154 予算委員会 2002/3/8    [  BACK  ]
○佐々木知子君  おはようございます。自民党の佐々木知子でございます。
 まず、治安状況についてお伺いしたいと思います。
 昨今、治安が悪化しているとの懸念を一般国民が多大に抱いておりますけれども、実際に犯罪は増えているのでしょうか。まず、一般刑法犯の数値でお伺いしたいと思います。
○国務大臣
 (村井仁君)
 いわゆる体感治安というようなことも言われますけれども、現実に、いわゆる刑法犯認知件数、警察が知った刑法犯の件数、交通事犯を除いておりますけれども、この数字で見ましても、昭和四十八年百十九万件というのがこれは過去一番低い数字でございましたが、そのころからだんだん上がりまして、昭和五十七年に百五十万件を超え、そして何と平成十年には二百万件を超えたのでございますが、それからはウナギ登りと申しましょうか、平成十二年に二百四十四万件、そしてとうとう昨年は二百七十三万六千件という過去最高の数字をまたも三年続きで更新している。非常に深刻な事態だと思っている次第でございます。
○佐々木知子君  一般刑法犯といっても、詐欺だとかいろいろございます。治安の悪化が実に実感されるという犯罪といたしましては、殺人や強盗、それから侵入盗、ピッキングというのがよく話題になりましたけれども、あるいはひったくりというような犯罪になろうかと思いますが、この種の犯罪に関しましての犯罪の増加傾向についてお答え願いたいと思います。
○国務大臣(村井仁君)  全くおっしゃるとおりでございまして、先ほども二百七十三万六千件という数字を申しましたけれども、これは例えば自転車を盗んだとかいうようなものも含まれます。殺人も一件として含まれます。
 そういう意味で、今御指摘のように、主要な罪種と申しましょうか、そういうものについて申しますと、殺人でございますが、これは十数年、大体千三百件程度で前後しておりまして、余り大きな変化が認められない。
 強盗でございますが、これは平成十三年中の認知件数六千四百件でございまして、これは五年前と比べまして二・三倍ということでございまして、明らかに悪化しているという典型的なケースだと思います。
 それから、いわゆる侵入盗と申しまして、こそ泥も含めるわけでございますが、これの認知件数が十三年中三十万三千七百件。平成九年に比べまして三七%の増、五年前に比べまして三七%の増ということでございます。
 それから、今ピッキングという例を委員御指摘になりましたが、いわゆる錠をひそかに解錠するピッキングという特殊な技法でございますが、これでやります侵入盗でございますが、これは統計が比較的最近のものしか分かりません。ただ、平成十二年に非常に顕著になってまいりまして、約三万件全国で確認されております。ただ、警視庁等を中心にしまして、例えば錠を替えていただくとかいろいろ対応しました結果、これ、また平成十三年には激減しまして二万件に一応落ちておりますが、非常に大きな問題は、これが地方へ拡散している点でございます。今まで東京とか神奈川とかそこに集中しておりましたのが地方へ拡散している、非常に問題だと思っております。
 それからもう一つ、ひったくりでございますけれども、これは正に公共空間において全く普通に行動しておられる方の財物を奪うという非常に物騒なものでございます。あわせまして、例えば、この結果けがが起こるというようなことも間々あるわけでございますが、これが平成十三年中五万八百件。何と五年前に比べますと二倍になっておるということでございまして、いわゆる公共空間における治安の悪化ということに私ども非常な懸念を持っておるものでございます。
○佐々木知子君  ひったくりはフランスではたしか強盗というふうに分類されていると承知しております。こうした犯罪が増加している原因、一言で言うのは非常に難しいと思いますけれども、幾つか考えられることとしてお挙げいただきたいと思います。
○国務大臣
 (村井仁君)
 この辺は大変難しい問題でございまして、経済環境でございますとか社会環境の変化というようなこともあろうかと存じます。それから、何と申しましても、根幹にございますのは、ある種の社会規範の欠如というようなものがあろうかと思います。
 この辺、いささか独断になろうかと存じますが、家庭にしつけがなくなり、それから学校教育に道徳教育のようなものが非常に希薄になり、そして社会によその国にございますような宗教的倫理規範でございますとかそういうものがない、比較的乏しい日本において非常にこういう状態が急激に進んでいるということがございますが、もう一つやはり申し上げなきゃなりませんのは、これは検挙事例を見ていて感じることでございますが、いわゆる定住外国人でない来日外国人による事犯という、逮捕事案というのが非常に急激に増えている。この点も日本の国際化ということの影の側面であろうかというような問題意識も持っておる次第でございます。
○佐々木知子君  先ほど、来日外国人というふうに言われましたけれども、私が先ほど述べた殺人、強盗、侵入盗に、これは三つに今度は限らせていただきますけれども、来日外国人がどれぐらいの割合を占めているか。もし、占めているとして、国籍、もし挙げれるといたしましたらちょっとお述べいただきたいと思います。
○国務大臣
 (村井仁君)
 まず、お答え申し上げます前に、誤解を避けるためにできるだけ正確に申し上げたいと存じますけれども、私は、来日外国人という、この来日外国人という定義でございますが、これは日本に永住権を有する外国人、それから在日米軍関係者、 それからどういう資格で在日している、在留しているかが不明な者を除きまして来日外国人と、このように定義をいたしまして、その上で、統計を取っておる警察庁の統計上の概念であるということをまず申し上げたいと存じます。
 それから、これから申し上げます数字でございますが、いずれも検挙された人間につきましての数字でございますから、これはある意味では氷山の一角とも言えますし、しかしまた、一斑をもって全豹を推すというような言い方もございますので、その辺り十分注意しなければならない点でございますけれども、それからまた、その来日外国人につきましては、国によりまして在留していらっしゃる在留集団の規模というのがそれぞれの国によって当然違うわけでございますから、この検挙した数をもって直ちにそれがどうだというようなことを言うのはいささかまた危険があるということも付け加えて申し上げました上で、どの程度このような統計が有意かということは問題があるということを申し上げました上で委員御指摘の点申し上げさせていただきます。
