また恐らくそれにかかわっている専門家の方たちですらお互いの知識というのはシェアできていないんじゃ
ないかというふうに私は考えているものなんですけれども。
 家庭裁判所が実際に調査官なり鑑別所の技官なりを使っていろいろなことを調べているわけですが、このような重大事件について一層的確に非行のメカニズムというのを私は理解する必要があるのではないか。具体的な事件を取り上げて、実証的な研究を行って、どういうふうな原因があったのかということ、つまり原因を調べなければ対策というのはあり得ないわけですから、それを分析して検討する必要があるのではないかというふうに考えておりますが、この点について裁判所の方で何かお考えというようなものはございますでしょうか。
○最高裁判所長官代理者
 (安倍嘉人君)
 御説明申し上げます。
 ただいま委員から御指摘がありましたとおり、最近、少年非行、中には重大で、しかもその非行の理解がなかなか難しい事件がふえているのが現状でございます。こういったところから、私どもといたしましては、今後こういった重大かつ困難な事案の非行メカニズムを的確に理解する、こういったために、過去に起きました具体的な事件を取り上げまして、これを実証的に検討して、非行の背景でございますとか原因についての分析を行いたいと考えている次第でございます。こういったところから、実は本年七月から研究チーム
を発足させまして研究に入っている段階にございます。
 概要を簡単にかいつまんで御紹介させていただきますと、対象事件といたしましては、過去三年ぐらいの間に起きました重大事件十五件、内訳は単独犯によるもの十件、共犯によるもの五件という内訳で研究対象にしたいと考えております。研究員といたしましては、家庭裁判所の裁判官、家裁調査官のみならず、部外の実務家、これは教育関係者でございますとか法務省の執行関係者でございますとか、さらには学識経験者の方に入っていただくということで、総勢十七名の研究メンバーを発足させた次第でございます。
 本年七月に全体会を持ちまして、そこで各研究員の非行に対する問題意識を議論いただいた上で、現在は家庭裁判所調査官がこの十五の事例について記録に基づいた問題点の整理、分析を行っている段階にございます。
 今後は、この取りまとめたものをもとに全体会を数回持ちまして、外部の専門家の方々の御意見等を十分踏まえながら、その各事例に共通する問題点について事例横断的な分析を行いたいと考えている次第でございます。
 なお、委員が御指摘ございましたように、非行に関する情報が共有できていない、こういった点につきましても今回考えたいと思っているわけでございますが、こういった研究の成果について、もとよりプライバシーの保護には十分配慮いたした上で、今申し上げたような事例横断的な問題、例えば少年の人格、資質上の問題点でございますとか、御指摘があったような家族環境上の問題点でございますとか、そういう問題点ごとに分析をした結果を取りまとめたいと思っておりまして、これは本来実務的な面で活用したいと思うわけでございますけれども、関係機関でございますとか、さらには社会にも還元することを考えていきたいと、このように考えている次第でございます。ただ、その具体的な方法については、プライバシー保護の関係もございますので、研究チームとよく相談をさせていただきたいと考えている次第でございます。以上でございます。
○佐々木知子君  ぜひそれがうまく機能することを心から願っておるものでございます。
 次に、警察刷新会議の提言についてに移らせていただきますが、実に幅広に警察刷新に関する緊急提言がございまして、警察も改革要綱を出されております。その中に増員ということが出されておりまして、確かに日本では警察官一人頭が持っている人口が非常に多いということも言われておりまして、本当に警察官というのは土日もない作業である、特に捜査にかかわっていればもちろんそうでございまして、大変な仕事だというふうに認識しております。
 三Kということが言われておりますが、本当にその代表になるのではないかと、こういうことを言っては失礼なのかもわかりませんけれども、大変な仕事である。だから、ぜひ待遇上とかそういうことも報われなければいけないというふうに思っておるわけですけれども、ただ、全般的に今はリストラの時代でございまして、国家公務員は全体的に削減をしようというような動きでございます。
 その中でひとり警察だけをふやすということになりますと、必要であれば当然ふやさないといけないわけですけれども、人員を適正に配置をしていただいて、ここの部署では余って遊んでいる人がいるんだけれども、こっちの部署はやたら忙しいと、そういうようなことは決してないような適正な配置というのを考えていただくということが人員を増員するということの私は前提になると思うんですけれども、それについてはどのようにお考えでございましょうか。
○政府参考人
 (石川重明君)
