戦後、日本は奇跡の復興を遂げ、世界有数の経済大国となりました。ただ、物の豊かさを必死に追い求めた結果として、人が生きる上で最も大切な心の豊かさをなくしてきたのではないでしょうか。
　勤務していた国連アジア極東犯罪防止研修所で、アジア、アフリカ、オセアニアなど多くの発展途上国の人たちと接しましたが、皆が「自分の国が一番」と思っていることに驚かされました。顧みて日本には、愛国心どころか、自国を非難し卑下する人があまりに多すぎます。なぜなのだろう……。その答えが分かったのは国会議員になってからです。
　日本は戦後、国としての「誇り」を失いました。たった一度戦争に負けただけで完全に自信を喪失し、連綿と続いてきた歴史や文化、伝統を否定してしまったのです。日本国憲法はじめ、アメリカが作った少年法などの法律。安全保障も経済もアメリカ頼み。教育は国家観を教えず、どこの国のものか分からないような教科書で国の失政だけを教えている。確固たる外交哲学もスタンスもないから、近隣諸国（韓国と中国）の顔色を窺い、あちこちから便利なキャッシュディスペンサーとして扱われてきた……。これで日本国民であることに誇りを持てる国民が育つはずはないのです。
　非行や犯罪に走るのは、自己評価が低く、自分を愛せない人たちです。愛されず評価されずに育てば他人の生命や生き方も尊重できなくなります。自己愛、家族愛、郷土愛、祖国愛……人としての背骨なくして、他の家族を愛し、他国を愛し尊重することなどできようはずはありません。国の歴史、伝統、文化を背負った立派な国民であってはじめて、国際人としての評価も得られるのです。
　教育を変え、日本を変える。１人１人が変わることで、きっと変えられると、私は信じています。