 殺人につきまして、これは平成十三年中でございますが、五十九件、五十九人ございまして、一位から申しますと、中国人十七、ブラジル九、韓国八、こんな数字になっております。強盗でございますが、総数で来日外国人によるものは三百九、中国が百三十二、ブラジルが九十、それから韓国が二十一、こんな数字になっております。それから、侵入盗でございますが、総数で六百八十八人でございますが、多い順に、中国人五百六、それからブラジル人が四十二、コロンビア人三十、そんなような数字になっておるわけでございます。
○佐々木知子君  ありがとうございました。
 来日外国人犯罪は最近ちょっと特徴があるというふうなことも言われておりますけれども、実際の事件を一つなり二つお挙げいただきながら、ちょっと特徴についてお述べいただきたいと思います。
○国務大臣
 (村井仁君)
 いろいろ、どのケースを取り上げるかということでございますが、一つ特徴でございますけれども、来日外国人の検挙件数というのが十年前に比べまして、強盗につきまして約三倍になっているというようなことを見ますと、凶悪化ということが一つ言えるんだろうと思います。
 それからもう一つ、日本の暴力団と手を組んでやっておるという意味での組織化と、あるいは来日外国人自身が共犯をしているという、そういう意味での組織化、これも一つの特徴だろうと思っております。
 それからもう一点は、非常に憂慮すべき点でございますけれども、大都市圏以外への全国への拡散化というような問題がございます。
そういうケースで、例えば山形県の鶴岡でございましたが、本当に静かなところでございますけれども、主婦それからお嬢さんがいるところへ外国人が日本人の暴力団員に手引きされて入りまして、それで母親を惨殺し、そして娘さんに傷を負わせたというような事件が、去年のこれは四月に起きて、六月に一応事案としては解決しておりますけれども、元は物取りでございます。骨とう品をねらったと、こんなふうに分析されておりますけれども、そういうような意味では、こういう非常に、またさっきもちょっと申し上げましたように、ピッキングなんかも東京は確かにかなり抑圧したんでございますけれども、地方へかなり拡散している。
 こんなようなところがいわゆる来日外国人による犯罪の一つの特徴であろうかという感じがいたしております。
 ただ、もう一点、もう一つ申し上げておきたいことは、私どもこの来日外国人に対する犯罪に対しまして、特にきちんと対応しなければならないというのは、日本が国際化するに伴いまして当然のことでございますが、多くの外国人が日本でいわゆる適切な、まともな活動をしておられる、その方々の名誉のためにも私どもはこういう違法な行動を取る外国人に対しましてきちんとした対応をしなければならない。そのためには国際的な協力もしっかりやっていかなきゃいけないと考えております。
○佐々木知子君  次に、検挙率のことについてお聞きしたいんですけれども、これ非常に低下しているというふうに言われております。
一般刑法犯で今どの程度になっているか、お答え願えますか。
○国務大臣
 (村井仁君)
 検挙率について、確かに非常に残念な数字でございまして、平成十三年の数字は一九・八%という過去最低の数字を記録しているのが事実でございます。
○佐々木知子君  かつて検挙率は六〇%を超えていたわけですけれども、今や何か二〇%を切っている、五件に一件しか検挙されないということで、大方は窃盗が多いので、窃盗事犯は余罪がたくさんありますので恐らく検挙されにくいということもあるのでしょうが、これを凶悪事犯、殺人、強盗、それから侵入盗に限って検挙率はどの程度推移しているか、お聞きいたします。
○国務大臣
 (村井仁君)
 事実でございますので、まず五年くらいのスパンでざっと申し上げたいと存じますが、殺人の検挙率は、これは大体一貫して九〇%台を維持しておりまして、そのときによって高低ございますが、平成十三年九四・一%ということでございます。それから強盗でございますけれども、これは平成九年に七九・五%でございましたものが、平成十三年には四八・七%に低下しているということでございます。侵入盗につきましては、平成九年に七四・九%でございましたものが、平成十三年には二九・五%、こういったところまで落ちているということでございまして、確かに今、委員御指摘のように、常習性が高い侵入盗犯等につきまして、これはもう本当に国民が真に解決を求めているということで、私ども重点的に対応をしていることでございますけれども、なかなか犯罪の増加に検挙が追い付かないというのが実態でございます。
○佐々木知子君  検挙率が低下している原因ですか、犯罪が増えている、取り締まる方の警察官は足りないということになれば検挙率というのは当然落ちてくるというふうにも言われるかもしれませんけれども、ちょっとそこはそういうふうには済まされないわけで、その要因についてはどのようにお考えか、お伺いいたします。
○国務大臣
 (村井仁君)
 検挙率の低下は、私どももこれは非常に憂慮している問題でございますけれども、一つは従来の聞き込み捜査などの手法を活用した捜査が大変困難化しているというのが一つの原因であろうかという感じはいたしておりますが、先ほどもちょ
っと申し上げましたように、何といいましても犯罪の増加に検挙が追い付かない、こういうところに一番大きな原因があろうかと存じます。
 例えば、強盗でその具体的な例をとらえて申し上げますと、検挙件数、検挙人員ともに増加傾向にはございます。しかしながら、認知件数がともかく増えておるということでございまして、結果的には検挙率が率で見ますと低下する、こういうことになる。窃盗犯に典型的なことでございますけれども、今、委員正に余罪ということをおっしゃいましたが、その検挙した被疑者を取り調べる、それに非常に時間が掛かる、その結果余罪の解明が大変困難になる。