 現有体制のもとでさまざまな新しい警察事象に対応していくということで、従来から各都道府県警察におきましては、デスク部門をなるべくフラット化すると申しますか、デスク部門の人員を削減いたしましてそれを業務負担の多い第一線の現場に再配置をするといったような内部努力を続けてきたわけでございますが、さらに年々厳しさを増している状況がございまして、こうした情勢に的確に対処していくためには現行の体制ではどうしても限界があるということで、今回、平成十三年度の概算要求におきまして地方警察官の増員をお願いしているところでございます。
 委員御指摘のとおり、その前提といたしまして、警察の業務のあり方やその必要性にまで踏み込んださらなる合理化を推進する必要があるというふうに私ども考えておりまして、このことにつきましては、警察刷新会議から提出をされました緊急提言におきましても御指摘を受けているところでございまして、また厳しい財政状況のもとで、今お話しのように増員に対する国民の皆様の理解を得るためにも不可欠なことである、こういうふうに認識をいたしております。
 そうした観点から、警察庁から先般、各都道府県警察に対しまして、徹底した合理化による人員の配置、運用の抜本的見直しということにつきまして指示をしたところでございまして、現在、それぞれの県警察等で実情に応じた具体的な合理化方策について、人員の配置あるいは運用の見直しということを含めた見直しを行っているところでございます。
 警察庁といたしましても、なるべく早期にその結果を皆様の前にお示しできるように努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
○佐々木知子君  この中にもございましたけれども、交番というのは今世界的に通用するような言葉になって、割と世界に輸出されているようなシステムでございますけれども、交番に行っても警察官がいなかったりとかすることが多いわけですが、地域パトロールをされているんだろうと思うわけですけれども、交番というのはやっぱり人がいるということがまた大事なことだろうと思うんです。
 空き交番の問題とか地域パトロールを充実させることについて、そういうことについてはどのようなお考えでございましょうか。
○政府参考人
 (黒澤正和君)
 お答えいたします。
 交番はまさに地域住民の安心のよりどころだと考えておりますが、警察刷新会議におきましても、住民からの要望の強いパトロールの強化、空き交番の解消など交番の機能強化が提言されたところでございます。
 警察庁といたしましても、交番の活動は、犯罪の予防はもちろんのこと、検挙の面でも効果を有するものでありますとともに、地域住民の要望にこたえるものでございますので、先日取りまとめました警察改革要綱の中に空き交番の解消とパトロールの強化などを盛り込みまして、その実現に積極的に取り組んでいくことといたしているところであります。
 若干具体的に申し上げますと、各交番の昼夜の人口、事件事故の発生状況などを勘案いたしました配置人員の見直し、それから近接する二つ以上の交番等を組み合わせましたブロック単位の運用でありますとか、時差出勤の推進による通勤通学時間帯における勤務員の確保、こういった措置を講ずることによりまして、交番の警察官を各管内の特性に応じて効率的に配置、運用するよう努めますとともに、さらに交番相談員の配置でありますとかパトカーの積極的な活用によりまして、地域における実態に応じた諸対策を推進しているところでございます。
○佐々木知子君  これからハイテク犯罪とか、それから先ほど申しましたが、国際組織犯罪など新しい犯罪がふえてまいります。
 聞くところによりますと、銀行などで働いていた方を財務捜査官などとして専門分野から人材を積極登用しているというふうに聞いておりますけれども、それは非常に有益なことだろうと思っておりますが、そういうことも含めまして、新しい犯罪に対処する方策とか、そういうことについてお考えをお述べいただきたいと思います。
○政府参考人
 (石川重明君)
 新たな犯罪、あるいは最近多発しておりますハイテク犯罪とか、あるいは複雑な金融犯罪あるいは国際組織犯罪、また脅威でございますサイバーテロ、こういったような問題に的確に対応していくためには専門的な知識や技能というものがその捜査に必要でございます。
 こうした事件が発生をしたという場合には、いわゆる財務捜査官とかあるいはハイテク犯罪捜査官といったような捜査員が中心となって、財務分析をしたりコンピューターデータの解析を行うといったようなことで捜査を推進いたしまして事件解決に寄与すると。それが大変効果が大きいというふうに考えておりまして、ことしの四月一日現在でございますが、二十八都道府県警察におきまして百三十三名、内訳で申しますと、財務捜査官が四十四名、国際捜査官が四十六名、ハイテク犯罪捜査官が三十二名、科学捜査官が十一
名といったようなことで、それぞれの専門的な知識を、既に技能を持っておられる方を中途採用しておりまして、それぞれの現場で活躍をしているところでございます。
