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安全な国を取り戻そう少年事件と少年法日本の刑事司法「死刑廃止」には反対
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少年事件と少年法
Q&A
INDEX
Q1
なぜ14歳以上しか刑事罰を受けないの?
Q6
ゲームが悪いんじゃないの?
Q2
刑法を改正して「12歳」以上とするべきじゃないの?
Q7
少年法とはどういうもの?
Q3
少年が処罰できないのなら親を代わりに処罰すべきじゃないの?
Q8
少年に甘すぎるんじゃないの?
Q4
親(周囲)は当然、おかしいと勘づいていたはずじゃないの?
Q9
少年に対する刑罰は非常に軽いと聞いているが、どうなの?
Q5
病気だから治らない、完全に予防するためには隔離以外に方法はないの?
Q10
少年法は18歳以上の死刑を防げないのに、実際はなかなか言い渡されないんじゃないの?
 

Q1なぜ14歳以上しか刑事罰を受けないの?

A: 刑法(明治40年制定)に「14歳に満たない者の行為は、罰しない」とあるからです(41条)。なぜ14歳? それは日本が倣ったドイツ刑法が「14歳」だったからです。

 人は発達段階において「是非弁別能力」(やっていいことと悪いことを区別し、その判断に従って行動できる能力)を身につけていきます。それが何歳かは人によって違うのが当然ですが、いちいち個別に判断していては大変です。ですからどの国もある年齢を一律に刑事責任年齢と定めているのです。

 ちなみにフランス13歳。イギリス10歳。アメリカは州によって違います。14歳より高い国はヨーロッパにはいくつかあり、驚くべきことには中南米の多くの国もそうでした。

 イギリスはもともと7歳だったのを8歳に、そして10歳に引き上げました。93年に10歳の少年2人が2歳の幼児を惨殺したバルガー事件では、共に無期刑が言い渡されました(その後釈放され、名前を変えて生活しています)。

 実は、アジアやアフリカの国々には今もって「7歳」が多いのです。宗主国イギリスの法体系を継受したからです(ちなみに彼らがおしなべてイギリス法を絶対と信じ、イギリスを崇拝していることにこの国の偉大さを見る思いがしたものです)。彼らは「7歳にもなれば人の物を盗ったり、暴力を奮ったりしてはいけないのは分かる」と言います。その通りでしょうが、だからといって7歳以上を処罰してもいいか(刑務所に容れてもいいか)となるとそれは違うだろうと思います。

 つまり、刑事責任年齢を何歳にするかは国の政策なのです。一定年齢まではどれほどの重罪を犯したとしても刑罰を科さず、他の方法で教育更正させよう……ある意味では国の文化度がこの年齢に表れているとも言えるでしょう。

Q2刑法を改正して「12歳」以上とするべきじゃないの?

A: 長崎で12歳少年による衝撃的な事件が起き、この質問がよく提起されるようになりました。「14歳」にさほど意味がないのであれば、少年事件が低年齢化・凶悪化する昨今、年齢を引き下げてしかるべきではないのか……。

 答えから先に言うと、私は反対です。

 たしかに遺族の立場に立てば、犯人がたとえ幼児であれ(あるいは精神病で責任能力がないとしても)愛する者を殺され永久に奪われた事実自体は変わらず、厳罰を願うのは当然だと思います。

 ただ、特異な事件が1つ起きたからといって、ヒステリックに対応するのはいかがなものでしょうか。次に10歳が特異な事件を起こせば、今度は10歳に引き下げるのでしょうか。少年事件の低年齢化・凶悪化が問題とされている昨今だからこそ、社会(とくにマスコミ)はもっと冷静にこの原因を突き詰め、対策を講じるべきではないでしょうか。

 子どもはひとりで勝手には育ちません。問題行動に至ったにはまずは親をはじめとする家庭の問題があり、次に社会全体の問題があります。あるいは低年齢少年による凶行が相次ぐ非常事態になれば厳罰化も考えねばならないかもしれませんが、そういう事態になればそれはとりもなおさず日本の秩序全体が危機的状態に陥ったということであり、ひとり刑事責任年齢を下げても焼け石に水でしょう。そんなことになる前に、教育や社会の連帯感を強化し、総合的な治安対策を講じなければなりません。

 もちろん14歳未満はどれほどの重罪を犯しても児童自立支援施設(厚生労働省管轄の開放的な福祉施設)にしか送致できない現行制度は最低限改める必要があります。

 

Q3少年が処罰できないのなら親を代わりに処罰すべきじゃないの?