 これは、委員のお書きになりました大変立派な御本で、「日本の司法文化」という本に「超精密司法の国」という形で日本の状態をとらえられまして、例えばイギリスを例にとらえてラフジャスティスとの対比を非常に顕著にお書きになっていらっしゃいますけれども、そういう超精密の司法プロセスにきちんと対応しますだけのきちんとした調べを行う、これはやっぱり余罪捜査といってもなかなか大変でございまして、結局一件捕まえたら他に余罪十分あり得るんでしょうけれども、調べずに終わってしまう。そういったところが検挙率を結果的には非常に下げるということになっているのではないかという懸念を私持っております。
 それからもう一つ、これはもう社会の大きな変化でございますけれども、いわゆる大量生産、大量消費、大量販売、こういう時代になりまして、いわゆる遺留品から手掛かりがなかなかつかめないというような問題も、もう一つこれ大きな捜査を困難化している要因の一つであろうかと、こんなふうに思っております。
○佐々木知子君  陣容もある程度不足しているだろう、それから人をたくさん得ても、その組織が動かなければ、どこかの省庁の例ではございませんけれども、なかなかうまくはいかないということになります。警察不祥事なども随分相次いでおりまして、全体に士気、モラル、プライドが低下しているということも間々聞かれます。その組織をどのように動かしていくかということは抜本的にやはり考えていかなければならないということだというふうに思っております。
 一つには、これは給与体系を是正するためにということで、中間管理職であるはずの警部補が増え過ぎまして、今警察はピラミッド組織ではなく釣鐘組織になっているということも指摘されております。やはりピラミッド型組織でなければ組織というのはうまく動かないであろうと私は思います。
 それから、全体的に職人でなければならない刑事のプロが減っているのではないかということもこれは随分言われております。全体的にサラリーマン化しているということは何も警察一つだけの問題ではなく、どこの社会でもそういう傾向があろうかと思います。これは社会の風潮であり、教育の問題であろうかと思いますが、事警察に関しましては、刑事はやはりプロでなければ、足で稼がなければ絶対に捕まらないわけです。こういうプロを鍛えていくということ、これは決して怠りなきようによろしくお願いしたいと思います。
 それから若手、これは全般的に言えることですけれども、教育のゆがみのせいか、非常にマニュアル世代になっております。マニュアルがなければ分からない、聞き込みもマニュアルどおりじゃなければ聞けないと。そういうようなことでは、やはりこれは取調べはもちろんですけれども、周りのところに聞き込みに行って、分かりません、知りません、ああそうですかで帰ってきたのではこれではもう全く駄目だということで、若手をもう本当に教育していかなければ、日本は治安という面でつぶれてしまうというふうに私は考えております。是非、警察は頑張っていただきたいと思います。
 これにつきまして、総理のコメントをお願いできますでしょうか。
○内閣総理大臣
 (小泉純一郎君)
 世界一安全な国にしようという、この安全神話が崩れている、それを復活させようということで今取り組んでいるわけであります。
 今言った御指摘も踏まえまして、反省すべき点、またこれからの新しい時代に対応していく機構、あるいはいろいろな足らざる、整備拡充しまして、日本というのはやっぱり世界一安全だなという神話を復活させるべく努力をしていきたいと思います。
○佐々木知子君  次に、水際対策についてお伺いしたいんですけれども、日本の治安を守るためには、犯罪集団というのは日本には入国させない、もちろん薬物などは水際で押さえる、それから不法就労目的で入ってくる者はやはり水際で入れない、そういう対策が肝要だと思われるわけです。
 それで、不法残留外国人、これはオーバーステイイングと言われておりますが、今どれぐらいいますか、お答え願います。
○政府参考人
 (中尾巧君)
 お答え申し上げます。
 平成十四年一月一日、最新の速報値でお答え申し上げたいわけでありますが、委員御質問の正規に入国をいたしまして在留期間を経過して不法に残留するいわゆるオーバーステイ者の外国人の数でありますが、平成十四年一月一日現在、約二十二万四千人ということでございます。
○佐々木知子君  丸々一つの市ぐらいの不法残留者がいるということでございますが、ちなみに在留資格別とか国籍とか、ちょっと簡単にお答えください。
○政府参考人
 (中尾巧君)
 平成十四年一月一日現在の約二十二万四千人の関係でございますが、韓国が約五万五千人、フィリピンが約三万人、中国が約二万八千人でございます。
 この在留資格の関係で国籍に合わせて申し上げれば、韓国の五万五千のうちの九〇%が元の在留が短期滞在ということでございます。フィリピンの約三万人につきましては、四八%が短期滞在で、三四%が興行でございます。中国につきましては、就学、留学、研修、この三つで約四五%を占めております。
○佐々木知子君  オーバーステイはまだ入管を通ってきているから数として把握できますけれども、密入国の場合はそうはいきませんが、大体の概数としては幾らぐらいでしょうか、お答え願えますか。
○政府参考人
 (中尾巧君)
 概数でございます。約三万人と私どもは推計しておりますけれども、他の機関、その他では五万、六万とか、あるいは十万ということを指摘するところもございますが、私どもの検挙実績等から勘案いたしまして、約三万人ぐらいの密航者がおるというふうに考えておるところでございます。
○佐々木知子君  集団密航事件はどれぐらい摘発されておりますか。これは警察とそれから海上保安庁と、海と陸とで管轄が違うのでちょっとややこしいんですけれども、お答え願えますか。
○国務大臣
 (扇千景君)
 これも海上保安庁と警察、両方でございますので、数だけ簡単に申し上げさせていただきたいと思います。
 平成十三年の近々のトータルでは、合計で四百十五名でございます。
○国務大臣
 (村井仁君)