 この点につきましては、御指摘にもございましたように、私どもも優秀かつ多様な人材の確保と活用ということが今後ますます必要になってくるというふうに思っておりまして、今後ともこういう人材の確保について積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えておりますし、また第一線の警察官に対しましても、こうした知識、技術というものをいろいろな形で教育をする、あるいは部外の研修機関に派遣をしてそういう技能を習得させるといったような施策を推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○佐々木知子君  では次に、犯罪被害者の保護に移りたいと思いますけれども、幸い犯罪被害者保護のための二法というのがことしから公布されるようになりました。
 犯罪被害者というのは、お金の問題が一つ、それから心理的ケアの問題が一つ、それから刑事訴訟における地位の向上という面が一つということで、大きく分けて三つの柱があるかと思うのでございますけれども、警察庁なり法務省なりで結果を通知するとか、公判の期日を通知するとか、そういうような制度をとるようになったということも私はよく存じております。
 犯罪被害者保護のためにビデオリンクの措置だとか、それからこの前、横山ノック知事の事件では、被害者を遮へいするというような、証人として遮へいするというような措置がとられましたけれども、あれも犯罪被害者保護のための二法を受けているという形で非常に前進だというふうに考えておりますが、私がとても強調したいことは、犯罪被害者というのは非常に傷ついている。それが調べを受けることとかそういうような捜査の段階で二次的被害に遭うということを私は非常に憂えているものでございます。
 警察なり法務省、例えば実際に調べる検事たちに、そういうことに対しての思いやりというんですか、簡単に言えば思いやりになるわけですけれども、そういうような教育をされているのかどうか。裁判所についても同じようなことを私は申し上げたいと思います。
 最近よく言われているんですけれども、例えば妻を殺されたとかいうような方が法廷に遺影を持ち込んだ場合に、それはもう絶対に拒否というような形で拒否されると。だけれども、本当に私はその被害者の立場に立ってみればその気持ちはよくわかります。どうしてそれがいけないのかということもございますし、それから、私は、裁判官が、正直な話を申し上げますと、反省しているのか反省しているのかということを、本当に反省しているとはとても思えないのに向かって何度も何度も言うと。それで弁護士も何度も何度も聞いて、はいと言ったそれだけをつかまえて、一応反省していることを考慮しというようなことを判決文の中に盛り込んで、罪一等を減ずるというようなことをもう実際によくやっております。
 反省をするかどうかというのはもうしようがないことで、被告人が実際にやるかどうかの問題で、それを受け取れる立場にあるのは実際は被害者なり遺族だけであって、それを裁判官が受け取って、それをなおかつ、だから宥恕してやるというのは、私はもう裁判官の越権行為であるというふうに思っています。
 これについては、岡村勲さんという奥さんを殺された弁護士の方が、この前、文芸春秋の七月号に書かれておりまして、そのとおりだと私も思うんですけれども、それによって私は第二次被害を受けた、非常に傷ついたというようなことを書かれております。そういうことも含めて、裁判官というのは本当に権力者なんですから、そこのところの教育というのをきっちりやっていただかないともっと傷つく人が本当にふえると。それは司法に対する信頼感を損なうことですからぜひ考えていただかないと、と思うわけですけれども。
 ちょっと時間の関係で申しわけないんですが、まず裁判所にそこの点をお聞きしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者
 (金築誠志君)
 裁判官が国民の要請にこたえて適正な裁判を行ってまいりますためには、法律や理屈だけではなくて人間に対する深い洞察とか理解というものが必要でございます。お話にありました犯罪被害者や遺族の心情を十分に受けとめるということができるための感受性を磨くということが裁判官にとって大変重要なことであると思っております。
 こうした洞察力とか感受性といったものは、最後のところでは裁判官各個人が仕事の中で先輩、同僚の裁判官とか当事者との交流をしていく中で、あるいはまた日常の社会生活を通じて身につけていくものだというふうには思いますけれども、裁判所の側でもそういう自己研さんの一助とするためにいろいろと研修などの機会を設けております。
 先般成立いたしましたいわゆる犯罪被害者保護法に関しましては、裁判官の協議会とか司法研修を受ける裁判官の研修におきまして法の趣旨の徹底を図っているところでございます。また、犯罪被害者や遺族の心情の理解といった視点は、現在の社会において極めて重要な課題となっております関係上、裁判官の研修におきましては今後とも十分留意するように努めてまいりたいと思っております。
○佐々木知子君  ぜひそうしていただきたいと思います。
 時間のマネジメントが非常に下手で申しわけなかったんですけれども、次に司法制度改革、最後のところに行きたいと思います。
 現在、司法制度改革はさまざまな面で言われまして、一元制の導入ということも言われております。要するに、今申したことも少し絡んでくると思いますけれども、裁判官は非常に世間知らずな人が多いので、弁護士の中から優秀な者だけを裁判官に抜てきしようというのが一元制ということでございまして、英米ではとられている措置でございます。