A:  某大臣が「加害者の親を市中引き回しの上、打ち首獄門……」なる発言をして大きな問題となりました。これに対して(表現方法には首を傾げるものの)真意には賛意を表する旨、私の周囲のいわゆるインテリ層までが口々に述べていたのにかえって驚かされました。

 私たち法律家にとっては、刑事責任を負うのは本人のみというのが近代法の自明の理であり当然なのですが、あるいはこの法律家の常識こそが世間の非常識なのかもしれません。たしかに、人が殺されたのに誰も責任を取らないのはおかしい、少年が取れないのなら親が代わりに取るべきだというのは(精神病で責任能力がない場合はやはり親あるいは医療監護者?)、人間としてごく素直な感情かもしれません。
 フィリピンの司法関係者の話では、5歳の子どもが家に置いてある銃をいじっていて誤って人を殺してしまった場合、代わりに親が刑務所に行くとのことでした。本人は刑事責任年齢には達していないからその行為自体は何の罪にもなりませんが、その場合、親はどんな罪に問われるのか(監督不行届罪などというものがあるのか)、残念ながら聞き逃してしまいました。

 ただ民事責任(不法行為による損害賠償責任)は親が代わりに負います(民法712条、714条)。そしてもちろん、親の道義的責任はこうした法律上の責任とは別に厳然と存在します。

 なお、少年法には「保護者に対する措置」が規定されています。いわく「家裁は必要があると認めるときは、保護者に対し、少年の監護に関する責任を自覚させ、その行を防止するため、調査又は審判において、自ら訓戒、指導その他適当な措置をとり、又は家裁調査官に命じてこれらの措置をとらせることができる」(25条の2)。平成12年の改正(参照 Q7)で新設したもので、これに則り、家裁では保護者に対してより積極的な働きかけに努めるようになりました。

Q4.親(周囲)は当然、おかしいと勘づいていたはずじゃないの?

A: 親の責任論と関連して、これもまたよく聞かれる質問です。
 神戸の児童連続殺傷事件(少年A)の時にもよく出ましたし、特異重大事犯が起こる度に必ずといっていいほど提起される質問です。つまり、何らかの前兆があったはずだし、その際に何らかの措置を執って事件を未然に防ぐべきだったというのです。

 たしかに、最も身近にいるべき存在(本当に身近にいたかどうかは分かりませんが)なのですから、いろいろな行動からおかしいとは勘づいていたかもしれません。ですが、「おかしい」ということは普通と違うということであって、それがこんな大それた事件を起こすことに結びつくなど一体誰が想像しえるでしょうか。あるいは犯罪専門家や熟練の精神科医であればその危険性を(あくまでありうることとして)指摘できるかもしれませんが、それは客観的立場にいるからであって、子どもが普通に育つことを誰よりも願う親の立場にあれば、もしそう指摘されたとしても素直に受け容れられるとはとうてい思えないのです。

 宮崎勤、少年A(今春少年院を仮出院しました)など猟奇的殺人事件(性的サディズム)には共通項があると言われています。前兆は「小動物(猫や犬、鳩など)の虐待」、手近な対象から始まるのです。イギリスのバルガー事件の少年2名もそうだったといいますし、アメリカでは大量に起こるこの種事犯の研究報告がそれを指摘しています。この種傾向も多分に素質に規定され環境で助長されるのでしょうが、不幸な事件に至る前にどう未然に防止するか。精神(脳)の実体解明は身体と違って未発達の分野ですが、以後徐々に解明されていくことが大いに期待されます。
 
 ただ「前兆」というのは、病気であれ事件であれ、実際に何かが起こって初めて、あれがそうだったのだと評価される性質のものです。小動物の虐待をする少年すべてが凶悪犯になるわけではなく、むしろ大多数はそれで終わってしまうものです。熟練の精神科医でさえその少年が将来事件を起こすかどうか、起こすとして、いつ、どこで、誰を対象か、など予測などできないのです。
 これが病気であれば家系や体質その他によってある程度の予測が立てられもするでしょうが、故意である犯罪は起こすのはあくまで当の本人の意思だし、加えてそのときの環境要因も大きいため、同列に論じることはできません。

Q5病気だから治らない、完全に予防するためには隔離以外に方法はないの?