 過去五年間における集団密航件数でございますけれども、失礼、集団密航事件、警察及び海上保安庁が平成九年に七十三件、千三百六十人を検挙した事例がございますが、それ以来、だんだん減少する傾向にございましたけれども、十三年には増加に転じまして、二十二件、三百十六人増の四十三件、四百十九人を検挙したわけでございまして、その九割弱が中国人であるということを承知しております。
○佐々木知子君  中国人といいますと、恐らく蛇頭というのが絡んでいるというふうに思うんですけれども、蛇頭の仕組みというのをちょっと簡単にお答え願えますか。
○国務大臣
 (村井仁君)
 私ども承知しております限りでは、中国からの集団密航事件につきまして、その密航者の勧誘でございますとか、あるいは引率、搬送、日本における密航者の受入れ、隠匿、それから仕事のあっせん、こういったことまで取り仕切る密航請負組織のことをいうと。いわゆる蛇の頭と、こういうふうに書くわけでございますけれども、国境を越えて暗躍する。
 しかも、日本の暴力団と連携して行動しているというように承知しておりまして、英語でスネークヘッドと呼ばれておりますのもこれの訳であると、このように承知しております。ある種の特定の集団を指すというよりも、一種の普通名詞として使われているように承知をしております。
○佐々木知子君  どうやら中国の人はその蛇頭なりそういう、ブローカーというのですか、一人頭二百万なり三百万のお金を出して日本に密入国してくると。そういうお金というのは、もちろんそれは大金ですからあるはずがないので、借金をしたりとか、自分たちの親族が借金のカタになっているということ。だから、日本では必ずそれだけの金は稼いで帰らなければ自分たちの親族の命も危ないという、こういうような仕組みになっているということで、ここに日本の暴力団が絡んでいる、今組織的な問題になっているということを指摘しておきたいと思います。
 扇大臣、その集団密航事件に絡むかどうか分かりませんが、不審船事件がございましたので、その対応につきまして、もし、一言お願いいたします。
○国務大臣
 (扇千景君)
 絡んでと言われると困るんですけれども、これは全く絡んでおりませんで、少なくとも私どもは、海上保安庁、命を懸けて日本を守るという、海の警察官としての任務を全うしております、現段階で。
 そして、この不審船に関しましては、二月の二十五日から三月の一日までということで初めてこれは捜査をいたしまして、一番最初ソナーを入れまして、今はカメラも入れました。そして、一日の早くでございますけれども、これは帰ってまいりまして、今かなりの映像を保有しております。そして、第二段階、第三段階と順次人事を、人を今度入れてという手順で、私どもは、これをでき得るならば引き揚げて、そしてお互いに明快にしていきたいというふうに思っております。
 今、絡んでというお話なので、絡んでということではないと思いますけれども、一つだけ、私は、今、事前に密航の話等々なさいましたので、私は、大変いい事例が昨年ございましたので、中国と日本とこんなにうまくいったということを言って、この件に関しても私は両々相まってお互いに助け合いたいと思っています。
 それは、昨年ですけれども、十三年の十月の十一日、これは中国から、公安部から一報をいただきまして、海上保安庁に入電が入りました。そして、密輸船があるいは人を乗せて、密航者を乗せた船が行っているらしい、要注意という通知をいただきました。そして、海上保安庁でこれを受けまして、警察も入れて合同で捜査いたしまして、十三年の十月の十三日に船を見つけまして、中国のおっしゃったとおり、九十一名の中国人の密航者、そして、今蛇頭の話がありましたけれども、この蛇頭らしき請負組織の十六名、計百七名を共同で摘発したという事例がございます。
 こういう意味で、私は、中国と日本が協力してそういうものを検挙していくという事例ができましたので、私は、不審船も中国とお互いに逆の立場で、中国のものがこっちへ来たときには日本もこれを助けることができると、そういう関係を保っていきたいと思っております。
○佐々木知子君  これは外務省にお聞きしたいんですけれども、こういう不法な入国を日本にさせないようにということを中国側に申入れをしているのでしょうか。
○国務大臣
 (川口順子君)
 お答えは、しております。日中の治安当局間協議、日中の領事当局間協議というような場がございまして、そこで中国側に対しまして取締り、それから警防活動の強化を要請をしているわけでございます。中国側はこれに対しまして、密航の断固取締りなどの方針を表明して、かつ種々の対策を講じて既にきているというふうに承知をしています。
 例えば、昨年の三月くらいからコンテナによる密航事件がかなり増加をいたしましたが、これに対しまして中国政府に申入れをいたしましたところ、中国側は、大連から日本向けのコンテナに密航防止用のシールを張ってということなどを行いまして密航防止策を講じているということでございます。
○佐々木知子君  中国に絡んではちょっと後に外務省にまたお聞きしたいと思いますけれども、偽変造パスポートのチェックシステムが完備されればこれで水際対策は十分ではないかと思うんですが、どうやらイタチごっこのようで、なかなか追い付かないというふうにも聞いております。
 また、入国管理局の陣容というのは、不法残留者などが非常に増えたのにもかかわらず、ほとんど増えていないというふうにも聞いております。
 この点について入国管理局はどのようにお考えか、御所見をお伺いいたします。
○政府参考人
 (中尾巧君)
 委員御指摘のとおり、水際対策、特に偽変造パスポートのチェックというのは極めて重要な課題でございますし、水際対策の重要な対策の一つだろうと考えておるところでございます。
 私どもといたしましても、本年度につきまして、関係各省庁の御理解をいただきまして、成田空港を始めといたします全国の主要な空海港等に最新鋭の偽変造文書鑑識機器四十四台を配備させていただいたところでございますし、この関係で偽変造文書鑑識要員を二十八名増強することができております。
 そういったことも含めまして、平成十三年度におきましては、上陸審査手続等において発見された偽変造旅券の発見件数は前年の九百五十五件から千四百四十五件と、前年比約五一%と大幅な伸びをしているところでございます。
 今後とも、体制の充実を含めまして、偽変造文書対策に最善を尽くしたいというふうに考えておるところでございます。
