20日(木)午後、雨模様の中、東宮御所に参上した。この9月末記帳で訪れたときは玄関だけだったから、中に入ったのは今回が初めてである。もとより、めったにあることではない。
本来は谷畑副大臣が参上する予定だった。今日から7日間、ニューデリーで行われる第6回国際アビリンピック(障害者の技能五輪)に参加する選手団の挨拶である。だが、ちょうどその時間(3時〜)第二次小泉内閣発足に伴う副大臣認証式が執り行われることとなり、急遽私に役が回ってきたのだ。厚生労働省の副大臣、政務官は各2名、それぞれが厚生・労働の各担当だが、私は谷畑副大臣同様、労働担当なのである。
普通の式典の場合にも詳細なレクが行われるが、加えて今回は、挨拶に巻物はダメ、そらでやらねばならないという。殿下の前でただでさえ緊張するのに、もし頭が真っ白になったらどうしよう……。
到着し、秘書官らとは離されて局長らと小部屋で待つこと15分。式典が10分遅れること、欠席予定だった妃殿下が出席されることを知らされる。ようやく案内された「日月の間」は入口が狭く、奥行きが広い作りである。入口の右手側が部屋の正面で、上に壮麗な絵がかかっている。左側、部屋の後方にはすでに選手団が並んでいる。その前を中央に進んで正面を向く。両殿下のお成りを待つ静かな時間がずいぶん長く感じられた。
やがて両殿下がにこやかに入ってこられ、殿下が私のちょうど前に立たれた。その左手、私の右前に立たれた雅子妃は、茶の千鳥格子のパンツスーツである。カジュアル目なのはご自分の住居だからであろう。まずは一礼、挨拶を述べる。緊張して声がうわずるが、雅子妃が熱心に聞いて時折頷いてくれることで、ずいぶん楽になった。滞りなく終わって、ひとまずほっとする。
その後団長が進み出、両殿下を選手団の元に案内する。一人一人と丁寧に、にこやかに話される両殿下の後ろに立つ私の目の前に、手入れの行き届いた庭園が広がっている。
全員との会話が終わると、両殿下は元の位置に戻られ、最後に選手団代表者が前に進み出、これまたそらで立派な挨拶をした。両殿下の退出を最敬礼して見送る際、ふと雅子妃のお声が聞こえ、顔を上げると、にこやかなお顔がすぐ目の前にあった。「……大会のご成功を祈っています。どうぞお元気で」。初めを聞き逃したらしいのがとても残念だった。
戻って、今度は官邸に。ここではずいぶんと待たされた。認証を小泉首相から受け、記念撮影。メンバーで替わったのは総選挙で落選した2人のみ、その他はみな再任だから慣れたものだった。
20日、福島において、年少少年(犯時15歳)に対する初めての判決が言い渡された。共犯は30代男性と年中少年。一人暮らしの女性への強盗強姦を周到に狙い、宅配業者を装って押し入り、包丁で脅し、裸体写真を撮って口止めを図り、何時間にもわたって計6回強姦、現金を奪ったばかりか親に電話をかけさせて振り込みを強要するなど、まさに鬼畜の犯行である。
少年法を改正して年少少年にも逆送を可としたものの、実際はなかなか適用されず、これが最初の事例とあってメディアもずいぶん注目していた。弁護団は少年院送致(保護処分)相当として家裁移送を求めたが、裁判所は求刑の範囲内で「懲役3年6月以上6年以下」としたのである。ちなみに共犯の成人は懲役11年。少年の有期刑は「懲役5年以上10年以下」と軽いのだ。
その前日、毎日新聞の記者が取材に来、本会議の合間に1時間応じた。よく勉強している若い記者だった。何にでも言えることだが、よく勉強している者ほど、間違っているといけないのでチェックをお願いしますと謙虚である。実際、珍しく(!)間違いなし。19日夕刊掲載。いわく「改正少年法は、刑事罰を問える年齢が刑法と少年法で異なるという二重基準を解消し、少年審判に検察官立ち会いを可能にすることで真相究明にも配慮したものだ。少年法が改正された以上、法にのっとって年少少年でも刑事裁判を受けるのはやむをえない。今回の事件は女性に一生消えない心の傷を負わせる悪質なもので当然の判決だ」。
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