A: この種の質問もよく出ます。
 少年Aは今春少年院を仮出院したのですが、マスコミ取材で「本当に更生したと思うか(再犯のおそれはないか)」と聞かれました。
 
 答えは(無責任なようですが)私には分からない。
 もちろん少年院の方々の努力が報われて、真に更生し再犯のないことを祈ってはいますが、報道された以上には少年A自身を知らないし、ましてや少年院送致後どんな治療を受け、どう成長したのか分からないのです。

 その抱える精神障害は何だったのか。凶悪犯罪に結びつく精神障害としては、大きく分けて2つ、精神分裂病(最近「統合失調症」ともいう)と人格障害(ドイツ流には「精神病質」。各種あり、凶悪犯罪に結びつくタイプはその一部)が挙げられます。後者には完全な責任能力が認めらるのが通常であり、特異な連続殺人事件を起こして死刑に処せられる犯人の多くはこのタイプです(大久保清、宮崎勤など)。

 内因性精神病の代表格である精神分裂病は、治療によって「寛解」に至りますが(原因が不明なので「治癒」とは言わない)、人格障害は(現状の医学レベルでは)おそらく死ぬまで根本的には治らないはずです。ただ、そうであっても環境がうまく整備されれば再犯には至らず平穏無事に人生を終えることができるのです。

 69年、15歳少年が高一の同級生を殺し、その首を切り落とした猟奇的殺人では(今であればマスコミがもっと大騒ぎしたことでしょう)、少年院送致の後更生し、現在弁護士として活躍しているとのこと(報道による)。この少年の場合は医療少年院収容ではなかったし人格障害もなかったのかもしれませんが、成長期にある少年の場合は成人よりも心身共に不安定でその分可塑性に富んでいる分よけいに将来は予測できないということです。

 なお、社会にとって危険と考えられる者を予め隔離する予防拘禁制度は一部の国で実施されていますが、こうした将来予測は難しいため国家の恣意を許すことにもなり、別の大きな危険が生じます。

Q6ゲームが悪いんじゃないの?

A: これも長崎事件に関しての取材で聞かれたことです。
「ゲーム自体が悪いというより、少年を取り巻く人間関係が希薄なところでゲームに嵌るのが問題」なのだと答えました。

 素質・環境――どちらをも決めるのが親です。人がこの世に生を受けて初めて接する他者である親との関係(コミュニケーション能力)が将来の他者との関係を決めるといっても過言でありません。

 95年頃から注目されるようになった「いい子の非行(いきなり型非行)」の調査結果によれば、親の教育レベルも高く経済的にも恵まれ、本人の成績も良かったのに、ちょっとしたきっかけで挫折し、おやじ狩りなどに加わってしまう子どもには、第一次反抗期があまり見られなかった傾向があることが指摘されています。つまり、親が「いい子」のあなたは好きだと条件付きに愛していることを子どもは敏感に感じ取り、本当の自分を出せないままに成長するのです。
 
 ただ、今の多くの若い親にかつての親の役割を期待するのはたぶん過剰に過ぎるでしょう。
 かつての大家族制度下では、たとえ親は欠陥者だとしても祖父母なり叔父叔母なり他の誰かがモデルとなりえました。模範となる型を見習うのが稽古事すべての上達の常道であるのと同様、躾とは良い生活態度・生き方を見せることにあります。加えて、社会には連帯感があって近所の大人たちも見守ってくれたため、孤軍奮闘の子育てはなかったのです。

 ところが戦後、核家族化が進み、老いや死も身近にはなくなりました。夫は企業戦士あるいは単身赴任、兄弟はなし、遊び場もなく塾通いだから近所の誰とも遊ばない、周りの大人たちは無関心……こうした環境下でゲームにだけ浸れば、社会的存在としてのまともな発達は望むべくもなく、人の生死もリセットボタン一つでどうにでもなる希薄なものとしか感じられなくなるでしょう。「いい子の非行」でも、8〜10歳頃に経験するべきギャングエイジ(徒党時代。グループの中でそれぞれの役割を果たし、喧嘩の仕方も学ぶ)を体験していないという問題点が指摘されています。

 犯罪(非行)は社会を映す鏡です。ひとり少年による犯罪だけが凶悪化しているのではなく、犯罪一般が凶悪化しているのです。秩序が乱れ、ちょっとしたことで皆が切れやすくなっているのを至る所で感じます。おそらくは日本全体が病んできたのだろう、その深い根底には戦後、アメリカの占領政策下で、誇りある国を失ってしまったことがある、と私は考えています。

Q7少年法とはどういうもの?