○佐々木知子君  これ、一般の人たちと話しておりますと、例えば、新宿の歌舞伎町などに行きますと中国語や韓国語が飛び交っていて、今、何か日本人が普通に歩いていても怖いような感じがする、ここは日本ではないような感じがする、どうして警察当局や入国管理局はこういう人たちを事前に取り締まらないのか。例えばパスポートを持っていないことももちろんあります。偽変造の場合もあります。
あるいは在留資格がもう過ぎている、短期滞在ですからもうオーバーステイイングをしているということもたくさんあります。
 そういうのを事前にチェックして強制送還をさせれば、それである程度、もしかしたら犯罪につながることも防げるのではないかというふうに言われており、私は法治国家としてはそうすべきであるというふうに考えておりますが、なかなかこれが手が足らないだのなんだのということで実行されないようでございますけれども、私は、その裏には実際は産業界にこうした外国人の需要があるのではないかというふうに考えております。
 殊に三K職場、きつい、汚い、危険と言われる職場では、賃金もさることながら、日本人がなかなか働こうとしない。ですから、こういう外国人を雇わなければやっていけない。不法就労助長罪なるものができておりますけれども、余り適用されたというふうには聞かない。であるからして、見付からなければ問題はないということで使っている産業界というものの実態があると。
 そういうことを私は厚生労働省にお伺いをしようと思いましたが、厚生労働省の方ではこれは把握できないということで、これは法務省の入国管理局の方の把握だということでございますけれども、不法就労者の実態というのはどのように把握されておりますでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人
 (中尾巧君)
 お答え申し上げます。
 私どもの場合の把握は、あくまでも退去強制手続を実際に取った入管法違反外国人の調査の過程で供述等から得られたところからその実態を把握せざるを得ない状況になっておるわけでございます。
 平成十二年度中に入管法違反外国人について退去強制を取った数が約五万一千人ございます。このうちの約八五%に当たります約四万四千人が不法就労をしておったとのことを把握しております。
 職種別に見ますと、工員、ホステス等の接客業、それから建設作業員が多いわけでありまして、この三種で不法就労者全体の約六割を占めているのが実情でございます。
 稼働場所につきましては、その約三割が東京都内で稼働しております。その一方で、全国四十七都道府県に及びまして、最近は極めて地方拡散化傾向が継続しているのが顕著な特徴だろうと思います。
 さらには、就労期間につきまして、これは最近は不況の関係もあろうかと思いますが、五年を超えて就労している者が約三割も占めておりまして、これが非常に問題だろうというふうに私どもは考えておりまして、こういった長期化、定着化傾向が進んでいるように思われます。以上でございます。
○佐々木知子君  十年ほど前、日本語学校、これは実体のない日本語学校、就学ビザを出すためだけに中国人を受け入れて、実際は不法就労させているという学校が非常に問題になったことがあります。その後、取締りがありましてかなり少なくなったというふうには聞いております。
 留学生の受入れ十万人目標ですか、文部科学省がやっていることは本当に学びたい人を受け入れるということであればそれは誠に結構なのですが、これが不法就労の隠れみのになっているようなことでは私は決して許されないことだというふうに思います。
 最近では山形県の酒田短期大学というところが非常に問題になりましたけれども、これについて文部科学省、どのように把握しておられるのか、お答え願えますか。
○国務大臣
 (遠山敦子君)
 酒田短大の一連の問題は、昨年十月に酒田短大が二百六十五名の中国人留学生を入学させようと入国申請を行いましたところ、入国管理局が、定員を上回る留学生がおり適切な授業を受けられない可能性があるといたしまして、在留資格認定証明書を交付しなかったことから発覚したところでございます。
 その後明らかになりました主な問題点を申し上げますと、一つは、定員を大幅に超過して留学生を受け入れたこと。二番目には、留学生がアルバイトのために授業を受けずに首都圏に流出していたこと。第三には、東京のサテライトスタジオでのビデオ放映をあたかも授業であるかのように取り扱っていたこと。また、留学生の奨学金等が渡されておらず、奨学金等にかかわる経理処理が不適切であったこと。そして、入学者選考におきまして、教授会の関与がほとんどないまま事務局長等が選考を行ってきたことなどが挙げられます。
 これらの問題の根幹には、留学生に依存した学校、大学運営と、留学生の学籍管理や生活面の支援体制が十分でなかったことが挙げられると考えております。
○佐々木知子君  これは昨年の五月の一日現在ですけれども、入学定員が百人のところを入学者数が二百五十一人、収容定員が二百人で現員が三百九十七名ということで、その三百九十七人中三百八十四人が私費留学生で、うち一人を除いて全員中国人留学生という、こういう実態なんですね。平成十二年度四月入学者の後に十月入学者も入れまして、これ、志願者数が百四十六名、全員中国人、十三年度は四月入学者二百四十八人のうち四名を除いて全員中国人、十三年度にまた十月入学を入れようといたしましたところが、ここで入管でストップが掛かったというような事態なんですね。これ、入管でストップ掛かるまではそのままだったということなんで、これ、奨学金も使い込みを学校にされているわけですよね。
 こういうような事態がここの時点に至るまで文部科学省の方は把握できないということはいかがなものかというふうに思うわけですが、これは監督庁といたしましてこういうことでよろしいんでしょうか。
○国務大臣
 (遠山敦子君)
 文部科学省といたしましては、毎年五月にそれぞれの大学における留学生の問題について、留学生の概数等につきまして調査をいたしております。
