法務省は今を遡る平成8年、法制審議会答申を経て、選択的夫婦別姓も含めて婚姻制度全般を見直す趣旨の民法・戸籍法改正案を作りました。それが成立に至らなかったのは自民党内での反対が強かったからでした。
2001年秋臨時国会中の11月、推進派の多数の署名を受けて法務部会において再び審議が始められましたが、ここではその対象をあくまで選択的夫婦別姓に限りました。その背景には、女性の職場進出、一人っ子の増加などによって、ことに若い年齢層で夫婦別姓を望むカップルが多くなっている(事実婚に甘んじている)という現実があります。
最大の問題である子どもの姓については、婚姻時に定めはするものの、最初の子の出生時に別の姓の届け出可、以後の弟妹の姓は統一、成人に達した後は姓の変更可、が骨子です。なお、経過措置規定として、導入後2年以内に届け出れば別姓夫婦になることができる、としました。
ですが、法務部会において反対意見が続出しました。ただ、大勢は、別姓使用にあくまで反対というのではなく同姓による社会生活上の不便は認め、だがそれは通称使用で足りるというものでした(後述
6. )。また、「例外的」夫婦別姓は、原則はあくまで同姓とし、別姓はあくまで例外的とする趣旨です。
引き続く2002年通常国会における部会審議でもまとまることはなく、閣法としての提出は断念、議員立法として提出される運びになりました(後述
7.)。
7月16日、議員立法提出に必要な衆院議員20名(参院であれば10名)を中心とする「例外的に夫婦の別姓を実現させる会」(会長笹川堯、最高顧問山中貞則)の第一回会合が開かれました。私は5人いる副会長の1人ですが、全役員中参院は私1人とあって、昨日来鋭意会館内の各事務所を回って入会者を募っています。家裁の許可を必要としたのですから賛成多数ですんなり、というようなものですが、反対の支援団体などもあって、なかなかそうはいかないようです。
議員立法であっても政党が提出する以上、閣法と同様に部会→政調審議会→総務会の承認が必要とされているようです。7月24日、法務部会が開催され、私は法律家として閣法との相違を説明しましたが、それでも両者に違いはないとか、やはり反対との意見が多数出て、意見集約は難しいとの感触です。
|