A:(1) 成り立ち
 現行少年法は昭和23年、GHQ主導で制定されました。同時に、家庭と少年を扱う家庭裁判所が新設されました。
 日本には大正11年制定にかかる少年法(「旧少年法」)がありました。
 少年も成人同様、検察官が先議して刑事処分相当事案を起訴(約1割)、その余の保護処分相当事案を少年審判所に送致、そこで感化院送致や保護観察処分等に付していたのです。刑罰は少年であることを考慮して、少し軽めの判決が下されました。
 つまり少年だからといってさほど特別な処遇をしないのはドイツやフランスはじめ多くの国で採られているものです。

 現行少年法は移民国家アメリカで当時隆盛だった国親思想(国が親代わりになって少年の面倒を見、更生させようという福祉的発想)に基づいています。
「懇切・なごやかな審判」は少年をいかに保護更生させるかに主眼が置かれ、少年が事実を否認して真っ向から争う場合はおよそ想定外でした。そこで事実認定に絡む様々な問題が提起されて改正論議が起こっていたところに97年、神戸で起こった猟奇的殺人事件の犯人が14歳という衝撃的なニュースが走り、初めて、16歳未満は刑事処分不可とされている現行少年法の問題点がクローズアップされるに至りました。

 続いて2000年連休頃17歳の凶行が続き、高まる世論を受けて、同年12月、14歳以上は逆送可として刑法とのダブルスタンダードを解消するなど、少年法を改正する議員立法を行ったのです(同13年4月施行。*印付記)。

(2) 対象
「少年」は20歳未満(旧少年法では18歳未満)、家庭裁判所の審判に付すべき非行少年には3種類あります。
?@ 犯罪少年 14歳以上20歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年
?A 触法少年 14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年
?B 虞犯少年 家庭に寄りつかない、不良行為者と交遊などの事由があり、その性格・環境に照らして将来犯罪少年・触法少年になるおそれがある少年
 
(3) 手続き
少年法の手続きの流れは(チャート)で見て下さい。成人の場合と異なる特徴は、

【非行少年処遇の流れ】
非行少年処遇の流れ

 

【犯罪者(成人)処遇の流れ】
犯罪者(成人)処遇の流れ

?@ 全件家裁送致
?A 家裁調査官による家庭環境などの調査=審判対象は「要保護性」+「事実認定」
(場合によっては少年鑑別所に収容して資質鑑別も行う)
?B 審判は非公開
?C 裁判官は原則1名(裁定により3名の合議制も可 *)
?D 一定の重罪の場合検察官に出席要請可(少年側には弁護士(付添人)をつける)*
?E 保護処分優先主義
  〇保護観察
  〇少年院送致
  〇児童自立支援施設・児童養護施設送致
  〇例外としての検察官送致(逆送)→検察官は起訴を強制される。
    ただし、故意の犯罪行為によって人を死に至らしめた(殺人、傷害致死、強盗 致死、強姦致死など)16歳以上の少年は「原則として」逆送(*)

Q8少年に甘すぎるんじゃないの?

A: たしかにその通り、世界的にも有数に甘いと思います。
 ただ、日本の場合は、少年ばかりではなく成人の場合も刑罰が非常に軽いのです。人1人殺して平均、懲役7〜8年なのですから(参照 死刑廃止には反対)

 なぜ軽いのか。それは軽くても治安が維持できるからです。つまり、犯罪が増えればその抑止として厳罰が必要になります。典型例が覚せい剤事犯です。かつて使用は罰金刑で済んだのが蔓延を受けて73年懲役刑を導入、当初は執行猶予付きや懲役数ヶ月と軽かったのがどんどん厳しくなり、現在は再犯は必ず実刑、懲役2年クラスは当たり前になりました。