 今御指摘のように、昨年の四月に急に多くなったということが後で分かったわけでございますが、私どもといたしましては、私学の問題でもございますけれども、今後はこういう問題の重要性にかんがみてもっとしっかりと実態把握をしたいと思いますが、本件につきましては、昨年十一月から五回にわたりまして酒田短大の学長あるいは事務局長から説明を聴取していますほか、本年二月には課長を筆頭といたしまして現地調査を実施いたしまして、一連の問題の経緯あるいは短大の経営状況など事実の把握に努めてきております。
○佐々木知子君  関係者の処分なども私は必要かというふうに思いますけれども、これは多分極端な例だというふうに言われるかもわかりませんが、ここまでではないにしても、恐らく似たような大学なり各種学校が日本全国にあろうかというふうに思います。こういう実態調査をやるということが文部科学省の私は責務であろうと思います。入管に何もかもおんぶにだっこでは、これは日本の治安というのは保てないと思います。
 私が憂えていることは、この日本という平和な国家、平和な国家が他国の食い物にされるようなことがあっては決してならないということで、それを食い止めることが私は政治の責務であるというふうに考えております。
 次に、外国人受刑者の問題についてちょっとお伺いしたいんですけれども、外国人受刑者は恐らく増えているというふうに考えておりますが、その数と国籍について簡単に、法務省、お答え願います。
○政府参考人
 (鶴田六郎君)
 お答えいたします。
 来日外国人受刑者というのは、永住者及び特別永住者の在留資格を有する者、それから米軍関係者、それから在留資格が不明の者、そういった者を除いた外国人受刑者を指すわけでございますが、昨年末の速報値で申し上げますと、その人数は二千四百六十二人でございます。
 国籍は六十二か国で、多い順で申し上げますと、中国人受刑者千六十五人、イラン人受刑者が三百二十五人、ブラジル人受刑者が百九十四人となっております。
○佐々木知子君  約半分近くが中国人だということで実態をお聞きしておきます。
 私は、実は受刑というのは、そこの国において刑務所に収容して矯正をして、そしてそこの国の市民として改善更生させるべきものであって、本来はその国でやるのが妥当であろうというふうに考えております。日本で刑務所で幾ら丁寧に収容処遇しても、その後に本国に帰すべき人ですから、これは端的な話、税金の無駄遣いではないかというようなことを指摘されれば、それもそのとおりかなというふうにも思わないこともないという側面があることを申し上げたいと思うわけですけれども、今回、日本が受刑者移送条約を批准することになりました。まず、その内容について外務省にお答えいただき、その効果について法務省にお答えいただきたいと思います。ちょっと省庁が縦割りされておりますので、このようにお答え願います。
○国務大臣
 (川口順子君)
 この条約は、来週の火曜日に国会に提出をさせていただいて審議をお願いすることになると思いますが、欧州評議会で作られました多数国間条約でございます。
 内容といたしましては、締約国間にいる外国人の受刑者を一定の要件の下で母国に移送をする手続について定めたものでございます。正に委員が今問題意識としておっしゃいましたように、この目的は、外国で刑に服する受刑者を母国に移送して服役させることによりましてその受刑者の改善更生と円滑な社会復帰を促進することを目的といたしておりまして、受刑者の母国へ移送する場合の一般原則、移送を行うための条件、方法、移送によって生じる効果などについて定めているものでございます。
○国務大臣
 (森山眞弓君)
 今、先生も御指摘なさいましたように、また外務大臣からもお話がございましたように、この受刑者移送条約の締結によりまして、我が国の行刑施設に収容されている外国人受刑者を母国に移送いたしまして刑の執行の共助を嘱託することによりまして、その改善更生及び円滑な社会復帰を促進するという刑事政策的な効果があると考えております。
 これは外国の行刑施設に入っております日本人に対しても当てはまるものでございますが、このほか、受刑者移送によって刑事法分野における国際協力の推進にもつながると考えておりまして、この条約の締結は極めて有意義であるというふうに思っております。
○佐々木知子君  ただ、この条約を締結いたしましても、先ほどお述べになりました中国やイランやブラジルには適用がございませんので、日本で服役しているその外国人たちにつきましてはやはり日本でそのまま収容、矯正するということになります。
 日本がアジアでこの条約の最初の締約国になるということでございますけれども、中国その他のアジア諸国では受刑者移送というのをどのように考えているのか、法務省、お答え願えますか。
○政府参考人
 (鶴田六郎君)
 お答えいたします。
 私どもの矯正行政に携わるアジア太平洋諸国の実務者の責任者が集まるアジア太平洋矯正局長会議というものが毎年一回開かれております。そこではこれまで国際受刑者移送の問題とかその問題を視野に入れた相互の協力というようなことが話題になっておるわけでして、昨年タイで開かれた会議でもその点が話題になりました。
 そこでの印象というか、そういうことでお答えさせていただきますが、受刑者移送につきましては、アジア太平洋諸国につきましても多くの国がその制度の意義については認めておりまして、今後検討していくべき課題であるという姿勢を示しております。
○佐々木知子君  憂うべくは日本の刑務所処遇が非常に内容がいいということでして、前、中国の裁判官を府中刑務所に案内しましたところ、こんなにいいところだったら私だって入りたいというふうに言われました。月々大体平均して作業賞与金四千円も得られますし、一年だと五万円にもなります。それを四年もしたら二十万円になります。多額のお金を持って帰れることになりますので、捕まっても全然構わないというようなことをよく中国人の犯罪者からも聞かされました。これは大きな問題だというふうに思っております。
 そこで、外務省、中国へのODAの実施額は大体幾らですか。お聞きします。
○国務大臣
 (川口順子君)
 平成十二年度の数字でございますけれども、総額二千二百七十三億円でございます。ODAを受ける国としては最大でございます。
○佐々木知子君  年に約二千億円も供与しているということなのでございます。ODA大綱というのを私もチェックいたしましたけれども、中国に果たしてODAを供与される資格、あるんでしょうか。それもお聞きいたします。
