徹夜国会――は先週末4日(金)午前11時半に始まった(〜土曜午前9時半)。
その前日、参院厚労委員会では年金法案が「審議打切り動議」によっていわゆる強行採決されていた。対して野党は委員長解任決議案を提出、まずは民主党女性議員がその解任理由を、長々と、ほぼ無関係のことばかり、繰り返し執拗に述べて、なんと3時間経過。引き延ばし戦術は明らかだ。
続く「討論」に入って、「反対」の自民7分、「賛成」の民主2時間10分(「論語」などからの引用が多く、若手議員だけに多くの先輩議員の顰蹙を買った)、そして共産1時間40分! で、すでに午後8時。そのまま採決に入って牛歩戦術がくるかと思いきや、「延会」手続きが採られて、再開0時10分!
そこで採決に入り、野党は案の定牛歩戦術をとったが、粘る気はないらしく2時過ぎに終わる。いったん休憩に入って、3時半再開予定が実際は4時半再開――。
信じられないことが起きたのは、そのときである。
議長不信任案が次の議題であるとは知っていたが、まずは議長が登壇、その旨宣して副議長に代わるものと思っていた。だが、はなから副議長が登壇、開会宣言後すぐに「散会」宣言。すると、野党一同、わーと歓声を挙げて退場――事態が飲み込めないまま、われわれ与党議員は国対(国会対策委員会)指示の下、そのまま残った。
するとまもなく議長が登壇、散会は無効と宣言(参院規則82条「議事日程に記載した案件の議事を終わったときは、議長は、散会を宣告することができる」とあり、散会要件を満たさない)、国会法22条にいう「議長・副議長に共に事故があるとき」に該当し、仮議長を選挙し議長の職務を行わせる場合にあたる、としていったん休憩を宣言したのである。
民主党には「秘策」があると囁かれていた。これがそうだったとは。
「散会」は上記の場合以外、「議場を整理しがたいとき」になされる(「休憩」も同じ。国会法117条)。上記の「散会」はいずれの要件も満たしてはいない。だがその以前に、そもそも副議長は「議長に事故ある」(不信任決議案提出により)ために議長職に就いたのであって、その任は不信任決議案をかけること以外にはない。不信任決議が可決されるまでは依然として議長は議長職に留まっているのである。
もしそうではなく、副議長がどんな議事進行でも出来るとなれば、不信任決議案を提出しさえすれば何でもできることになり、その不合理は火を見るより明らかだ。なぜこんな馬鹿げたことが起こったのか、私にはそのほうが不思議でならない。
今回の一連の馬鹿げた騒動で、国民の政治離れ、政治不信をいっそう強く招いたことをわれわれは心から反省しなければならないと思う。もう参院選には行かない、貴女は引退を決めて正解だったね、という声もよく聞く。
ちなみに私が机上に突っ伏している写真(午前8時頃撮影)が日経・毎日各夕刊に掲載されてしまった。不名誉なことだが、その前から睡眠不足が重なっていたところに加え、徹夜国会となって疲労困憊だった。5年前の徹夜国会(通信傍受法案等審議)の際には私だけ起きている写真が掲載されて面目躍如したものだが、やはりこの5年で体力が落ちたのは隠せない事実であろう。
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