 少年の場合は保護処分が優先、刑罰は例外です<参照 図?@>。
 そもそも「審判不開始」(この場合も何もしないのではなく、家裁調査官による調査は行われ、結果審判開始は不要と判断されたのです)が7割、審判が開始されても「不処分」が1割――両者で全体の8割以上を占めるのが分かるでしょう。少年非行の6割が万引きをはじめとする各種窃盗、2割が自転車盗等の遺失物横領ですから、うちかなりの割合がこれにあたると思われます。

 審判が開始されて、保護処分となるのが「保護観察」13%、「少年院送致」4%
「刑事処分相当」として検察官に逆送されるものに至ってはわずかに0.4%

 もちろん、凶悪犯に限れば処分が重くなるのは当然です<参照 図?A>

 刑事処分相当」と判断される場合は以下の2つです。
 1つは、窃盗や傷害などそれ自体は重罪ではなくても、何度も非行を繰り返し、すでに保護観察も少年院送致(初等少年院→中等少年院→特別少年院)も出尽くしてしまって刑事処分しか残っていない場合、
 他の1つは、たとえ初犯でも殺人や強盗傷害など重罪の場合、です。
 16歳未満の逆送は平成13.4.1〜15.3.31実績で1件(強盗強姦)。また、同様に改正で設けられた「原則逆送」についても対象者(殺人、傷害致死、強盗致死、危険運転致死の合計152人)のうち、「検察官送致」89人(58.6%)、「保護処分(少年院送致が主)」63人(41.4%)。

Q9少年に対する刑罰は非常に軽いと聞いているが、どうなの?

A: その通りです。たとえ逆送されて刑事処分を受けた場合でもその可塑性を考慮して少年にはとくに寛大な刑罰が科せられます。

(1) 犯罪時18歳未満の特例(51,58条)
 ?@ 死刑相当事案→無期刑  仮出獄は10年経過(成人と同じ)
 ?A 無期刑相当事案は有期刑(10年以上15年以下で言い渡す定期刑)も可
  (改正前:必ず有期刑) 仮出獄は無期刑の場合は7年経過、有期刑の場合は3年経過

(2) 有期刑(3年以上の実刑)を科す場合(52条)
必ず不定期刑、最高が「5年以上10年以下」 仮出獄は「短期」の3分の1経過
 cf. 有期刑の最高は15年(併合罪・再犯加重をして20年まで可)、仮出獄はその3分の1経過

(3) 特別な処遇(56条)
 ?@ 少年刑務所に収容(〜26歳)
 ?A 16歳未満は少年院に収容・矯正教育

Q10少年法は18歳以上の死刑を防げないのに、実際はなかなか言い渡されないんじゃないの?

A: 残念ながらその通りです。

 もともと寛刑のこの国で、検察が死刑を求刑するのに躊躇し、無期懲役刑を言い渡す裁判が続く中、少年はさらに寛大に扱われているのが実情と言わねばなりません。少年法上は何の妨げもないのに「少年法の意を酌んで(?)」罪一等を減ずる判決の典型例としては、最近では山口県光市における強姦殺人事件が挙げられます。

 18歳少年が若妻を強姦しようとガムテープと紐を用意し、水道配管工を装って侵入。若妻の首を両手で絞めて仮死状態にしたうえ、ガムテープで手を縛り口を覆って強姦、その後11か月の赤ん坊を床に叩きつけて紐で絞殺。2人の遺体を押入れに隠して財布を奪った後ゲームセンターで遊び、財布の中にあった地域振興券で買物をし、何食わぬ顔をして友達を雑談をしていたというまさに鬼畜の犯行です。
 被害者は2人。検察の当然の「死刑」求刑に対し、一審「無期懲役」(99.4)。検察控訴に対し、控訴棄却(2002.3)。現在、最高裁に上告中です。

 対して少年に「死刑」判決が下されたのは、ここ30年間に有名な永山則夫事件(68〜69)と市川一家4人殺害事件(92)の2件のみ。どちらも犯時19歳、殺害された被害者数は4名。判例の傾向によれば、どうやら少年は4人(あるいは3人でも可か)を殺して初めて死刑になるようなのです。

 世界を見渡すと一般に、18歳以上は成人として扱われているようです。旧少年法もそうでしたし、現行少年法を改正して元に戻せば、こうした判決は防げるはずです。ただ、ひとり少年法だけでなく、選挙権や民法の行為能力年齢その他、他の多くの法律との整合性も考えなければいけませんが。

 


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