○国務大臣
 (川口順子君)
 中国へのODAの供与につきましては様々なあるいはお考えがあるかもしれませんけれども、政府といたしましては、ODA大綱、これについてはちょっと後で触れさせていただきますが、踏まえまして、中国の援助への必要性、援助の需要、中国の経済社会の状況、それから日本と中国との二国間関係、こういったことを総合的に判断をいたしまして、中国への経済協力を実施いたしております。
 委員がおっしゃっていらっしゃるのは、そのODA大綱との関連であるかと思いますけれども、ODA大綱では、相手国の武器の輸出入等の動向にも十分注意を払うということが書いてございます。この点につきまして、中国が第三国へどれぐらい武器輸出をしているかということについては必ずしも分かっていないということでございまして、中国との間では、この点についてもっと情報を提供する、あるいは、日本のODA大綱の考え方についてより理解をしてもらうように努めるといったことを進めていくことが必要だと考えております。
○佐々木知子君  他にODA供与として多い国は、インドネシアとかベトナム、インドやタイがございますけれども、それらの国の国民は、日本のODA供与によってこういう施設が造られたんだということを知っております、おおむね。ところが、中国の国民は全く知らされていないんです。いいですか、知らされていないんです。
 ですから、立派な空港や発電所や高速道路を造っても、それが日本のお金が何分の一かここに入っているということが分かっていない。感謝なんかしようがないんです。一方的にこれはODAをしていると。そして、日本は密入国でいろんな中国人を受け入れているということで、これは私は外交姿勢としては非常に問題があるのではないかというふうに考えているものであります。
 今回、鈴木議員に関しましてのODA疑惑も出ております。国民は非常に怒っております。日本は今お金が余っている状態ではないのです。みんなリストラで困っている人、首つろうかとしている人だってたくさんいるわけです。それだけお金がないのに、なぜほかの国にこれだけお金をやって、感謝もされずに、あるいは第三国に武器輸出もされているかもしれないと。そういうようなことでは、これは血税の使われ方として誠になっていないと、私はもう本当に心からそう思うものでございます。
 何か野党のような質問になってしまって恐縮でございますけれども、国民の立場としての質問でございます。
 ODAは、やはりこれは公開されなければいけない、もちろん透明性を確保しなければいけない。何に使われたかというのをこれは国民に明らかにすることが国の責務ではないでしょうか。外務省、お答え願います。
○国務大臣
 (川口順子君)
 ODAにつきまして今様々な御意見があるということはよく承知しておりますし、そういった御意見についてはどんどん出していただいて、全体としてどういうODAの在り方がいいかということを議論をしていくのがいいと私は思っております。
 それで、私がこの前出させていただきました開かれた外務省のための十の改革の中ではODAを一つの項目として挙げさせていただいておりまして、ODAをより効果的に効率的に使うということで、透明化を図るということでひとつ議論をこれからいただきたいと思っています。「国民の税金を無駄にしないよう、ODAを透明性を持った形で実施します。」というふうに書かせていただいておりまして、例えば例示といたしましては、第三者の参加を得た委員会で援助の分野、プロジェクトの優先順位を議論し、決定するということも考えたいと思っております。
 ODAは国民の税金を使うということでございますので、その過程あるいはそれを何に使ったかということは国民の方に広く開示をして、広くその過程に参加をしていただいて、それによって国民の方のODAに対する理解、これは本当にODAは必要なことでございますので、これに対して理解を十分にいただいた上で望ましい形でODAを実施をすべきであると思います。
 なお、一言だけ付け加えさせていただきますと、ODAについての情報は、今かなり開示を既にされております。私が申し上げているのは、それを更に、透明度を更に上げると、そういうことでございます。
○佐々木知子君  努力していただきたいというふうに思います。
 時間の関係で、自治労問題に移らせていただきたいというふうに思います。
 昨年、全日本自治団体労働組合、自治労の関係者が逮捕、起訴されるという不祥事が発生いたしました。その内容なんですが、私がしゃべってもいいんですけれども、どういう立場にあるだれそれが、どういうことをして、どれだけ自治労に損害を与えたのか、まず起訴、公判に、起訴されて今公判中のものにつきまして、片山総務大臣、お答え願えますか。
○国務大臣
 (片山虎之助君)
 自治労という団体は、地方公務員法上の職員団体と、国家公務員法上の職員団体もあるんです、元の地方事務官なんかそうですから。それから労働組合法上の労働組合も入っているんです、第三セクターの職員なんか。そして、その他の管理職も一部入っているんです。それはもうこれは大混成旅団で、しかも、だからこれはどこの法律でどうやるという団体じゃないんです。しかも、今法人格が取れる法律ができたんですけれども、ILOの勧告で。ところがその法人格も取っていないんです。だから、あの組織体は巨大なる任意団体なんですよ。だから、役所が今管理監督するような立場にないんですよ。
 だから、詳細言えと言われても、私もそれ言う立場にないんだけれども、報道によると、自治労の関連会社の専務理事など六人が業務上横領の罪で告訴されているのと、団体としての自治労と、その自治労の元委員長など幹部二名が法人税脱税容疑で起訴されております。
○佐々木知子君  ちょっと余りにも簡単過ぎてがっくりきましたけれども。ちなみに、業務上横領の額が約八千万円と、脱税につきましては、二億円余りを脱税している、逋脱額だというふうになっておりますね。