 とは言われているんですが、現在、一九八八年がスタートだったと思うんですけれども、弁護士の中から裁判官に任官できる制度というのを実際に設けておるはずでございます。ところが、実際余りこれが機能しているというふうに聞いたことはないんです。
 私は、この夏に高木新二郎さんの、これは第一号の方ですけれども、「弁護士任官裁判官」という本を出されておるのを読みましたけれども、その実態というのもよくわかったつもりなんですけれども、これのちょっと実態について、少しで結構ですがお話しください。
○最高裁判所長官代理者
 (金築誠志君)
 御承知かもしれませんが、昭和六十三年に最初に弁護士任官に関しまして判事採用選考要領というものをつくりました。それに基づいてその高木元判事などが任官されたわけですが、この選考要領で八人任官されました。
 その後、平成三年に選考要領を改正しまして選考対象を広げました。少し任官しやすくするということで、弁護士としての経験年数等を少し短くいたしましたり、年齢を少し広げたりいたしました。任期や採用条件についても柔軟に対応することにいたしたわけでございますが、その新しい選考要領に基づきましてこれまでの間に判事三十三名、判事補七名の合計四十名任官している状況でございます。
○佐々木知子君  弁護士の数をふやせということもよく言われております。これは主に業界から、安い労働力を得るために弁護士を外から雇っているんでは高いのでということが私は基本にあるんだろうというふうに思っているわけですけれども、ただ弁護士をふやしたとして弁護士の過疎地域が減るだろうとは思っておりません。
 今、弁護士ゼロワンと言うんです。弁護士がゼロか一人しかいないというような自治体が多分二百五十のところで七十一かあったというふうに思うわけですけれども、そこのところがふえるかどうかというのはまた別途の問題だというふうに思っております。
 それから、弁護士をふやせば裁判の遅延というのはなくなるのかどうかというのもこれまた別途の問題だと思うんですけれども、私の理解では、裁判というのは平均的に見れば刑事も民事も日本は決して欧米諸国に比べて遅延しているわけではないと。ただ、一部非常に遅延する事件があって、それがかなり大きな事件であるがために、またマスコミで報道されるがために、非常に遅いんだというイメージが国民の中にできているというふうに思っているわけですけれども。
 多分、刑事と民事というのは現状が違う、対策も違うと思うんですが、実際、遅延している裁判というのはどのようなもので、何が原因で、何をどうすれば早くなるかというのを刑事と民事で分けて、ちょっと簡単にお答えください。
○最高裁判所長官代理者
 (千葉勝美君)
 民事事件についてお答えいたします。
 平均的な事件につきましては、今、委員御指摘のとおり、新しい民事訴訟法ができましてから審理期間が短くなっておりまして、九・二カ月という数字でございます。これは世界的にも遜色のない数字であろうと思っております。ただ、当事者が非常に多い事件、公害の事件とか、あるいは医療過誤や建築関係の事件、専門的な事件につきましては長期化している事件がございます。
 その原因でございますけれども、事犯自体が難しいということももちろんございますが、二つございます。一つは、主張と証拠を裁判所に提出する立場の当事者が必ずしも審理の進め方について計画的なものを持っていない、裁判所もそれが十分コントロールできていないということで審理が迷走するという点がございます。もう一つは、やはり専門的な事件について専門家の活用が十分できていない、この二点だろうと思います。
 したがいまして、我々といたしましては、審理の計画性を高める、いわゆる計画審理を実現する、それから専門家の活用を図る、そのための運用、さらに法改正を含めた制度的な対応も検討していきたいと考えているところでございます。
○最高裁判所長官代理者
 (白木勇君)
 刑事の関係につきましての訴訟の遅延状況というのは、まさに委員御指摘になったとおりでございます。
 どういう事件かと申しますと、一般的に大型事件になりやすい殺人の事件でありますとか、あるいは一種専門的な事件でございます税法違反の事件というのが長期化しやすうございます。
 その原因でございますが、こういった事件は訴因の数が多いということもございますが、十分な準備が行われなくて、結局のところ集中審議が行われていないということが最大の原因であろうかと思います。
 そういった事態を解消するためには、何といっても当事者、殊に弁護人の理解と協力が不可欠であると考えておりますが、その他いろいろ法整備等も必要になってくるのではないかと考えております。
○佐々木知子君  時間が過ぎましたので、お答えできなかった方々には申しわけなかったんですけれども、今専門家というのを言われましたけれども、そういう意味での参審制の導入などは私は賛成でございますので、司法制度も十分改革されることを願いまして、私の質問を終わらせていただきます。

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