1週間が経ち、当初の激しい怒りとショックが少しは治まった。先週11日(木)朝8時、法務部会での「夫婦例外的別姓法案(議員立法)」審議のことである。
この別稿で縷々述べているように、女性が外で働くことが普通になり、加えて一人っ子や女だけのきょうだいも多い中、結婚しても旧姓のままでと願う夫婦が出るのは世の流れである。なにも夫婦すべてを別姓にしろ(韓国や中国のように)と言うでなし、私の周りの人は口を揃えて、なぜ反対するの? と不思議がる。本当にその通りだ。
事は子どもを作る若い夫婦ばかりの問題ではない。高齢化を反映し、これからは中高年者の結婚が増加する。共に老後を歩むパートナーである。子供を作るわけではなし、各が背負ってきた長いキャリアを互いに大事にしたいと願って、許されないだろうか。殺人など刑事じゃなし、民事に「絶対」はない。法はその変遷に合わせて変わるべきであり、人が法律に合わせて生きねばならぬはずがない。だからこそ臓器移植が認められ、最近では性同一性障害者の戸籍変更まで認められたのではないか。
とにかく審議とは名ばかり、「絶対に止める」の結論初めにありき。彼らは、我々の発言・説明など、はなから聞く気がないらしい。野次暴言、めちゃくちゃな発言、何でもあり……これが国の代表者による議論では、子どもの教育など出来はすまい。
やれ、「祖先の祭祀の主宰」の意味が不明だ(相続に関し、民法897条に規定済みの文言である)、「その他の理由」があるから結局何でも認められる(まさか。そんなことは法律のイロハである)、「それで子どもが産めないというのだったら仕様がないじゃないか」(少子化対策が喫緊の課題である厚労族の発言である!)、「社民党の主張に自民党が乗ってどうする」(社民党は完全な選択的別姓かつ嫡出子・非嫡出子の平等を主張している)、「高市さんが出した通称法案でいいじゃないか」(そんな法案は出ていない。法案化が極めて困難なうえ、2つの姓を公に認めるのは法的安定性を非常に害するのだ)、等々。
総選挙後で新人が多い、まもなく参院選がある、終わってからゆっくりやってくれ……だが、この議論は何年も続いている。その度に、臨時国会ではダメだから通常国会でやってくれ云々、先延ばしにされ続けられてきたのだ。だが現実に、自分たちの結婚が法律婚として認められ、晴れて子どもを嫡出子として産めることをひたすら待っているカップルは多い。政治は弱い者のためにある。それを論理の欠如した暴論で阻止して、何のための国民の代表者か。某女性議員など「いつまでも議論してりゃいいのよ」と言って出ていったそうである。
漏れ聞くところによると、強い反対をしている政治団体が、先の総選挙で踏み絵を踏ませたのだという。なるほど、きわどく当選した議員が何人かいた(もちろん自身の主義信条で反対している議員もいるのだろうが)。あるいは次の参院選挙での支持がかかっているのか。彼らが「やったね」と勝ち誇っているであろう図を想像すると背筋が寒くなる。
加えて、無知極まりない産経新聞の社説!! いわく、高市法案がいい。高市議員が落選したのを奇禍として法案を通そうとしている……馬鹿も休み休みにしてほしい。「社会の公器」がその立場を利用し国民に誤った情報を植え付けるなど(あるいは本当に無知なのか)とんでもないことである。
いずれにしても政治は結果である。法案を通せなかった非力を私は冷静に受け止めてはいる。私たちに期待してくれた人たちが、責めるのではなく慰めるメールを送ってくれたことに、私は心から恐縮している。
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