 それが、かなりまがまがしいことには、右翼団体も絡みますし暴力団も出てきます、ダミー会社も幾つか出てまいります。それから簿外債務が出てきますね、三十八億九千万円の簿外債務です。これは中央労働金庫、三十三億九千万円、都市銀行は五億円ということで、中央労働金庫に関しましては、これが、済みません、中央執行委員会の正式の意思表示もなしに簿外債務が発生しているという信じられないような実態でございます。これは裏口座は十六口座七億七千万円あります。自治労本部に十二口座四億七千万円、事業本部に四口座三億円と、こういうような事態になっております。
 これが一体何に使われたのか。恐らくこれは任意団体なので私のあずかり知らぬところだというふうに大臣はお答えになるのでしょうが、そうでしょうか。
○国務大臣
 (片山虎之助君)
 現在、司直によって全貌が解明されつつありますね。私が言っているのは、法律上、我々がそれについて承知したり、どうにか物を言ったりする立場にないんですよ。だから、それはちょっと言っていただいても、お気持ちは大変痛いように分かりますけれども、それは総務大臣としてはそういう立場にないということを是非御理解いただきたいと、こういうように思います。
○佐々木知子君  そうしますと、組織内候補ですね、国会議員、地方議員含めてどれぐらいいるのか、そういう実態の把握ももちろんできていないということでお聞きいたしますが、多いときで三十二人いたというふうに把握しております。地方を含めますと千人ぐらいはいるのでしょうか。これも把握の限りではございませんが、たくさんいるというふうに考えていいと思います。
 日本最大のこれは労働組合ですけれども、国家公務員法、地方公務員法上の職員団体には、民間の労働組合と違いまして外部監査、一般への公表義務が規定されていないと、こういうことでございますが、これは片山大臣、改めるべきではないでしょうか。
○国務大臣
 (片山虎之助君)
 職員団体はこういうことになっているんですね。国家公務員の場合には人事院に登録をして認証されるんですよ。それから、都道府県の職員団体の場合には都道府県の人事委員会に登録をして認証をされる、認証ですね。その場合の規約の中には、必ず経理や会計上のことということが必要記載事項になっているんですよ。ただそれだけですから、それは決めてもらわにゃいかぬのですけれども、例えば監査人による監査とかその結果の公表だとかということは法律上義務付けられておりません。しか
し、おらないけれども、やっぱりあれだけの巨大な組織体になるとそういうことをやるのは私は常識だと思うし、現に今年二月ですか、自治労大会で監査人をこれからは選定をして監査をすると。透明性を高めるという自治労としての意思決定はやっております。
 以上でございます。
○佐々木知子君  何か本当に官僚としてのお答えをいただきましたけれども、被害者は組合費が給料から天引きされている、チェックオフですね、被害者意識が非常に薄いんですよ。今回言われて初めて、あらすごい差っ引かれているわ、驚いたとか、私の友達も許せないということをやっと言っておりましたけれども。一人月平均でどれだけ天引きされているのか。これは事件が起こってもまさか知らないということはございませんでしょうね。
 厚生労働省に、じゃお聞きいたします。
○国務大臣
 (坂口力君)
 いや、総務大臣からのお答えにございましたように、組合法に載っていないものですから、私の方の本当は所轄でないわけでございますが、昨年も予算委員会でお取り上げをいただきましたときにも、そのときに調べましたところでは、約八百円ぐらい、こういうふうにお聞きをいたしております。
○佐々木知子君  いや、違う。上納金が八百円。
○国務大臣
 (坂口力君)
 月、上納金が八百円ぐらいというふうに……
○佐々木知子君  天引き。
○国務大臣
 (坂口力君)
 チェックオフ、いや、それは私の方も分かっておりません。
○佐々木知子君  何か余りいろいろ省庁はよく御存じないのでびっくりしてしまいますけれども、大体千分の十五で、平均して五千円チェックオフされているというふうに考えております。
 私は、これは原資が税金でございます。これは公務員が受けているのは税金でございます。この税金がどういうふうに使われたのか、これは自治労の全体の経理の実態を私は明らかにしなければならないというふうに考えております。もちろん今司直の手で明らかにされてはおりますけれども、御存じのように、起訴、公判になるものというのは、証拠の関係からしてある程度限られてしまいます。一部でしかございません。全体、私は把握すべきものだというふうに考えておりますので、委員長に是非、後藤森重氏にここでお話を聞きたいということを要望いたしまして、時間も参りましたので、私の質問を終わらせていただきたいというふうに、委員長にお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいというふうに思いますけれども、最後に、総理のコメントをお伺いしたいのですが、こういうふうに自治労……(「まず委員長にお願いして」と呼ぶ者あり)はい。まず委員長にお願いいたします。済みません。
○委員長
 (真鍋賢二君)
 ただいまの御提言に対しまして、理事会におきまして協議いたします。
○佐々木知子君  最後になりますけれども、この自治労の問題、それから最近ワイドショーなどを本当ににぎわせております鈴木議員のいろいろな疑惑、それから、その他多々ございます。政治倫理が私はやはり確立されなければ国民の信頼は得られませんし、政治というのは真っ当な方向に進まないというふうに考えております。その点について、総理のコメントを最後にお伺いいたしたいと思います。
○内閣総理大臣
 (小泉純一郎君)
 政と官の在り方、国家公務員であれ地方公務員であれ、政治からの中立性というのは保持されなきゃいかぬということで、政治活動、選挙活動は厳しく制限されているはずなんです。それがなぜ国家公務員、地方公務員、堂々と、特定の政党、特定の候補を、選挙の応援していいのか。こういうことを厳しく私は問い直さなきゃいけないと思いますね、政と官の。役所から役人に選挙運動させる、この役人も平気で選挙運動する、これは好ましいことではありません。与党野党含めてもっと厳しく政と官の在り方は見直さなきゃいけないと思います。

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